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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

漫画だからできる、怪物vs怪物・・・かわぐちかいじ「ジパング」より

かわぐちかいじの「ジパング」。展開が急であります。
太平洋戦争のストーリーを(近代兵器とかで)書き換える架空戦記、俺は「基本的には愚作の量産場だが、たぶんそこを探すと傑作や、学ぶべき知識や視点もあるのだろう」と、好意的なんだか否定的なんだか自分でも分からない印象を持ちつつ、中立的に見てました。

ジパング」も当初は、かわぐちの漫画がモーニングにあるから見ている、というようなもので、「太陽の黙示録」のほうが気になっていたぐらいですし、現在のようなストーリーにならなきゃここに書いてもいないでしょう

<以下ネタバレにつき、読むのは自己責任で>
石原莞爾が、少数の部下とともに直接延安の毛沢東解放区に乗り込む。
手土産?は、インド洋から蒋介石への補給ルートを叩く日本の秘密計画。
これを見過ごせば(中国共産党にとって半分は敵、半分は見方の)蒋介石軍は弱体化するなど、この情報の扱いひとつでソ連、英国、米国いずれも大いに動く。
しかし、なぜ石原はこの計画を教えたのか?真の狙いは?

というわけですが、妥当か不当か、毛沢東という人物はこういう描き方をまだ許される人物なわけです。
ヒトラー総統もこの作品に出てきましたが、あまりヒューラーを英雄的、大物的に描くとまあそのなんだ、ガーファンクルセンターじゃないや弘兼センターじゃないや、とにかく色々困るじゃん。ブロッケンJrだって無かったことに成りかねないしで。
スターリンも、まあヤバい。


毛沢東も、一人の政治指導による人命消失という点では20世紀において、同種の評価を受けてしかるべきなのだが、しかし中国において「水滸伝」の人物のような、道徳や規範を超越した”豪傑”としてのスケール感を持っていることも残念ながら事実である。


もともとヤクザもの、アナーキストもので鳴らしたかわぐちかいじである。
さだやす圭のような、大物二人のハッタリのかましあい(だけ)に終わる可能性もなきにしもあらずだが、道徳でも非道徳でもない「超道徳」の怪物同士があいまみえる場面を描ききったら・・・・凄いことになるかもよ。