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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「映像研」が『芝浜を舞台に』な展開らしいので落語の「芝浜」も聴いてよ。ただし…

そもそも主人公3人の通ってる高校が芝浜内にあったらしいが、ぼーっと見てるので気づかなかった。
今回、次の新作は芝浜全体を舞台にする!ってんで、芝浜をロケハンしたり商工会にカネ出してもらったりする展開で、「もとは川だったところがそのまま道になったんで曲がりくねって風情がある」とか、「地下にらせん状に落ちていく道があり、そこが噂の螺旋商店街!!(発言者の空想なのか実在するのかよーわからん)」なんて場面があったよね?

で、おれは芝浜行ったことないし、東京のどのへんにあるのかもわからん。
しかし、「芝浜」といえば……

立川談志/芝浜

古今亭志ん朝  芝 浜

志ん生 芝浜

三遊亭圓楽 芝浜

立川談春・芝浜

昭和元禄落語心中 助六芝浜

落語小説集 芝浜 (小学館文庫)

落語小説集 芝浜 (小学館文庫)

第十二話

第十二話

  • メディア: Prime Video


ちょ、きりがねえ!!

そんな芝浜ってのは、実は特に芝浜である必然性とかはなく(笑)、三題噺のお題の一つが「芝浜」だったので、舞台が芝浜になった……だけ、とはいわないか。魚河岸がないとだめなんだよな。

で、上の落語音声・映像列挙に関して、ちょっと重要な話。
ふだん、こういうふうに並べた時、一番初心者向けにイイと思うのは、古今亭志ん朝師匠のやつなんだけど、今回の記事テーマに限っては志ん朝と、その父親・古今亭志ん生(ドラマ「いだてん」見てた人にはお馴染みですね)は、よろしくない。
なぜか?

芝の浜を省略する演出
志ん生志ん朝親子の『芝浜』の演出上最大の特徴は、朝、女房に起こされた熊が芝の浜へ向かってからの行動を描写することなく、財布を拾い、慌てて戻ってきた熊が女房に「出かけたあと、なにがあったか」を語り聞かせて50両を見せる、という構成だ。

三木助・談志の型がポピュラーになったため、かなり変わった演り方に思えるが、志ん朝が演るのを観れば「この演出のほうが自然」と思えてくる。志ん生は「(三木助は)芝の浜のくだりが長すぎて、あれじゃとても夢と思えねぇ」と言ったというが、そういう父の理屈とは関係なく、志ん朝の華麗な芸風においては「あの声と口調で淀みなく語り聞かせられるほうが、行動を描写されるより心地よい」からである。

この「芝の浜へ行く場面を省略する」演出は志ん生の創作ではなく、二代目金馬や三代目つばめがやはりそういう演り方を…
cakes.mu

この演出が、トータルとしていいか悪いかはまた別なんだけど、今回は「芝浜」という地を「映像研には手を出すな!」をダシに(行ったことも無いのに)紹介するのがテーマだから、「志の字」2代のやり方はそぐわないのです。



では、浜を描写するほうは…

kakiokoshi.hatenablog.com

…とは言うもののこれで河岸へ出てね磯臭え臭いがプ〜ンと鼻へ入ってきやると何とも言えねえ味だからねあれは…。
ああ…切り通しの鐘が鳴ってやらあ。
いい音色だね。
金が入ってるとか言ってやがったねえ。
おまけに海へビ〜ンと響きやがるから何とも言えねえねあの味がよ。
えっ?これでこの…おっ?何だよおい。
冗談じゃねえぜ。
かかあのやつは時ぃ間違えて早く起こしやがった。
しゃくに障るなチクショウめ。
帰ってもう踏み倒してやろうかな。
踏み倒したところでなまたすぐ出てこなくちゃなんねえんだからね。
う〜ん。
 
まあまあいいや。
なっ?うん。
浜へ出て一服やったり面洗ったりしてるうちにまたお天道様も出てくるだろうしな。
そうすりゃ問屋も起きるだろうし。
あっどっこいしょっと。
ああ〜たまらねえね。

はあ〜いい香りだな。
えっ?この香りが嗅ぎたくってこの商売になったんだ」。
わらじをぬらさないように顔を洗いましてもう久しぶりの浜に懐かしそうにあっちへふらふらこっちへふらふら。
「おっお天道様出てきた」。
(かしわ手)「今日から商いに出ますんでお頼申します」。
(かしわ手)「はあ〜どうだい海ってやつはいつ見ても悪くねえけれどもね。
それにこのねほら波ってえのはおかしくてしょうがねえや。
湯へ入ってちょいとこうかき回してみるとこんなものが出てきやがるけれどもね誰か向こうでかき回してるやつがいるんじゃねえかな?えっ?よっぽど大きなしゃもじか何かでかき回してやんだろうな
まあまあいいや。
一服やろう」。

これです。行ったことないけど、要は芝浜に川が多いのは、海の近くの河口だからだな。
江戸の昔、近くに魚河岸があり、浜で朝早くから仕事をしてる舟とかもあった。時間を間違えて早く行き過ぎてしまった主人公、ぼんやりと潮風に吹かれて、浜の夜がしらじらと明けて、朝日が出るのをたばこをふかしながら眺める……そんな、場所が芝浜です。
そこを狙って攻撃してくるUFOもなかなか粋だネ。
それとも、「おまえさん、…という夢をみたんだよ」というオチなんだろうか???