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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

怪獣インタビュー キングコングさん編「試合の結果を決めるのは…」

まず大前提・世界観の紹介

再度、大前提から説明します。
・このブログでは、なぜか「怪獣インタビュー」という記事が以前からある

・これは、ウルトラ怪獣をはじめとする世界の怪獣が「プロレスラー」として展開していたかつての激闘を、裏話を中心に、回想してもらう、というもの。そう、あの戦いはプロレスだったのだ!

・こういうのは(後からわかったのだが)ある物語を「芝居であり、登場人物は演技していた」という前提でパロディ、二次創作を描く「楽屋もの」というジャンルに分類されるらしい。
【参考】ある作品を「映画」、キャラは「俳優」と仮定したパロディや二次創作は結構多いそうだ(続報)。 -
d.hatena.ne.jp


・その、過去のリンク集がこちら
m-dojo.hatenadiary.com

そこから、世界観がつながった状態で、今回の記事になります…
特に前回のこれとは、直接つながっています。よければこちらもご一読を…
m-dojo.hatenadiary.com


※「怪獣インタビュー」、今回はついに!あの最大最強のレジェンド、いわばファイティングゴッド(闘う神)に、お話を伺うことができます。今回は当然、英語の通訳にご同行いただいたのですが…



【通訳】 あのー…。だいたいどんな傾向の質問を、ミスターキング・コングにすればいいのかしら? あまり怪獣プロレスは詳しくないので予め内容を伺っておくと…やはり生い立ちとか戦歴とか?



――通訳さん安心してください、自分は専門知識なんかより、何てか、もっと人間キングコングに迫る質問をするつもりだから。生い立ちや戦歴ならご本人より詳しいくらい調べてあるしね、ははっ。…しかし…そっ、その闘う神が、今こちらへ歩いてくる!こ、この威厳とド迫力ではなまじの相手じゃ戦わずしてビビっちまうだろうぜ…

キングコング(笑顔で握手)



ーーヒッ 万力みたいな握力!軽―く握っているのに…。ミ、ミスターキングコング、お会いできて光栄です。



「私こそ、このような形で日本のファンの皆様にメッセージを伝えていただけることを感謝いたします。私は無学な、 毛の三本足りないおさるさんだがね、それだけに報道やメディアに携わる皆さんを尊敬するのです」



ーーとんでもない!ミスターコングの赫々たる戦績を支えるのがたぐいまれなフィジカルと同時に、優れた頭脳による戦略性であることは皆の認めるところです。かつてある王国の王様が、「筋肉はゴリラ 牙はゴリラ 燃える瞳は原始のゴリラ」とあなたを評したのを読みましたよ

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神聖モテモテ王国 筋肉はゴリラ 牙もゴリラ 燃える瞳は原始のゴリラ それはゴリラだ



「ははは!! そのように私を褒めていただける国があるとは光栄だね。私もキングなどと一部では崇め奉られているが、その本物のキングダムへ、一度表敬をしてみたいものです。そしてもちろん、このエンペラーのおわす国で、私が知られていることも極めて光栄だと思っています」



ーーあなたが最初にニューヨークで戦っていた時代から、日本人はその戦いぶりに痺れていました。そしてまだ日米戦争の影も漂っていた昭和の時代に、いち早く日本を訪れ、今回と同じく、日本代表たる怪獣ゴジラとの激闘を見せてくださった記憶は、日本人から拭おうと思っても拭えません。一説には2000試合以上戦っているとも言われる地上最強…いや史上最強の秘密は?



「 トレーニングです!オンリートレーニング、練習 練習 ただ練習あるのみ! 天性の資質も無論あるが、それとて怠る一流は、鍛え抜いた三流に勝てません」



――それにしてもこの数字は桁外れ!よくこれだけ闘えますね。



「 YES、 私の戦う機会は多いだろう…そしてその1戦ずつにハート(魂)を打ち込むなら、その試合自体が、また最高の実践トレーニングになる!」



――そうすると、ゴジラさんとの戦いも、そんな一戦のひとつ、歴史の一齣にすぎないのでしょうか?
…それともやはりスペシャルな意味合いが、あなたにとってあるものでしょうか?
とはいえ、今回再戦が行われ、そしてそれが全世界的に反響を呼んだと言う結果から見れば 、答えは明白かもしれませんが。



