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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

前田吉朗、復活祭!!・・・は9月に持ち越し

なにしろインターネット関連の常連ですら丸っきりいない状態でスので、観客動員数もおして知るべし。しかし、ヘビー級1試合以外はライトヘビーもウェルターもスーパーヘビーもなし、軽量級で勝負をかけた試験的大会。はたしてはたして。



■ 第1試合 ライト級戦 5分2ラウンド

井上和浩(インプレス)
飯田崇人(和術慧舟會A-3)

飯田崇人が、計量をパスできないから井上の不戦勝なんだってさ。
なにそれ、まるで競技みたいじゃないか(笑)。
DEEPではイエローカード1枚から試合開始とかあったけど、まあそっちのほうが邪道だよな。
しかしそれにしても、飯田選手は一体なんなのだろう。
誰が見たいとか見たくないじゃないけど(正直に言えば見たいわけじゃ全く無いけど)一応、チケット料金にあなたの試合も含まれてんだよ。返せよ。観客全員に。
不戦勝で、わざわざ律儀にリングコスチュームで井上選手はリングインしたのだが、まあものすごいバキバキの筋肉。この後に出てきた某選手や某選手と同じ階級とはとても思えないほど(笑)。
逆に言えば、井上選手だって減量に苦労していないわけはないのに、それでも彼はクリアし、相手はクリアできなかった。だからそのひどさが、あらためて分かった。

もう、飯田選手をパンクラスに上げる必要は無いでしょう。




■ 第2試合 ライト級戦 5分2ラウンド

NUKINPO!(パンクラスP'sLAB東京)
滝田J太郎(和術慧舟會東京本部)

ということでしょっぱなから慧舟會勢がミソをつけた中で、まったく気にせず?「リーブ21」の自分たちによる歌入り(理由と意味は不明)、ボーイズの踊りの中登場したJ太郎。
セコンドの宇野薫が一緒にされたくないといわんばかりに、さりげなく別に入ってきました。
相手はかつてJ太郎も「キャラがかぶってる」とみなしたヌキンポ。
意外やこれが大熱戦。
とはいえ、両者が超一流ゆえというより、逆に欠陥があったがゆえに熱い、一進一退の展開を呼び込んだという感もあります。どちらにせよ、そのしのぎあいの中で滝田選手が一日の長をうまく生かし、最後は明確に差をつけて勝利。

■ 第3試合 フェザー級戦 5分2ラウンド

DJ.taiki(K.I.B.A.)
村田卓実(和術慧舟會A-3)

Taikiが判定で負けました。二回勝てば、確固たる地位は築けたんだろうがそう甘くは無いか。
あと、次の試合でDJの由来を明かす、と言ってたけどどうなったのかな。
もちろん、「Djは梶原一騎流”夢、ロマン”で、ホンとはDJと何の関係もない」ことは判明しているのだけれど。

■ 第4試合 ヘビー級戦 5分2ラウンド

桜木裕司(掣圏会館)
アスラン・デゼボエフ/初参戦(マルプロジム)

謙吾戦を思い出してほしいっす。1Rはテイクダウンされて一方的に攻められたが、2Rで蹴りがビッグヒットし大逆転。
しかし、最後のアピールで、相手がロシア人だってことで「日露戦争」を持ち出してきた。
そりゃ、俺とかがこっそり言うようなネタだ(笑)。
しかも「日露戦争60周年」って、彼は日露戦争100周年と太平洋戦争終戦60年を混同してたよ。まさか占守島の戦いのことじゃないだろうし。
http://webmagazine.gentosha.co.jp/wascism/wascism.html


■ 第5試合 ライト級戦 5分3ラウンド

矢野卓見(烏合会)
クンタップ・ウィラサクレック/初参戦(ウィラサクレック・フェアテックスジム)

思えば、ヤノタクの試合は半分くらい生で見てるような気がする。
最終的には、ヤノタクが飛び込んでいって寝技で腕を極めての勝利。
彼がいい仕事したのはいつものこととして、負けたタイ人がえらい高い身体能力を持っている。
大化けの可能性は大!なにしろヤノタクをリング外に打撃でふっ飛ばしてるんだから(やや誇張)


セミファイナル フェザー級戦 5分3ラウンド

志田幹(パンクラスP'sLAB東京)
イヴァン・メンジヴァー/初参戦(トリスター・ジム)

これがかみ合った!!ほぼ1Rは互角、2Rはダウンっぽく倒れた以外は一歩も引かない。
3Rで、テイクダウンに成功し上になる志田。ここでこの状態をキープし、パウンドも派手なのをみせらばドローになる可能性も十分あったが・・・
ここでリバーサルされて、マウントをとられたのはまことに長蛇を逸した。
しかし、イヴァンのフレンドリーな明るさや技術、体力はばつぐん。志田とは、ほんとうに互いに手があったのだろう。
そうそう、3Rでは志田が上の状態から脱出後、イヴァンが放ったジャーマンについても触れねばならない。さすがに10年以上、総合も歴史をつむと、ダン・スバーン、ドスカラスJr、ジョシュ・バーネットらジャーマンを試合で披露したやつはいる。
しかしイヴァンがみせた一発は、へたしたらジャーマン・スープレックス「ホールド」ちゃうかというぐらい、プロレス的なブリッジフォームの美しさを見せたものであったのです。
これで、ああ判定は負けだなと思ったものね。
でも、逆にいえばあれだけ美しく完璧に投げても、リアル(なマット上の格闘技)ではKOは奪えないということか。


