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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

ヒトラー最後の日を描く2作品

片方の作品は、既報どおりのこれ

http://www.sankei.co.jp/news/050106/bun024.htm

独で映画「滅亡」公開 「人間ヒトラー」に波紋

=国民の7割肯定的/仏紙は不快=

 【ベルリン=黒沢潤】ナチス・ドイツの指導者ヒトラーを描いた映画作品が、さきごろドイツ国内で公開された。「デア・ウンターガング(滅亡)」と題するこの映画は、独裁者ヒトラーを戦後初めて「血の通った人間」として描いたことで、公開の是非を含めた激論が国内外で巻き起こったが、世論調査では7割近くが映画を肯定的に評価する結果となった。


 映画は、ナチス・ドイツの首都ベルリンをソ連軍に包囲され、地下壕(ごう)で愛人のエバ・ブラウンや腹心の部下らと最後の12日間を過ごすヒトラーを追う。 
 抗し難い現実に絶望しながらも、女性秘書や犬に優しい心遣いを見せるヒトラー。自殺を前にスパゲティを食べ、涙をうっすら浮かべながら最後の感謝の言葉を料理人に投げ掛けるなどの意外な一面も描かれている。
 ヒトラーの女性秘書、故トラウデル・ユンゲ氏の回顧録と、歴史家、ヨアヒム・フェスト氏の著作を元に、気鋭の映画製作者、ベルント・アイヒンガー氏が脚本を書き上げたもので、内容はほぼ、史実に基づく。監督はオリバー・ヒルシュビーゲル氏、ヒトラー役はブルーノ・ガンツが演じた。
 昨年、最大規模の約400館で9月から上映され、制作費は1350万ユーロ(約19億円)と、ドイツ映画としては最高水準。約450万人の観客が足を運んだ。


 これまでの映画やドキュメンタリーで、ヒトラーはドイツ将兵ナチス支持者を前に絶叫調で演説する姿が取り上げられるのが定番だったが、この映画はこうした過去のイメージを転換した形だ。

 「ヒトラーは実に魅力に満ちた人物で、だからこそあれだけの人々を蛮行へと導いた。われわれは今、彼が“狂人”だというこれまでの単純な人間描写を変える必要がある。機は熟した」。一般上映を前に、アイヒンガー、ヒルシュビーゲル両氏はこう力説した。


 しかし、こうした“意欲的”な作品に、国内外では大きな議論が巻き起こった。独左派系高級紙ツァイトの映画評論家、イェッセン氏は「ヒトラーはとらえどころのないモンスター(怪物)だ。このような映画が出現するとは驚きだ。タブーは破られた」と論じた。
 独紙フランクフルター・アルゲマイネは「この映画は、ヒトラーに共感を持つことが許されるかどうかの問題を提起している」と鋭く批評。フランスのリベラシオン紙は、ドイツ人はヒトラーを人間として描くほど成熟しているのか、と露骨に不快感を表した。


 ドイツでは今も、公の場でナチス式敬礼をしたり、カギ十字を掲げることは犯罪で、ヒトラーの著書「わが闘争」も出版禁止だ。
 だが、独世論調査機関のアンケートでは、69%がこの映画を肯定的に評価するという衝撃的な結果が出た・・・・【1月6日 東京朝刊より】


(続きます)