「ふふふ、貴方は賢明だ、答えを先に読んでいらっしゃる。これも答えはイエス、 私にとってゴジラとのファイトは、スペシャルを超えたベリースペシャルな何かだ。それは最初にリングで相対した時からそうであるし、今回のファイトは”再戦”という意識は正直なところない。 1962年のあのファイト、が、まだ続いているーーー。その何ラウンド目かのゴングが鳴らされたに過ぎない、そう考えている。ミスターゴジラも、それは同じだろう」



ーーなんとも深いお言葉です。その今も続く試合ーーー。ただ便宜上、ファーストマッチと呼ばせて頂きますが、そこで印象に残ったゴジラ、あるいは日本の特徴のようなものはありますか?



「我々は何度もファイトする場所を変えて激突したが、特にNIKKO…日光が印象深かった。ファイトに当たっては、事前に色々資料を調べたのだが、日光は capital City であるトーキョーの真北にある…そして、かつて北の方角は、多数の星を従えて不動の位置にあるノース・スター(北極星)の場所であり、すなわちそれが王者のシンボルだったという。怪獣界のキングを決める戦いにふさわしい場所だと考え、そういう意識で戦いを組み立てたのを覚えている」



ーーそ、 そんなところまで調べて意識して戦うのですか!



「プロとしては当然の行為だと考えています。そういえば思い出した、そうやって調べた資料にあったのだが、日光にはまさに伝説として、2頭のビッグ・モンスターがバトルを繰り広げていたことに由来する『センジョーガハラ(戦場ヶ原)』と言うフィールドがあったそうですね。そしてそのファイトは熾烈で互角であり、そのバランス・オブ・パワーの均衡を破るのが、小さな人間の小さな1本の矢だった…このエピソードは、何を意味してるのだろう?これについてはミスターゴジラとも連日 ディスカッションして、それを受け継ぐファイトをしなければいけない、と意識したものだった」



ーーーまことに驚きです。キングコングゴジラと言う二つの伝説が、 なぜ今なお輝きを放っているのか、この話だけでも十分理解できました。 非常に哲学的…フィロソフィカル(philosophical)に感じました。



「それは我々の前に、怪獣ファンの皆さんが非常にソフィスティケーテッド(sophisticated)、洗練され都会的だからだ。我々は、というよりすべての怪獣レスラーは、見る人が何をどう意識するかを予測しなければいけない。そしてその観客の予測を、常に上回ろうとする向上心…それこそが何よりまして大切なのだ。今回のファイトも、そうであることを祈っている」



ーー(…こ、この鉄人の底知れぬ凄みは、量的な実戦体験に基づく戦場の哲学だッ、無数に浴びた返り血の量だ! 一つ一つの言葉が鍛錬に裏打ちされ、そして聞くもの、観客も満足させる……だ、だが、 ひとつだけ このキングコング自身の口から確認しておきたい疑問がある! )


――ミスターコング、しかしそのミスターゴジラとのファイトでは、あなたは光線を持たなかったし、今もお持ちでない。そしてゴジラ放射能火炎を吐き出し、試合を有利に展開した…やはり炎(ファイヤー)や光線を持つ怪獣は、近代の怪獣格闘技において、そうでない怪獣を上回っているのでしょうか? 
また、その時はミスターコングは ゴジラとの「電流爆破マッチ」を行い、そのアクシデントで高圧電流を浴び「帯電体質」を持ったことで相手の放射能火炎が平気になる……とのストーリーラインに沿っていました。しかし今から科学的に考えると、 どうしてもこのギミックには無理があると思われます。この辺は東宝映画やハリウッド… 当時あなたをマネジメントしていたユニバーサルスタジオの、様々な思惑があったのではないか?そう思わせるものがあるのですが…いかがですか?



【通訳】 …そ、それそのまま通訳してもいいんですか 本当に?  ファイヤーとかユニバーサルスタジオと聞いた途端から、ミスターコングはあまり愉快そうじゃないみたいですけど…



ーー(ま、また俺の悪いクセ、やたら真実を深追いしたがる因果な性分だが…もう後には引けん!)か、構わないから通訳してよ、地上最強のおさるの虚像と実像を見極めるためにゼヒ必要なんだ。

しかし!!


