まいとしの再投稿です。
時に元禄十五年十二月十四日、江戸の夜風をふるわせて、
響くは山鹿流儀の陣太鼓、
しかも一打ち二打ち三流れ、思わずハッと立ち上がり、
耳を澄ませて太鼓を数え
「おう、正しく赤穂浪士の討ち入りじゃ」
助太刀するは此の時ぞ、
もしやその中にひるま別れたあのそば屋が
居りあわせぬか、名前はなんと今一度、
逢うて別れが告げたいものと、けいこ襦袢に身を固めて、
段小倉の袴、股立ち高く取り上げし、
白綾たたんで後ろ鉢巻眼のつる如く、なげしにかかるは先祖伝来
俵弾正鍛えたる九尺の手槍を右の手に、
切戸を開けて一足表に出せば、
天は幽暗地は凱々たる白雪を蹴立てて行手は松阪町…
ここからは関係記事や、再紹介をば。
2016年に制作したtogetterです
「忠臣蔵(赤穂浪士)」についてのあれこれまとめ - Togetterまとめ http://togetter.com/li/1058174
恒例「プロレススーパースター列伝風 忠臣蔵」
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/rcomic/1163236875/l50
295 :愛蔵版名無しさん :2006/12/14(木) 05:03:55 id:kanBpBk4
12/14にふさわしいネタを
吉良上野介「ギャアアーーーーッ!!
なッなんでおれ一人を全員がマークしてきやがるんだあ!?
さ さては内蔵助の野郎 こいつら全員にいいふくめ
おれを47対1で全殺しにするワナを仕組んだな!!
296 :便乗タン :2006/12/14(木) 05:18:49 ID:???
浅野内匠頭「あ〜ッ!いった いった ミーが一番トサカにくることを〜〜!!」
297 :愛蔵版名無しさん :2006/12/14(木) 05:36:23 ID:???
大石内蔵助「い……
いま、おれは吉良をブッころしても
当然のケース!」
298 :愛蔵版名無しさん :2006/12/14(木) 06:03:58 ID:???
むしろ時代劇の悪役ほど、いったん領内に帰ると
名君、いいやつがおおい!!
逆に、名前はあげぬが時代劇で正義の味方ぶる殿様に、
じつは殿中で刃傷沙汰をおこして家臣を路頭に迷わせるような
バカ殿がすくなくない!
時代劇フアンの夢をこわしたくはないが…………
そもそも俵星って、ラノベやら少年ジャンプの「味方側のおいしい『師匠役』の元祖」論。
過去記事から
また在る意味、ストーリーテリングの妙というのは時代を超えて共通。
物語の中盤、主人公のチームを鍛えた儲け役の「老師」「鬼コーチ」役が主人公対ラスボスのクライマックスでちょっと登場。
「おお、ついにやったな、お前ら!!俺も助太刀するぜ」
「いいえ! この敵だけは、僕たちが自分の力で倒さなきゃいけないんです!!」
「フッ・・・相変わらず馬鹿な奴だな。分かった、邪魔する雑魚のほうは引き受けるぜ、はやく魔王を倒して来やがれ!!」
これジャンプでしょ、少年ジャンプ(笑)
忠臣蔵の前半で、とある「脇役」が活躍した経緯、という話。「記録者が 自分を盛れば 無敵なり」
忠臣蔵異聞〜「歴史の脇役」(多門伝八郎)がちょっとだけ自分をかっこ良く記録に残したら、大成功した話。(佐藤孔亮氏の著作から) - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20141214/p6
多門についてこういう推測が書かれている。<113P>
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「多門覚書」は読めば読むほど作り事めいて見える。これは多門が見たものを書き記そうとした記録ではなく、何か既にある事件の中での自分の立場を書き残そうとした記録ではないか。一つは徹底した浅野よりのスタンスで書いた事件報告である。
そしてその中で多門伝八郎はまことにかっこいい。
浅野に厳罰を与えようとする幕府上層部に喧嘩を売る。切腹の場を粗末にしつらえた上司にも喧嘩を売る。ひと目最後のお姿を見せてもらいたいという家来には特例としてその場を与える。すべて自分の利益ではない。浅野とその一党のためにわが身をかえりみず、権力と戦う。
あまりにもかっこよすぎないか。そしてウソっぽくないか…(後略)
江戸の「赤穂浪士論争」とは
ことしは新資料を紹介(PDF)
http://repository.seikei.ac.jp/dspace/bitstream/10928/115/1/kokubun-44_52-62.pdf
この浪士への幕府の裁定は、次のように理解することが出来る。?主人の仇と唱えて、?徒党を組んで、?飛び道具などを持参して吉良邸へ押し込み、義央を討ち取ったことは、公儀を恐れない極めて不届きな行為である。?では、浪士が仇討ちと唱えたことは認めているが、討ち入り自体を仇討ちとは認めない。?と?は当然、禁止されている行為で、これは一種のテロ行為とも考えられるものである。では本当に、浪士の行為は仇討ちとはいえず、彼らを「義士」と認めることは出来ないのであろうか。これ以降、(略)この問題をどう解釈するかは、諸家により繰り返し論じられることになる。これが「赤穂事件論争」である。◆ ◆