■ メインイベント フェザー級戦/5分3ラウンド

前田吉朗(パンクラス稲垣組)
コリン・マンサー/初参戦(チーム・シュクライバー)

師匠が反則王なら、その弟子もか。顔にワセリンを塗る(試合開始前に見つかってふき取られ、イエローもらった)ぐらいならまだしも、目つぶし、サミングだ。TKO後も大乱闘。
この目潰しというのが、前田にテイクダウンを取られてサイドポジションのとき、脱出しようと明らかに意識して狙ったもので、ダメージの深さもありレッドをくらっていた。
その後の再開で、前田がマウントからパウンドして試合終了。
2、3発ほどゴング後になぐっていた?前田に対し、下のコリンは立ち上がるとすぐに前田に襲い掛かった。リングは両陣営入り乱れて大乱闘。

しかし、これは岡本レフェリーがねえ?
同じ体勢でずっと殴られていれば、実際のダメージとはまた別にストップかかることもあるけど、それでもコリンがいきなり立ち上がって襲い掛かってくるというのは、「ストップ早いだろ」と周りが思ってもしかたないのではと思う。

しかしそれにしても、コリン・マンサーとその師匠の間で?連綿と「汚い手」が受け継がれているというのは・・・


こいつら、オランダらしく長崎の出島に隔離しといたほうがいいんとちゃうか?(オイオイ)


それは冗談にしても、もう二度とこのリングス・フリーファイト王者(ほんとだよ)は呼ばなくていい。
その後前田は「自分の試合より、セミの試合見てるほうが熱くなった。パンクラスの2番手がやられたんで、次の梅田(9月)でイヴァンとやりたい」と表明。

前田に今度こそ最強の敵が(以下略)。
それでも、自分のほうからこんな地味で強そうな選手と戦うと言い出すのはたいへんえらいと思います。

それはそれとして、反則無くてもコリンは前田とやるに値する選手だったのか?とも思わせる。その前があまりにも好選手すぎたので余計にね。

浅羽通明

上で出島というネタを書いたので→蘭学岩波文庫「おらんだ正月」→「風雲児たち」→「浅羽」と連想した。これは俺の中での話なので、一般性を問うてはいけない。

で、そこからいくつかのキーワードを経由して検索したら
http://academy3.2ch.net/test/read.cgi/sociology/1078847355
が出てきたのよ。社会学板だったね。
だれかがこのブログからも引用したりしてるが、それはさておき、最近の大学での講義の様子が受講生?から報告されていてこれが面白いですな。

788 :名無しさん@社会人:2005/07/09(土) 15:21:22
先々週の授業(法政)

知らないうちに資本主義に対する分析は終わり、歴史論について、前回までに、
歴史無き文明インドと歴史マニア文明支那に対する分析を終えた模様
今週は絶賛?公開中の戦国自衛隊にかこつけて歴史を変えるとは?について論理
上ありえないと前置きしつつ思索を巡らせる。その素材として小松左京「地に平
和を」(1960)を用いた。時は30世紀、一人のマッドサイエンティストが歴史の
変革を企てる。彼は大東亜戦争における日本の降伏を阻止し、本土決戦を招こう
とする。それは何故か?

大東亜戦争を最後まで戦わない矛盾を彼は修正しようとしたのだ。一夜にして米
帝のポチに成り下がった日本、彼はその修正を企てる。

ここで話は現実に戻る。浅羽は大東亜戦争の「アジアの解放戦争」「自衛戦争
の二つの歴史感を浅羽さんは論理的には可能と一旦肯定した上で切り捨てる。ポチに成り下がった我々に「解放」だ「自衛」だと語る資格があるのかと?
さらに切り捨て御免は続き、朝鮮戦争で復興し、ベトナムで豊かになった日本人に「ベトナムに(今ならイラク)共感する資格があるか!」と『脱正義論』いらい変わらない切味



789 :名無しさん@社会人:2005/07/09(土) 15:23:30
先週

最近あった日韓の歴史認識を巡る協議、実証を求める日本と始めから結論ありきの韓国あの朝日ですらやんわりと韓国を批判した。
しかしである、それは建国神話としての歴史を必要としない日本の強者性のあらわれではないか、我々はその強者性の自覚を持って主張を展開すべきである。
(そこで改めろと言わないのが浅羽さん)