「………」(キングコング、無言で…いすから立ち上がり、歩き出す)

後半

そして、スタスタと取材場所の建物の出入り口に向かって歩いて行くコング…。


――(これは…。やはり、炎や光線を持たないキングコングは、それありの怪獣プロレスルールでは不利ではないかという話は、プライド高きレジェンド怪獣の勘に触る話だったか?しくじったのかも)…そう思った、刹那に!!



「(キングコング、全く音もなくインタビュアーの背後に回っている)」



ーーヒャッツ、い、いつのまに!!



「驚かせてすまなかったね、ただ言葉で回答するよりこちらの方がチト分かりやすいかと思ったのでね。…つまりだ、これは私の持論だが、怪獣が炎や破壊光線を放つというのは、確かに最近のトレンドだろう。
だがそれは考えてみればスローモーなモンスターたちが、距離を互いに取るとき、その距離感をどう埋めるか、遠距離でのファイトをと観客に退屈させずに見せるか…そんなところから逆算して生まれたギミックに過ぎない、と思っている。
ゴジラのグレートな…そして今なお進化を続けている放射能火炎も、申し訳ないが私から見れば、はるかにスローモーな彼がその弱点を補うために出しているものに過ぎない。そして私は…今あなたにお見せした。この全身のスピード、瞬発力、遠距離からの攻撃力……それらすべてが、普通の怪獣たちの『光線』それ自体に匹敵するようなものじゃなかったかね?(ウインク)」



ーーな、ナルホド!! キングコングさんは自分の猛烈なスピードやジャンプ力が、ゴジラさんの話す放射火炎の一撃をも上回る、と……



「そこは確か、今回のファイトの映像トレイラーにも使われていたね。まあ詳しくは実際にその光景を見て欲しい、とだけ言っておこう!」

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――何とも楽しみです。…ところで、そのようなキングコングさんのバックボーンについて伺いたいのですが……あなたは一怪獣というだけにとどまらず、「さる一族」、あるいは武門としての「サル流」の総帥としての顔も、お持ちです。その技の体系から、多くの怪獣が活躍する秘密は何だと思いますか?また後輩たちの中で特に印象深いのは?



「フム……それは買いかぶりというもので、私が総帥の地位にあるのは、単に今現在、その流派を預かっているのにすぎない。今、サル流が何がしかの存在感を業界の中でもちえているとするなら、それは例えば私をさらに遡り……少林寺拳法をマスターした仏僧とともに、大陸中を喧嘩武者修行した孫悟空開祖にその功を帰すべきでしょう。その直系の子孫であり、開祖の名をそのまま受け継いだ、もう一人の『孫悟空』……彼が世界的な人気を既に得ていることはご承知の通り。まもなく心技体が完全に充実してきた時に、タイミングを見て総帥の座を譲れると思う。それが実に楽しみだ」



――彼が、怪獣プロレスとは別のジャンルに行かれたのが残念です。



「そう悲観したものでもない。私が直に教えた古い世代の弟子でも、ゴロー、ゴーロン星人、サンダ、ガイラ。宇宙猿人ゴリにラーなど、優れたテクニックとスピリットを持ったファイターがたくさんいる。特にメカニコングは、冷徹なほどのクールでサイエンステックなテクニックを見せるエクセレントなファイターだ。彼がファイトする場が少ないのは私から見ても解せない話で、今度機会があったらタッグで来日したいね」

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ーーそれは是非!!メカニコングさんが登った東京タワーも、あるいは新しく建てられたスカイツリーもお待ちしているでしょう(笑)



「そういえばスカイツリーは竣工中に、東日本大震災に直面したそうだね…実はもう古い記憶で覚えている人も少ないだろうが、私がかつて長期のジャパンツアーを行った時、日本のオフィスがテーマソングとして作ってくれた歌があった。最近天寿を全うされた、アセー・コバヤシサンが作曲を担当したんだ。」



