毎日「記者の目」が面白い。更新されそうなので全文引用
http://www.mainichi-msn.co.jp/column/kishanome/archive/news/2004/07/20040707ddm004070076000c.html
参院選・自民51議席攻防=小菅洋人(政治部)
◇首相は自らの進退を問え−−争点は「小泉か否か」だ参院選の投票日まで、あと4日を残すのみとなった。毎日新聞を含むマスコミ各社の情勢調査を見る限り、自民党は苦戦しているようだ。そこで小泉純一郎首相に提案がある。劣勢をばん回するために「勝敗ラインの51議席を割り、選挙に負けたら退陣する」と、はっきりと宣言したらどうだろうか。最後に自分の進退を自ら争点化するのである。これは首相にとって決して悪くない選択だと思う。3年間の「小泉政治」を判定する側の有権者にとっても歓迎すべきことである。
参院選は衆院選とは異なり、政権選択選挙であるよりは「中間選挙」的な意味合いが強い。しかも、自民党が早々と「勝敗ラインは51議席(=改選議席維持)」という低めの目標を設定したことから、有権者の関心は低いとみられてきた。
しかし、年金制度改革に加えて自衛隊の多国籍軍参加という、内政・外交にわたる大きな争点が生まれ、先週末の各社の情勢調査で「自民党51議席」は、容易な目標ではないことが明らかになった。これで、がぜん参院選の結果が注目され始めた。あわてた自民党は公明党との重点選挙協力区の見直しを行い、激戦の1人区(改選数1の選挙区)でテコ入れに入った。今、まさに「民主党への追い風」VS「自公組織選挙」の最終攻防という局面である。
仮に攻防に敗れた場合の自らの進退について、自民党の安倍晋三幹事長や青木幹雄参院幹事長は「辞任する」と明言している。しかし、小泉首相は、はっきりしない。だから、はっきり言ってほしいのだ。
今回の選挙が特に大切なのは、この選挙が終われば、向こう3年間、大きな国政選挙がないからだ。衆院選は、首相が衆院を解散しない限り07年秋までない。参院選も3年後。つまり、この参院選は、自民党政権を率いる首相に白紙委任状を与えるかどうかという選挙なのである。
小泉首相の続投となれば、自民党総裁任期が切れる06年秋まで、人気取りに神経を使うことなく思う存分力を振るえる。有権者は首相を徹底的に吟味し、力を与えるかどうかを決めなければいけない。首相の進退をあえて争点化することで、選挙の意義を鮮明にすることができる。
首相にとって必ずしもマイナスではないという点を強調したい。有権者の中には、年金問題などで政府や自民党におキュウをすえたいが、「小泉首相を交代させてまでは……」と迷っている人もいるだろう。この3年間、首相にパワーを与えてきた小泉支持層が、首相の危急存亡の秋(とき)にもう1回、投票所に足を運ぶかもしれない。
実は、これは民主党が心配しているところでもある。「民主党優勢」の情勢調査が出た際、同党の幹部は「首相の進退が焦点になると、そこまで追い詰めなくてもいいという同情論が出る。野党にそこまで勝たせなくていい、とならないか」と不安をもらしていた。
低落傾向にあるとはいえ、なお40%の支持を持つ首相は自分の人気を信じ、勝負すればいい。首相は竹中平蔵金融・経済財政担当相を説き伏せて国民の審判にさらし、構造改革路線の是非を問おうとしている。ならば、自らの進退も問うたらどうか。それで信任を得られれば、胸を張って改革に突き進めばいいのだ。
首相の側近たちはこう反論するかもしれない。「仮に(獲得議席が)40議席台でも(首相が)辞める必要はない。政権の是非を問う選挙は衆院選である。今の党内には小泉さんに代わり得る有力な総裁候補はいない。あえて進退を争点にするようなリスクを冒す必要はまったくない」……。
この情勢分析は、おそらく正しい。自民党内には選挙に負けて求心力を失った首相を歓迎する向きもあるかもしれない。しかし、国民の後ろ盾を失った首相は、人事でも政策決定でも、与党の僕(しもべ)にならざるを得ない。そんな状況で、郵政民営化をはじめとする小泉首相の改革は、前に進むのだろうか。
自民党が51議席を割っても小泉首相が居座った場合、国民の支持をバックに抵抗勢力を抑え込むという、これまでのスタイルを貫くことはできず、与党との妥協の連続になるだろう。青木氏はこう言っている。
「与党は衆院で過半数を持っているから、(参院選で負けても)小泉総理は辞める必要はない。しかし、参院選で負けた総理は死に体だ」
首相は、こうまで言われてなお、政権の座にしがみつこうとするだろうか。
民主有利で各種調査が一致している今、奇手として「私はXX議席以下なら責任を取り退陣します!!わたくし、小泉を辞めさせたいと思うなら野党に投票を、もうしばらくやってくれというのなら自民に一票をお願いいたします・・・」というのは確かにアリかもしれん。そもそも総裁選が、それに近いやり方での勝利だ。
しかし、まだ自民党に勢力基盤がないころの小泉ならやったかもしれんが、これだけ守るものができてしまっては、記事にあるように逃げ道を確保するほうが賢策だということになったのだろう。
最後は守るものが出来すぎたボブ・サップにならなきゃいいが。
さて、貴方は「今」「小泉に」「総理をやめて」もらいたいですか?