で、どうも前期の最終講義では
浅羽先生がオススメする「余白を埋める夏のブックガイド」
が発表されたらしい。

798 :名無しさん@社会人:2005/07/16(土) 09:58:16
・『風雲児たちみなもと太郎
知る人ぞ知る日本史「物語」永遠の名著。リイド社からも刊行
・『妖星伝』半村良
環境・生命・進化・秩序・知性・幸福などをめぐる物語的思索の一頂点
・『アジアと西欧世界』北川稔ほか
全30巻の『世界の歴史』のうち、最大の異色。文明交代の物語
・『すべての道はローマに通ず』塩野七生
全15巻の『ローマ人の物語』のうち、最大の異色。インフラの物語
・『ロビイスト』小尾敏夫
アメリカはいかなる世界「帝国」なのかを考えさせられる。絶版
・『客家』高木桂蔵
ロビイスト』と続けて読むべき。支那がどういう「帝国」かが見える
・『明治大正史 世相編』柳田國男
そして我々は生活と心身をいかに近代へとカスタマイズしたのか
・『日本文壇史伊藤整
そして我々の知性と美意識のカスタマイズはいかに無様だったか
・『女性に関する十二章』伊藤整
華がない人生論なのに昔、ベストセラーだったのは単に題名ゆえ
・『私の幸福論』福田恆存
「容貌について」から始まる華がない人生論で無論売れなかった
・『貧乏は正しい』橋本治
そして我々はどこからどうやりなおして未来を再構築するのか
・『青空人生相談所』橋本治
そのためにはこういうきびしい言葉を他人事でなく浴びておかねば
・『面白い小説を見つけるために』小林信彦
ハマるとはどういうことだったのかが気品とは何かとともにわかる
・『夢の砦』小林信彦
サブカル誕生に青春をかけた男たちのやがて悲しいプロジェクトX
・『現代人の論語呉智英
知を文化を保有することのやばさとそれを捨てられぬ矜持について
・『妖説太閤記山田風太郎
もてない男は天下一となるまであがいても遂に幸福にはなれない


799 :名無しさん@社会人:2005/07/16(土) 10:03:25
・『修羅維新牢』山田風太郎
結局、人間はどうあがいてもダメなんなんだとしみじみ悟るために
・『わらの女カトリーヌ・アルレー
さらにもっととことん人間に絶望しつくしてへこみきるために
・『プードルの身代金』パトリシア・ハイスミス
さらに絶望させられた上で後味悪いいやーな思いで胸が塞がる
・『柿の種』寺田寅彦
科学を知ると日常のさまざまなデテールの隙間から何が覗けるか
・『うらおもて人生録』色川武大
それでも生きていくしかないからこういう文章もある。西部邁解説

あの人、ブックガイドをつくるのが大好きなんだよね。
思想即読書ガイド紹介、 読書ガイド即思想という形だ。


俺も夏休み向けに、こういうのを作ってみたいとこだな。

月刊現代・・・先月の(秦郁彦vs田岡俊次)

今日はNHKvs朝日新聞問題で魚住昭のスクープ記事?が載るということで注目を集める月刊現代だが、実にしょっぱいことに、その関係で8月号(先月号)の記事を思い出した。
いまさら遅い話で、図書館にでも行ってもらわないといかねいのだが、ここで田岡俊次秦郁彦が「激突対談」を行っている。両者の経歴はいうまでもないですね。(知らない人はこの日記を検索するかキーワードで)

両者、中国の位置付けや歴史問題、靖国問題の処理の仕方など多くの対立点はあるのだが、その半面一致点も数多いし、何より歴史のディテールを自由自在に引き出し自説の補強に使うというパーソナリティの点で共通している。丁丁発止ぶりはどちらの側から読んでもおもしろい。

逆に、これでよくわかるのが田岡元帥がレギュラーの「愛川欽也パックイン・ジャーナル」では、いかに田岡元帥閣下に対する知的好敵手が存在せず、その分、逆にいいっぱなしやぞんざいな議論が増えてしまうかということ。
それは田岡俊次氏本人にとってこそ不幸だ。

池内恵(8/1朝日新聞)

「時流自論」というコーナーに1973年生まれの若き俊英として、イスラム現代思想への独自のアプローチ法を確立した池内恵さんが登場。
題が「「差異への権利」のジレンマ」。ね、おもしろそうでしょ。

・・・事件直後から「差別と貧困がテロの原因だ」という解説が「識者」によって盛んになされたのには驚いた。そもそもイギリスのエスニックマイノリティに対する政策を最も先進的なものとして解説し、イギリスを基準にしてフランスやドイツの政策を低く評価し、日本の後進性を批判してきたのではなかったか。それがテロが起きると一転して「差別と貧困が原因だった」という話になってしまうのなら、学問や論説の一貫性とはどこにあるのだろうか・・・

まだ若いのに(若いから?)論争的な姿勢を強く打ち出している。kの人の研究の学問的、政策提言的な充実とはまた別に、スケールの小さい興味だが、論壇村の若い衆としての暴れぶりも、純粋に興味深く追っていきたい。


あと、引用部分はあくまでマクラで、本論のほうこそ根本的な問題に正面から切り込んだ議論ですよ。ぜひ一読を。


むかし池内恵に関して書いたエントリ
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20040507#p1