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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

山本七平の新書が増刷

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4047041572/249-9179607-4237914

13年前に亡くなった評論家の、30年近く前の未単行本化原稿を新書に直す。
けっこう異例で、かつチャレンジングな企画だったと思うが、この前の新聞広告だと増刷掛かったと書いてあった。買う読者も偉いし、企画した角川の編集者も偉い。


「読者は虱に似て、生きているうちはついているが死ぬとどんどん離れる」といったのはコラムニスト山本夏彦だが、彼もまた読者がその言に反して、離れていかないのはなにやら可笑しい。

そういえばこの二人「W山本」として対談本を2冊残しているな。
(「夏彦・七平の十八番づくし」「意地悪は死なず」)
夏彦が俗世間に精通し、七平は超俗な浮世離れをしていてその対比の妙が面白かった。同時に、「大正・昭和初期の自由を知っている目から、戦中・戦後を観察していた」という骨太の共通点もあり、だからこそ面白い本になっている。

しかし、どうでもいいが七平氏はいちおう「保守派」ってことになってるんだけど、或る意味めちゃくちゃに”反日”だよ彼は(笑)。インテリでクリスチャンという日本の「少数民族」だった彼が、日本軍に代表されるわが国の組織、社会構造を見る目は、極めて冷徹で容赦のないものである。
だから必要なのだが。この新書は、もうひとりの無名の戦中インテリが書いた手記を紹介、分析するもので、そういう点での相乗効果もあり。