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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

日独比較論の今−−朝日新聞より

http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20050421#p3
の続編と考えてほしい。

若宮啓文氏のコラム「風考計」より。

常任理事国入り 問われる「敗戦国」の作法
http://www.asahi.com/column/wakayama/TKY200504250098.html

韓国の盧武鉉ノ・ムヒョン)大統領はドイツが大好きなようだ。2週間ほど前、ベルリンを訪問した折も、「ドイツの過去の清算を尊敬しています」「良心と勇気、実践によって信頼を回復しました」と褒めちぎった。

 日本とともに国連安保理常任理事国入りを目指すドイツへの、手放しの賛美。それに引き換え……と日本に問いかけるかのようだった・・・

さて、全体の構成や結論はおいといて、注目したい部分はここです。

・・・ヒトラーの蛮行を正面から批判したワイツゼッカー大統領の演説も、次の一節とともに語り継がれている。

 「私たちはみな過去を受け入れなければなりません……過去の前に目を閉じる者は、現在についても盲目になるのです」

 こうして謝罪の姿を印象づけてきたドイツは、いま近隣国から指弾されることがない。日本もそうあってほしいと、かの外交官は言うのだった。

 私もそう思う。ただし、ドイツがはっきり謝ってきたのは、ユダヤ民族の抹殺という人類史上まれな行為に対してである。しかも、すべてをナチスの罪として葬り去ることができた。日本とはいささか条件が異なる。

 私はそんな見方も紹介して少し水を差したのだが、彼は「潔さは見習うべきだ」と言うばかりだった。

若宮氏のほうが、西尾論文の主張を引用するという事実。もちろん、氏は最初に対話の相手(韓国の外交官)に同意した上でこの話を持ち出しているし、これは相手に更なる再反論をさせるための引き出し、テクニックだったのかもしれない。

しかし、若宮氏の持ち出した(西尾幹二の主張に沿った)話に対し、言葉の専門家、説得と議論のプロフェッショナルたる外交官が、若宮氏の報告によると「彼は「潔さは見習うべきだ」と言うばかりだった。」と、スローガンの繰り返ししか術が無くなったそうなのである。


若宮氏の「ドイツの作法がうまかったとすれば、日本のそれは余りに下手だった。」と「うまい」「ヘタ」という比較論も、一頃の同社の論調から比べると、物凄いトーンダウンであることも注目すべきである。


日独責任比較論は、印象論と離れた思想問題としては、すでに決着した・・・ということの傍証に、この記事は逆になり得る(笑)ので、ご紹介した次第だ。