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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

新語のできていく過程について、とくにゲーム用語の日常浸透(2009年)

 ※2017年、下の記事に連動して2009年のこの記事が再注目されました。ありがとうございます。

【徹底検証】ドラクエのせいで日本語が変わったってホント? やる夫と学ぶ「経験値」という言葉の変遷 http://news.denfaminicogamer.jp/kikakuthetower/yaruo_keikenchi

重要追記
このシリーズの一覧ができている。
news.denfaminicogamer.jp


漢字の柔軟な読み

文章を書いてるとき「録っておく」というふうに漢字変換してふと「あれ?録音の録で『と(録)る』って正式な読みなのかな?」とふと疑問に思った。実は漢字変換の時、「録る」については『これは常用外である』という但し書きがついてるのね。
常用外イコール新語ではなく、逆に古いものが引っ張り出されているのかもしれないけど、もしビデオやテープレコーダーなどの発達で「録る」という漢字の使い方が生まれたのなら面白い話だと思いました。
ちなみに「殺(や)る」は変換できません。

「○○ゲート」

もう一つ、新語ということでいいますと、この前BJペンvsGSPの反則問題が「ワセリンゲート」といわれたよね。
ふーんと最初聞いてたんだが「あれ?『ゲート』ってそれ自体に”疑惑”とかの意味があるのか?」とどうでもいいところが気になって詳しい人に聞いてみたら少なくともゲート自体にはないよ、ということでした。
調べると、もともと「ウォーターゲート」という言葉自体がビルの名前に過ぎなかった
しかし、やはりあれだけ大きい「疑惑」「疑獄」だからそれが一つの新語になり、「○○ゲート」で疑惑を意味する英語に、少なくともアメリカではなっていったということですな。
その後もイランゲート、ホワイトウォーター・ゲートなどが発生した。変わったところではクリントンの「不適切な関係」問題ではドレスになんとかが付着したとかしてないで「ドレスゲート」とも呼ばれた(笑)。


しかしまあ、勝手に一般的に使う「ゲート」って言葉にそんな意味を追加しないでほしいな。パンクラスゲートというのは新人が本戦のリングにあがるための登竜門の試合で、別にパンクラスが疑惑に巻き込まれているわけではないんだし(笑)


ゲーム用語が知らないうちに一般化してきたという話

■「経験値」
あらためて言う必要も無いことですけどね。ああ、いま書いて分かったが、経験値=「けいけんち」はまだIMEでは未登録の言葉だわ。
でも、けっこう経験値という言葉は若い世代には、それなりに定着しているような気がする。
忘れもしない、私がRPGというものが存在する、と知ったのはまだファミコンも出る前に「ブラックオニキス(オキニス?)」というゲームが少年ジャンプで紹介された時だ。迷宮で次々に怪物に遭って、倒すと金がもらえて(よく考えたら謎の設定)、それで鎧や武器を買い換えていくとかのシステムが今のゲームと同様にあったほか、この戦闘が「経験値」という数字になって、闘えば闘うほど強くなっていく…というコンセプトを読んで、子供心に「経験が数字になるの?  ははは、珍妙な話だけど、ゲームの考え方としてはちょっとばかり面白い発想だね」となんか上から目線で好意的に評価したおぼえがある。

ただ、そのころまだファミコンが出たのか出ないのかのころで、その記事を読みながら「ああ、自分は一生こういう面白そうなゲームには縁が無いだろうな」と思ったことも覚えている。「ドラゴンクエスト」が同じようにジャンプとタイアップするかのような形で、巻頭でドーンと大特集されるのはさらにその数年後。ちなみにそのときもまだファミコンが家には無く(笑)、けっきょく一度もドラクエシリーズをやったことがないのでありますが。


■「フラグ」
そしてその後、岡田斗司夫山本弘とあと一人の鼎談シリーズ本の中で、岡田斗司夫が…だったと記憶しているのだけど、「フラグ」という言葉が登場していた。そのときはたしか「フラグというのはゲームの中でこういうもので…」という解説も一緒だったと思う。
(ご存じない方に一応うろ覚えでいう。例えばRPGとかで強いモンスターに対して『そのままでは何度やっても倒せない。ある爺さんにあって「伝説の剣」をもらうとそれで倒せる』とか、製作者がそういう設定を作っているとき、爺さんから剣をもらうのが一つの『フラグ』(旗)だと)


それで、その時期、「予兆」という意味で、フラグという言葉が使われ始めた。「お約束」をからかう際にも使われて、次の戦いで死ぬ役回りのキャラクターが「俺…この戦いが終わったら…するんだ…」というようなしんみりしたことをいうと「死亡フラグだ!」とか囃されたり、いやはやエンターテイメントを作る側には受難の時代でございます。


インターネットを使う人はパソコン・携帯を使うのだから当然ゲームをできない人は少なく、ネットの文章では「○○フラグ」という言い方は定着した。だから改まっていうことでもないんだけど、ちょっと振り返って「ああ、定着したねえ」というのにも多少の意味があるだろうと思ってこうやって書いている。


■その他
ほかはどうかな。ゲーム由来とは言い切れないが「リセット」「バグ」…考えればもっとあるかな
ただまあ、新聞コラムや国会質疑にはまだ当然、これらの言葉は出てこない。世代ごとの感覚の差とかも調べたら面白いかも。


格闘技由来では以前「タップする」はどれだけ一般的なの?英語でもふつうの場面で意味が通じるの?とかの疑問を、北京の柔道記事で産経新聞が「タップ」を使った時に書いたな。まだ調べていない。