ーーああ、調べたことがあります。エート、この資料に・・・

大きな山を ひとまたぎ キングコングがやって来る
こわくなんかないんだよ キングコングは友達さ

火山も津波も恐竜も キングコング​にゃかなわない
たたかえキングコング ぼくらの王者

www.youtube.com

・・・・・・ああ、何をおっしゃりたいか分かりました。深いですね……ミスター・グリコーゲンXのカバーも有名です。

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県立地球防衛軍 グリコーゲンXが熱唱する「キングコングのうた」


「この歌に書かれていたことを実行するために2011年は、すぐさまジャパンへ飛んで行きたかったが、それは叶わなかった。 しかし、キングコングではなくジャパンのシチズンこそが、まさに歌の通りに、ツナミも屈服させることはできず、着実に復興を成し遂げているではないか。 このパンデミックも同じさ。ガバメントやステーツメンはともかく(笑)、ジャパンの、そして各国のシチズンに対しては、まさに「コロナウイルスモ カナワナイ」ということさ。
それを証明するために、ゴジラサンとわたしは全力ファイトする姿をみなさんにお見せする、と、そう思っていただきたい」



ーー とてもありがたいお言葉です!! そういえばキングコングさんの第二の故郷とも言える、 ニューヨークでも、コロナウイルスが猛威を振るいましたが、マンハッタンも着実に元の姿を取り戻しつつあると聞きます。



「自分はツアーでは『ファロ島で生まれ、髑髏島で育ったキングコングが、第二の故郷のここ〇〇を訪れ…』とかをネタで語っているが、確かに本当の第二のふるさとといえばニューヨークだろうね。あの都市には多くの知己がいて、いささか顔も聞く。そういえばサル一族と言えば、プロモーション「猿の惑星」を旗揚げした後輩たちが、ニューヨークシティとタイアップをしたいということだったんだが、なかなか注文が大きなものだったので、できれば協力してもらえるよう口添えさせてもらった。その結果が、「猿の惑星」旗揚げ戦のあのラストになったのさ」


ーーーほほう!!



「まあニューヨークというのはそういう様々なアイデアと野心が渦巻くところだよ。私の所にも、ミスタートランプ氏の周辺から『ゼヒ、あなたにトランプタワーに登って欲しい!』というオファーがこの前まで毎年のように届いたよ。残念ながら、私はミスタートランプの Attitude に、シンパシーを覚えることができなかったので、そのオファーはお断りしていたが…」



ーーなんと、その秘話もまことに興味深いものです。…アメリカの最高権力者からの申し出すらも首を縦に振らないあなたが、今回の新作で再びゴジラと相まみえます。その際ですね……何とも申し上げにくいのですが、つまり、ラストにおいてですね…



「ふふふっ、こう言いたいのだろう、ユーは。つまり私がゴジラ時代の到来を望むファンと、そしてプロモーターの連中の圧力や説得に対し故意に負けるのではないかと。 だがこの、オールドエイプにも プライドがあって簡単に勝敗は譲れん、果たしてどうなるかーーーーと」



【通訳】(あわててインタビュアーの私に) …そ、そんなこと考えてませんって、ミスターコングに申し上げましょうか?



「遠慮することはないさ。私は少しも気を悪くしていない、むしろ愉快だ。なぜならその質問は、私が実力でゴジラに負けるとは思っていないなればこそだからね、ハッハッハ」



ーー ・・・・・・。


「ユーのような立場の人も含めて色々な階層の人たちが様々に 私が命をかける怪獣プロレスリングの世界を考察し、理解しようとしてくれているのは非常に喜ばしい。そして…」


【通訳】 ここから重要だから正確に通訳して欲しいとコングさん おっしゃってるわ 緊張しちゃう~



「いいか この点をハッキリさせておく。他はどうであれ、私のファイトに限っては、あくまで試合内容を決定するのは 東宝でもレジェンダリーピクチャーズでも、ファンの人気度でもないッ……」


「私 キング・コングの意志だ!」


(了)

参考資料

今回の話は特に、とある名作と、そこに出てきた史上最強の王者のキャラクターを、意図的になぞらせていただきました。こちらもぜひ一読をお勧めします。


追記リンク 無人島と思っていたら仲間がいた

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