佐藤直方は『佐藤直方四十六人之筆記』において、長矩の刃傷を、時と場所を無視した大法に背く公法違反と考える。本当に長矩にやむを得ない遺恨があったのなら、勅使接待役の職務を全うしてから刃傷に及ぶべきであったとする。そして、重要な儀礼の場での刃傷は武士らしからぬ腰抜けの行為であり、しかも、相手を討ち漏らしたのは「無勇無才」の嘲笑すべき人物と長矩を評し、切腹と領地召し上げは当然のことと断じる。また、この刃傷は「当座の喧嘩」などではなく、実際は義央は長矩に背後から斬られたのであるから、義央は浪士の仇とは見なせず、復讐すべき相手にはなり得ないとも指摘する。さらには、手向かいせずに討たれた上野介も、 「死タルニ劣リ、恥キコト也」と難じている。
少々余計なミステリー風味のつけたしはあるが
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赤穂浪士が「あっぱれ忠義の士よ。それを罪人扱いのXX藩は、武士の風上にも…」となったんで、桜田門外の刺客は下にも置かぬもてなしになった、つー話。
「風雲児たち」最新刊補遺。忠臣蔵以来の、江戸の<実戦>が生んだ悲喜劇。 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20121212/p2
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杉浦日向子「吉良供養」(「ゑひもせす」収録)
竹熊健太郎氏の追悼文より
http://takekuma.cocolog-nifty.com/blog/2005/07/post_86f5.html
・・・同世代では極めつきの才女であっただけに、気にはなっていた。この人の『吉良供養』(『ゑひもせす』所収)は大傑作だ。マンガ家としての才能と、時代考証家としての知識が、ここまで高度な融合を遂げた例を、俺は知らない。読めば「忠臣蔵」に対する見方が180度変わる。シミュレーション漫画とでもいうのか、あるいはルポルタージュ漫画とでもいうべきなのか、吉良邸討ち入りの様子を可能な限りの史料を駆使して完全再現していて、その律儀さにも驚いたが、同時にマンガとしての面白さにも驚いた。ここでは正確無比な「考証作業」が、そのままエンターティンメントになっているのだ。いかに赤穂浪士が極悪非道で卑怯な・・・・
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赤穂浪士の話が自分にとっては「最後の勝者は『物語』である」というテーゼに行き着く。
「歴史とは 語りし者が 勝者なり」の実例…堤清二氏とか、赤穂浪士とか(やや再論) - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140918/p2
上の画像を引用した「仁義なき忠臣蔵」を収録した、「冗談新撰組」が、2016年、「復刊ドットコム」にて増補の上、刊行…、と。
- 作者: みなもと太郎
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『風雲戦国伝』『挑戦者たち』に続く、復刊ドットコム「風雲児たち外伝」シリーズ第3弾!! 歴史大作『風雲児たち』で注目を集める、みなもと太郎。その著者が2003年に刊行した作品集に、新たに短編2本を加えた増補改訂版が、復刊決定です!
▼収録内容
◇「冗談新選組」
◇「仁義なき忠臣蔵」
◇みなもと太郎と三谷幸喜との対談を完全再録
◇ボーナストラック:「徳川慶喜」「チャカポンくん」短編2本
◇新規語り下ろしの「あとがき」「新選組」と「忠臣蔵」、日本人なら誰もが知っている時代劇鉄板ネタを漫画化した異色作品集。
「冗談新選組」は、みなもと太郎にとって初の時代劇漫画。「仁義なき忠臣蔵」は、「歴史読本」で連載され、独自の忠臣蔵考察が話題になった問題作。 劇作家の三谷幸喜が「冗談新選組」の大ファンだったことが縁で、2004年NHK大河ドラマ「新選組! 」の連携企画として行われた、みなもと太郎と三谷幸喜との対談も完全再録しています。 また、ボーナストラックとして、「徳川慶喜」「チャカポンくん」短編2本を収録。さらには、あとがきを新規語り下ろしで収録。カバーは『風雲児たち』の表紙でおなじみの工藤陵のイラストを使用。※本作品は、2003年にイースト・プレスから刊行された『冗談新選組』を底本に、短編2本と新規語り下ろしあとがきを加えた増補改訂版です。
著者について
▼著者プロフィール
みなもと太郎(みなもと たろう)
1947年、京都市北区生まれ。1967年「兄貴かんぱい」でデビュー。1970年から「週間少年マガジン」で連載された「ホモホモ7」は、パロディを中心としたギャグマンがとして新境地を開拓。2004年、第8回手塚治虫文化賞・特別賞を受賞。2010年には『風雲児たち幕末編』で第14回文化庁メディア芸術祭漫画部門優秀賞を受賞。