INVISIBLE Dojo. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

処刑前の広田弘毅、「漫才・万歳発言」の真偽は

http://d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/20080928

「漫才」論争の珍


 『小説新潮』九月号に「広田弘毅は『漫才』と言ったのか」という特集記事があった。これは城山三郎『落日燃ゆ』の最後で、A級戦犯らが絞首刑に処せられる前に松井石根らが「天皇陛下万歳」を唱えていると、後から広田が板垣征四郎などと一緒に来て、教誨師花山信勝に「いま、マンザイをやっていたのですか」と訊いたという記述である。花山は始め分からずにいたが、「ああ万歳ですか、それならやりましたよ」と言い、広田は板垣に、あなた、おやりなさい、と言い、板垣と木村が万歳三唱をしたが、広田は加わらなかったというところである。城山はこれを広田の「皮肉」ととらえている。
(略)
 さて、1974年の刊行当時、平川祐弘先生がこれに異を唱えて、花山の『平和の発見』にこの記述はあり、最後に一同で万歳三唱を行ったとあるが、広田が加わらなかったとは書いてなく、「マンザイ」というのは方言に過ぎない、とした。城山はこれに反論して、自分は関係者に取材したのであり、信念は微動だにしない、と答えた。

 この二文は当時『波』に載ったもので、それが再録され、梯久美子の感想文がついている・・・。

もうこの号、店頭には並んでないのだろうか。
読んでみればよかった(まあ図書館にはあるかな)。


城山三郎の広田伝「落日燃ゆ」はものすごいロングセラーで、影響力は大きい。わたしも信じていたが、去年か一昨年に小林よしのりゴーマニズム宣言SPECIAL いわゆるA級戦犯」が出て、「この部分は城山の創作」と断定、へえそうなのかと思った記憶がある。


新潮を読まないと詳細部分はわからないが、少なくとも城山自身は「事実だ」と思って書いているということまでは分かった。
しかし結局のところ、事実関係は小谷野敦氏の言うとおり

・・・要するに、「マンザイ」が皮肉だったかどうかはともかく、万歳三唱に加わったかどうかは、花山(教誨浄土真宗僧侶。最後を実際に見て、やり取りしたいた人)の証言があればいいのに、いずれも花山がこう証言している、と言わないところが珍妙だというのだ。むろん花山は1995年に死去しており、もはや確認するすべはない。

ただ城山氏は、花山の証言の信憑性に疑問を呈しているという。
他の看守とか、そういう人の証言とかあるのかな。