http://d.hatena.ne.jp/washburn1975/20080119
実は最初、二回ぐらい読んでも意味がよく読み取れなかった。ようやく分かったのははてなキーワードの助けによるもので、
「Q.B.B 」の項目を見ると
「泉昌之」名義でも活躍する久住昌之と、実弟・久住卓也との二人からなる漫画家ユニット名。Qusumi Brothers Bandの略。
ずでんどう、とひっくり返る体験をひさびさにした。
原作者なんて、絵を描くコンビの画によって作風はがらりと変わるのもよくある話で、名義まで変えられちゃったら気付かなくたっておかしかない・・・という事例はたくさんありますけどね。
大人の哀愁と一歩引いたおかしみを描く「孤独のグルメ」と、「人生で一番恥ずかしい時間」である中学生の哀愁と一歩引いたおかしみを描く中学生日記(※念のため、一般の人向けに注釈。NHKのドラマとは別物です!)・・・あ、言われてみりゃ同じ方向性だ(笑)。
「中学生日記」については、文庫本に納められた水道橋博士の解説に何を付け加えることも不可能なのでそれを読んでもらう(同氏の書評本「本業」でも読める)こととし、
- 作者: Q.B.B.
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2002/08
- メディア: 文庫
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- 作者: 水道橋博士
- 出版社/メーカー: ロッキング・オン
- 発売日: 2005/08/01
- メディア: 単行本
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「孤独のグルメ」について。(これもいい書評はおそらくたくさんあるのだろうが、それはスルーしよう)
これは私、リアルタイムで読んでいたんですね。珍しいほうかもしれない、というのは掲載誌「PANJA」ってかなり売れなかった雑誌で、すぐ休刊になったから(だからこの作品も、せいぜい一冊分なんだ。)そうそう雑誌で読んでいる人はいないはずだ。
しかしだ。この前の朝日新聞書評欄皆さん読みましたか
http://book.asahi.com/bestseller/TKY200711280169.html
94〜96年に雑誌連載、97年に単行本、00年に文庫化。読者層は10〜30代が中心。「気がついたら在庫がなくなっている」というジワジワとした売れ方で、ネットでよく取り上げられる。
◇
21刷・8万8000部
【補足】コメント欄
某出版関係者 2008/01/22 01:02
おお、「孤独のグルメ」、たまたま昨日貸してもらって読んだ。
ちなみにその帯は「10万部突破!」とあって、22刷でした。1〜2万部ほど印刷したらしいです。
不思議なもんですね。
店はおそらく?実在のものが多い(最初のリンク先ブログでも以前「上京してこの漫画の店にに行った」という話が出てくる)でしょうか。そういう東京人にとっての手軽なガイド、体験エッセイコミック的な意味合いもあるのかもしれません。
ただ、やっぱりこの本がよく長く売れるのは
■「ここに久々に来たんだから、あの店に行こう!」というふうに心の中で決定していたのに、その店が閉店。しかたなく食べた別の店も悪くは無いがやっぱり・・・
■がっちり食おうか、軽く済ませようかで悩んで、やっと決めたら回りの人が食うメニューがうまそうでそっちにすりゃよかったと後悔。
■やっぱり車中で食う駅弁はンマイね。
■やっぱり酷暑の高校野球を会場で観戦、応援しながら飲む氷水はンマイね。
■入った店で味は中々だが、店の主人が店員を大声で怒鳴る、叱る。そんなことをされたんじゃこっちの飯もマズくなる!(このエピソードがネットで有名らしい)
■ちょっと豪華に、金に糸目をつけずコンビニでうまそうなものを片っ端から買っていこう。うわあちょっと豪華なディナーだ。
- 作者: 久住昌之,谷口ジロー
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2000/02/01
- メディア: 文庫
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こういう、美味しんぼや神の雫のような「絶対に生涯俺たちにゃ縁が無いよな」というやつとはちがった「あるある的共感」・・・・いや、こういうと矮小化に過ぎる。「食にまつわる普遍的な喜怒哀楽」を、谷口ジローの画力の下で描いたからこそ10年以上前の作品がまだ売れているのだろう。朝日新聞には、おひとりさまでの食事風景が増えたとか、コンビニフードの豪華買いも一般化した、ということも背景にあるとしていて、それも無いとは言わないがごく一部分だと思う。
孤独のグルメーーーつまり一人での食事にテーマを絞ったのも成功の理由のひとつだが、「食事とは、個体の維持だから先天的に密室性と孤独性を伴うのです」と藤子・F・不二雄もSFの設定を借りて語っていた。この作品は文庫の表題にもなっている。
気楽に殺ろうよ: 藤子・F・不二雄[異色短編集] 2 (2) (小学館文庫―藤子・F・不二雄〈異色短編集〉)
- 作者: 藤子・F・不二雄
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 1995/07/15
- メディア: 文庫
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spれはともかく、さっき上で箇条書き風に列挙したようなテーマはサラリーマン四コマ漫画でも時々ネタになるし、何より先行作品として東海林さだおの「ショージ君」コラム、「丸かじり」コラムでも多々取り上げられている。
彼の場合、さらに描写観察は細部にまで達し、「相席したとき、自分より後に注文した相席客の料理が先に来たときの気まずい緊張状態」なんてものも書いている。
- 作者: 東海林さだお
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2003/11/08
- メディア: 文庫
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何しろ杜甫や幸田露伴の詩、文章まで自分が気に入らないとなれば「ヘッタクソ」と遠慮なく言い放つ高島俊男氏すら、「文章の妙、ここに至るか」と脱帽する名文だ。
ただ、ショージ君のアジアジハフハフな絵柄じゃ、ストレートな意味での滑稽感が出すぎる(笑)。谷口ジローのダンディズムあふれる絵だからこそ、どんなものをどこで食べても上品さが漂い、また「事件屋稼業」でも見せる、こいつらだからこそやっていることがアホらしくて笑える・・・という逆の滑稽感も出せる。
それにやっぱり、谷口レベルの絵のうまさというのは主人公が料理を「もしゃもしゃ、」と食うときに「絵の妙、ここに至る」と脱帽させる・・・・というかこっちも腹を減らしてしまうほどの効果がある。
そういう点で、奇跡のコラボレーションでした。中学生日記の絵柄で「孤独のグルメ」はちょっと(どころじゃない)むつかしいし、谷口ジローの絵で「中学生日記」は・・・・あ、これはちょっと見てみたいな。
あと、自分の希望としては「孤独のグルメ」作者と東海林さだおの、わびしいB級、C級グルメを語る連載対談が読みたいです。同じようなテーマでやっていた椎名誠を加えての鼎談でもいい。