働きマン
「映画の買い付け業」を描く。埋もれた名作を発見し、丁々発止の駆け引きで権利者と渡り合い、公開にこぎつける…という島耕作チックな話ではなく(含みは持たせているが)内容は二の次で買い付け、芸術映画を「おバカ映画」としてけったいな題名をつけ、単館上映館を抱き込んで公開館を増やし、キーパーソンに試写に来てもらって宣伝効果を…
というような、山本夏彦言うところの「世はいかさま」な人物を描きます。
「目に見える仕事と見えない仕事がある。俺はその見えない仕事担当なんだ」と彼はうそぶく。
この前「代理人」とか「出版プロデューサー」「おもちゃプロデューサー」「パチンコ版権商社」などの話を連続して書きましたが、実は自分も、ああいう「定価」や「コスト計算」の無い世界で口八丁手八丁で、あやしげな顧問料、企画料、コンサルタント料…とかいうものをせしめていく、そういう「怪しげ業界」の世界に入ったらおもしろかろうなあ、と就職を決める時期にちょっと思ったものでした。
まあ自分に絶対そういう才能はないし、何よりどこで就職試験を受ければいいかも分からない(笑)。
それは断念したのですが、まあ実際にそういう世界をのぞけば苦しくもあり、面白くもあるだろうね。いったん出てこれたのに、エリア88の傭兵よろしくわざわざその世界に舞い戻る人だっている。
私どもは、宝島ノンフィクションとか、こういう本でその世界に触れればよしとしましょうか。
私はいかにハリウッドで100本の映画をつくり、しかも10セントも損をしなかったか―ロジャー・コーマン自伝
- 作者: ロジャーコーマン,ジムジェローム,Roger Corman,Jim Jerome,石上三登志,菅野彰子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1992/01
- メディア: 単行本
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へうげもの
冒頭の「豊臣秀吉vs源頼朝(木像)」のエピソード、実は史実なんです。司馬遼太郎は「このころから秀吉は、医学的な意味での誇大妄想などを疑う必要が出てくる」とまで言っている。
ただ、そこに「秀吉様、徒手空拳から(精神の世界での)天下を取った男がもう一人おります。千利休です」と石田光成が排除を訴えるという展開は、虚実をうまく繋げていて面白い。
3月のライオン
いや内容じゃないけど、なんか「 3月のライオン」の宣伝にやたら会社が気合入れてるみたいじゃない。広告をよく見るし、そもそもコミックスを発売して、次の週はその続きで「すぐ読めますよ」ってすごくね?
これってみんなできるんなら、もっと他でもやればいいのに。
デトロイト・メタル・シティ
最近は正直低調だったが、新キャラクターのおまわりさんは大ヒット商品だ。
クラウザーさん逮捕に執念を燃やすという点では敵だが、彼の宣伝、ハッタリを一番まともに受け取り、いやそれ以上に「クラウザーなら必ず…という凶悪犯罪を起こす!」と予測して先回りする。つまり、ある意味ファン以上にクラウザーを誤解し、過大評価している、というとっても秀逸な設定。
おまけにそれ以外では極めて真面目でやさしく職務熱心。クラウザーの中の人・根岸君は、彼に助けてもらったこともあり恩を感じている。この警官が上層部にいつも「かならずクラウザーはXXでXXXをします!本官の進退を懸けます!」と応援要請をするので、クラウザーさんはこの警官を首にしないために、そこにわざわざ出かけなければいけない、という、非常に素晴らしいシチュエーションだ。
応用は色々と効くし、おそらく今後この警官は作品のキーパーソンになっていくと思う(なってほしい)。