明日9日、「浦沢直樹の漫勉neo」新シリーズ開始!初回は安彦良和さん。最後の連載として取り組む「乾と巽ーザバイカル戦記」の執筆現場に密着。太い筆先から信じられないような繊細な線を生み出す、その驚異の技術に息をのみました。夜10時からNHK Eテレにて。是非! #安彦良和 #浦沢直樹 #漫勉neo pic.twitter.com/vYEI5Ctcpf
— 浦沢直樹_Naoki Urasawa公式情報 (@urasawa_naoki) June 8, 2021
NHKだから、おそらくNHKプラスでの無料配信もあるだろう。
もうさっそく、過去記事のアレにぽつぽつ来訪者が増えてるんで、隠さず自分から攻勢に出ます(笑)
明治時代を舞台にした伝記ロマン「王道の狗」は連載誌の版元である講談社版のあと、白泉社から発行された版があり、そちらは後半部に100枚以上の増補が付け加えられたほか、4巻巻末に作者のあとがき(エッセイ)がついている。
その、4巻収録のあとがきが、ちょっと剣呑でして。
なにが剣呑かというと、「BSマンガ夜話」での自作(虹色のトロツキー)が取り上げられた際…(中略)
・・・・
『虹色…』は先日、NHKの某批評番組で「批評家」いしかわじゅん氏の酷評をかった。
「批評」などというのは所詮、欠席裁判のようなものだ…
(略)
いしかわ氏は突然こうおっしゃった。
「俺は、興味ないんだよ」(略)
「何が言いたいのか判らない。川島芳子と李香蘭が描けていない。古い世代に属する安彦良和には、大友克洋以降の描き手達のようなリアルが描けず、動きも描けない。従ってその表現は、単なる記号論でしかない」云々云々……
(略)
上記のいしかわ氏の『批評』は的外れを超えている。いわば言いがかりに近いものといっていい。漫画であれ何であれ、作品という物は作り手にとってわが子(中略)……氏は御存知ないかもしれないが、僕の前職はアニメーターである。職の病というものは恐ろしいもので、他人には些細に見えるらしい漫画画面での動きの継続性が、僕はいつも気になって仕方がない。それは漫画家としての長所ではなく、むしろ野暮な短所ではないかと疑っているくらいだったから、公共の電波で(この言い方は嫌いだが今はあえてする)「(安彦良和は)動きが描けないのだろうナ」と言ってのけられた時に、僕は他のどんな難クセに対してよりも強く怒りを覚えた。大人げないのだが、いしかわ氏の前で指パラのアニメを描いて見せてやりたい気になった(どうですかいしかわさん、見たいですか?見せてあげましょうか?)
※映像で一部を紹介
正確には「安彦さんの絵は”記号”なんだよね」「安彦さんは上手いんだけど、そこ(格闘の動作)を描かない、描けない人なんだよ。多分どこかの時点で俺にはこれは描けないなと思って描かないことを選んだんだけど、それはつまり描けないんだよ」と言ってますね(「絵が上手い」と認めつつ) https://t.co/UJZYb9883r pic.twitter.com/8NMzrLnGJW
— タイプ・あ~る (@hitasuraeiga) June 5, 2024
だが、いしかわじゅん氏のほうにも言い分がある。
というか、「一般的な絵の巧さ」と「漫画としての絵の巧さ」の差異に関しては、いしかわ氏は一家言も二家言もある。それは氏の評論本「漫画の時間」の冒頭でも、ページを割いて語られている…
漫画のうまい漫画家と、絵のうまい漫画家はとは、別のものだ。
ちょっと、わかりにくいかもしれない。
池上遼一という漫画家がいる。とてつもなく絵のうまい漫画家だ。デビューの頃から、その絵には定評があったが、ここ十年ぐらいで、それは完璧に完成してしまった。(略)
池上の技法をベースに、アジアの漫画の一部は成立したといっても過言ではあるまい。
しかし、池上は、あくまでも僕の個人的意見だが、漫画は決してうまくはないと思う。
(略)
ごく大ざっぱないいかたをしてしまえば、<動き>というのはある点から次の点への移動だ。あるいは、ある時間からある時間までの経過だ。それをどう描くかが、漫画家の腕の見せどころなのだ。その後、逆に「動きのある絵」の例としてやはり大友克洋を挙げ、池上氏の絵と比較して考察している。
せっかくだから今回は、この反論文の一部を画像的に紹介しようか(ほんとにあるんだよ、という証拠も兼ねて)
そして7年ぶりに紹介するにあたって、いしかわ氏との論争後に続いている「本題のあとがき」も紹介しよう。ぶっちゃけ、前回も「こっちのほうが大切な内容なんだけれどな」と思いながら、対いしかわ論争をピックアップしてしまってた(笑)
近代日本が道を誤った分岐点はどこか?安彦氏と親交もあった故松本健一氏が「対華21か条の要求」を挙げたのに対し、安彦氏は異論として「日清戦争だ」との意見を持っていて、それを漫画として描いたのが「王道の狗」だと言える訳。
余談 それはそれとして、作品の結末がグダグダでは?という感想も持つ訳ですが…
氏の同じアフタヌーン連載の前作「天の血脈」のことっす。
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追記 この!余談部分が!!また別の反響を!!呼んだのです!!!
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