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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「本物の殺気を受けたことが、生涯一度だけある。原稿待ちの編集者の前で、手塚治虫とアニメの相談をした時」

その手塚治虫の命日(前の記事参照、2月9日)だというのに、遺族の希望通り作品を再読する前に(あとでします!)、また手塚の締め切り伝説の逸話のほうを語っちゃうのである(笑)


「日本アニメ誕生」という、この前逝去されたばかりの豊田有恒氏の晩年の本…当人もあとがきで「遺言のつもり」と書いているを読んだ。
これは以前から教えられていた重要な本で、それはなぜかというと一章を割いてパラレル・クリエーションについて……このへんもいろいろ語ることがありすぎる。あとでトータル紹介をかくが、手塚がらみで、ちょっと笑える部分だけを紹介


ある日、シナリオの校閲が遅れ、制作スケジュールに穴があきそうになった。文芸課長の石津嵐(のちに磐紀一郎のペンネームで時代小説家になる)が、かけあっても、手塚は返事をくれない。シナリオを書いた本人(つまり、ぼく)が、自分でかけあってこい、という話になった。一階のロビーから吹き抜けの三階へ叫ぶ。
「社長、ぼくのシナリオですが、読んでくれましたか。直すなら直すで、徹夜してでも上げないと、アニメ制作の穴があいてしまいます。お願いです。返事をしてください」
そのとき、ロビーのソファーに座っていた三、四人の男たちが、いっせいにぼくを見つめた。ぼくも八十年以上、人間をやっているが、殺気というものを感じたのは、この時が最初で最後だった。無精髭を生やした男たちは、雑誌の編集者で、いわゆる手塚番、自社の雑誌原稿の仕上がりを待って、徹夜している。担当する手塚が、徹夜で仕事をしているのに、寝るわけにはいかない。そこへ変な奴(つまり、ぼく)がやってきて、余計な仕事をもちこみ、邪魔をしようとしている。かれらが、ぼくを絞め殺そうと思ったとしても、いっこうに不思議ではない。

手塚とアニメの打ち合わせをしたら原稿待ちの編集者から殺気 日本アニメ誕生 豊田有恒


この「アニメ制作vs漫画原稿 手塚治虫争奪戦」は有名な抗争であり、なんどか漫画にも描かれていたと思う。

だが、「80年の生涯で、最初で最後の経験として人間から発される殺気を感じた…」と豊田有恒氏がビビるそれは、やはりすげぇ。
いろいろ編集者の問題が騒がれている近年だが、編集業を極めれば、これぐらいの殺気が誰でも放てるようになる。精進なされよ。
(いや、実際の所、今の問題とこの「殺気を発するまで編集側も追い詰められる」問題はやはりどこかでつながっていて、笑える話ばかりでもないとは分かっているのだが!だが手塚伝説は、令和のコンプラ価値観を越えてやはり笑ってしまう、は贔屓目ゆえか…)

追加する。この話につなげたほうがいいわ

そんなシナリオなんて、若手に任せりゃいいじゃん、丸投げすれば済むだろ?と思うやろ?
実は手塚治虫、執筆や製作を確かに頼れるアシスタントに任せたことはあっただろうが、一切○ミ\(・_・ )トゥ ←丸投げする、ということは、どうも無かったようなのだ。代筆とかでも、必ず細かい指示は出す、と。


手塚治虫は、二度も、豊田有恒にこう語ったことがあるという。
「こういう仕事は、名前を貸したら、おしまいです。」
聴くべきひとが、いまもいるはず!!!
政治資金報告書も、名前は政治家当人の名前で出てる筈だよな!!!



それはともかく、指示が細かいことに、メイン書き手の側もちょっとムッとしつつ、白熱したディスカッションになることもある。ある時、そんなやり取りを豊田有恒手塚治虫がやって、なんと珠玉のアイデアが生まれた!と思ったら既に1時間半経過。
そして、そこに営業担当重役以下大勢がなだれ込んで、手塚を拉致していったそうな。その日はアトムの商品化で、おもちゃ会社社長と虫プロ社長の手塚が調印式をする予定だったんだそうだ!!!

その話、ブラックジャックでもあったよ!

もしさらに、RHマイナスの血液型の友人が
怪我して、輸血が必要だったらどうしたんだよ(笑)!!

ブラックジャック 上と下 RHマイナス

しかし、まぁ、これじゃ会社もたしかにつぶすわな、と(笑)。
若手と喋りたいのに、仕事の話に邪魔される(邪魔というかこっちのほうが重大なのは確実なんだが)というのは、みなもと太郎と初めて会った時のそれだな。

手塚治虫は大企業との商談調印式より、若手とのシナリオ検討を好んだ