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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「強敵は慣れないうちに倒せ」という選択・・・&元柔道選手の育て方

まず、例の「FIGHTER」(晋遊舎)から、熊久保英幸氏の記事。

ヒョードルについて、とっておきの裏話を−−−−−。2002年6月23日、リングスの活動停止を受けてヒョードルはPRIDEのリングに新たな戦場を求めた。このとき、当時無敗のPRIDEヘビー級チャンピオンとして”世界最強”の座にいたのはノゲイラ。当分の間、ノゲイラを破る選手は出てこないだろうと思われていたのだがノゲイラのマネジャーは私にこういったのだ。「ヒョードルとは年内にやっておきたい」と。
その理由を聞くと「ヒョードルがあと何戦か経験を積んで、1年後とかに闘うのは危険。こちらとしては早いうちに叩いておきたい」という。おそらく、これはマネージャーの意見というよりも、ブラジリアン・トップチームの総意だったと思われる。(41p)


試合が決まる前の対戦相手の交渉というのはなかなか厄介なもので、意外な選手の陣営が「あいつと戦うのはいやだ、あいつならいい」「彼と闘うならギャラはXXXX円で」とごねたり計算したりする。

だから、それを書いた熊久保氏のこの文章は自分で言うように「とっておきの話」であり、スクープだろう。


たしかに当時、自分もセーム・シュルトを不完全燃焼の判定ながら破り、ヒース・ヒーリング戦にはスカ勝ちしたヒョードルが、次の福岡で挑戦なんて話を聞き、「えらい破格の扱いだな。やっぱり元リングス王者という肩書きは効くのか」と感じた記憶がある。まあシュルトはそれまでPRIDE無敗、すべて1RKOで勝利しておりノゲイラの王座に一番近い存在だったし、ヒーリングも王者決定戦に出た同じく”大関級”。納得いくマッチメークではあったけど、興行的にはもっと引っ張るべきだろうと思っていた。こういう裏話があったのか。
練習期間がやや長引いたことは、ヒョードルvsノゲイラ初戦にいかに影響したのだろうか。


さて、そこでこの前のPRIDEにおける瀧本誠の名勝負、そして目立たない扱いながらも快勝したDEEPの小見川道大という吉田道場の二人を思い出してみたい。
いずれも、これまでの試合ぶり、酷評を払拭するような活躍を見せた。


その小見川の試合を、中継で解説していた郷野聡寛がこう語っていた。

まあでも、吉田道場の選手って、今まではまあ、いきなり飛び級でメジャーな舞台に上がって、ってのが今まで多かったですけれども、やっぱそういうところでやればつけ入る隙はいっくらでもあるんですけど、こうやって下から地道にキャリア積んでってなると、柔道出身の体力のある選手は厄介になりますよね。崩しづらくなりますよね

吉田道場の選手(瀧本誠)をこと在るごとに挑発、対戦要求していた
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20060421#p2)郷野の言葉だけに重みがある。


逆に郷野の瀧本挑発は「今のうちにやっておくのが得策」ということだった可能性も高いな。たしかに瀧本誠やパウエル・ナツラのマッチメークは今から見てみれば、少々家賃が高すぎたきらいもある。(ナツラは年齢を考えて本人が短期決戦を望んだそうだが)。

逆に、秋山成勲チェ・ホンマンって、当初さんざん揶揄されたプロテクト気味のマッチメークが実は、結果的にいい教育期間になったんじゃないか?と思っています。アレ無しでは今のレベルにも達しなかったと思う。
一回「顔見世」で派手な金魚とやったあと、DEEPで地味に闘う・・・そんな上手い組み合わせも出来ないかな。これは柔道選手だけじゃなく、レスリング選手とかもそうだろうと思うんですけどね。宮田和幸なんかどんどん凄くなってるでしょ。


そういう形で実力をつけたら、初戦や次戦などで不用意につけてしまった黒星を再戦で取り返す、なんてこともやってほしいものだ。


ただ吉田道場の場合、マーク・ハントが同じように「おれも経験を積んで総合に対応した、初戦の不用意な黒星を取り返したい」と吉田秀彦に挑戦したらまずかったりするのだが(笑)