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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

最近のマンガ雑誌の「ルポ漫画」は実力者揃い?/「あだち充『タッチ』の意味」を引き出した、話題騒然のカメントツ漫画、14日公開

【完全版】「2016年マンガ10傑」を選定します。「特別功労賞」もあの作品に - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20161208/p1

この「漫画ことしの10傑」のひとつに、カメントツ先生がゲッサンで描いているルポ漫画を選んだのだけど、まずそれを再掲載しますね。

カメントツ「カメントツの漫画ならず道」(WEBでも1話と最新回が読める)
 

カメントツの漫画ならず道
https://www.sunday-webry.com/comics/manganarazumichi/
カメントツ
WEB系仮面系ルポ漫画家カメントツが紙媒体(註:雑誌「ゲッサン」掲載が主で、ついでにウェブにも掲載してるのでう)に殴り込み!!
何が出来るかな?どこまでできるかな?
漫画界にすり切りいっぱい攻め込んじゃう噂のルポ漫画ニューウェーブ(?)!
カメントツ

ゲッサンで連載中の漫画がサンデーうぇぶりでも読めるようになりました。タダなので読んでください。タダなので。

プロフィール
1986年生まれ。愛知県出身。2015年よりウェブメディア「オモコロ」にて漫画家としての活動をスタート。企業タイアップやインタビュー漫画などのノンフィクション作品を中心にインターネット界を暴れまわる異色の覆面漫画家。


・漫画雑誌で作者がキャラとして登場し、『ルポ』を行うショートコミック
・その中で特に、自分の雑誌、自分の出版社の「一押し」作品とその作者を登場させ、作者の人となりや「創作秘話」に迫る

・・・・・・・・・といえば、先行作品もいろいろあったのかもしれないけど
少年マガジンの『もう、しませんから。』(西本英雄)で一気にジャンルとしてブレイクした、と勝手に決めつける。
あれは西本英雄という大物、才能をそこにぶっこんだ(おまけに作者が、かなり体当たりをやってくれた)ことで、各段に面白かったし、人格や人脈のあるのだろう、森川ジョージのボスキャラいじりから、諌山創や幸村誠の売れっ子ぶりなどもルポして、かなり作者と作品に親しみを感じさせてくれるなど、シナジー効果がはんぱなかった。
同じ雑誌に載っているのにそもそもまたいでいて存在も知らなかった作者、作品にかなりこれのおかげで興味を持つことできたもんな。
…おっと、「もう、しませんから。」ばっかほめ過ぎてしまったが、とにかくそういう形で「雑誌にルポ兼自社宣伝を兼ねた、ノンフィクションのショートコミックを”飼って”おくと実に便利だ」というのに気づく雑誌は気づいていて、そして「ゲッサン」はこれまで横山裕二氏の「ツール・ド・本屋さん」を連載してた。ところが編集長がサンデーに……ああ、描ききれないわ。上記のような「自社紹介ルポ漫画論」をあとで独立させて書くので、ここで中断。
とりあえず途中をすっとばしていうと、インディ団体?かどうかしらんが、ウェブで活動して評判をとった「カメントツ」がRIZINUFCならぬ小学館の雑誌「ゲッサン」というメジャーなリングに抜擢されてデビューした…と見なすとするなら今のところ「3試合連続KO勝ち」みたいな鮮やかな連勝を飾り、期待のホープとして定着した、と言っていいだろうか。

あ、そうだ、告知しておくと、いまウェブで読める4話も学研雑誌「ムー」が紹介されて非常に面白いが、
上のコマ「あだち充青山剛昌がそろい踏み!」という話は、その第4話のラストで予告されているわな
https://www.sunday-webry.com/comics/manganarazumichi/ep004/

これ…つまり次に掲載予定の第5話が、この前ネットをにぎわせた(はてブ500だよ!!)

『タッチ』のタイトルの由来にファン衝撃「驚きすぎて声も出ないわ(呆然)」 | ダ・ヴィンチニュース http://ddnavi.com/news/329541/

の出所ね、。12/14に掲載され、ネットで読めるようになる。
(※ネットでは一度緊急掲載済みらしいけど)たぶん再度、大評判になるだろう
ついでに予告すると、この二御大「だからこそ言えるボケとツッコミ」にはかなり爆笑するはず。
カメントツ先生のtwitter
https://twitter.com/computerozi

というわけで、何時更新かは分からないが、とにかくあす12/14、超話題を呼んだ「あだち充青山剛昌にきく」回がUPされる。
https://www.sunday-webry.com/comics/manganarazumichi/
また、逆に言うと、「ムー」編集長に噺をきくという、これもこれでえらく濃い、第4話の公開は終了してしまうようなので、その前に読んでおくことをお薦めします。

第二部 漫画雑誌内の「エッセイ・ルポ・同社PRを兼ねた」ショートコミックが最近充実。「編集長の親衛隊的側近」というか「懐刀」というか…

上にかいた話を、もう少し抜粋してまとめた上で、そのあとを書いていきたい。

<要約>
少年マガジンの『もう、しませんから。』(西本英雄)はすごく面白い漫画だった
・もともと才能のある作家を、おしげもなくそういうコーナーに使い
・作者自身も、ものすごい体当たり取材をやったほか
・人格や人脈を駆使して、講談社の有名作家や新人作家の人となり、「創作秘話」を次々と紹介
・大物作家は大物作家で森川ジョージを『ボスキャラ』としていじるなどしてキャラ立てをしていった(お笑い界の動きともシンクロしてたような)
・これのおかげで、今まで読んでない作品を読もうと思ったり、新人作家の作風を覚えたりなど有り難かった。


そんな流れの中で、
・「ゲッサン」には横山裕二氏が、自転車で長距離の旅をして、全国の本屋を回るルポ漫画「ツール・ド・本屋さん」が、やはり島本和彦あだち充を登場させるなど、同じように個性的な作品になっていた。
・ところが、ゲッサンの編集長が、さまざまに困難を抱える少年サンデーの立て直しのため、本誌の編集長になった時、横山氏は「お前も来い」という感じでゲッサンから移籍し?本誌のほうで「サンデー非科学研究所」を連載し始めた。


・そしたら、「魁! 藤田和日郎塾」になりつつある(笑)





まあ、この魁!藤田和日郎塾、というか教育者としての藤田和日郎については、過去に書いているので、そっちも語ってみたいんだけど、

藤田和日郎的創作論〜「自分を信じるより『自分が好きなもの』を信じろ」「好きな人に花道をあげたいから殺すんだ」(月刊スピリッツ対談より) - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20150714/p2
藤田和日郎氏を語る、たった4つのコマ…本日深夜(20日未明)「漫勉」3本をEテレで一挙放送 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20150919/p2
twitterが「21世紀のトキワ荘」、そして藤田和日郎は「平成の寺田ヒロオ」か?あまりに大きな漫画界での存在感(&マンガのゲンバ) - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20110125/p4
藤田和日郎登場「マンガのゲンバ」(2009年)をプレイバックhttp://togetter.com/li/92775
”平成の寺田ヒロオ藤田和日郎の漫画論、職場論名言集。「漫画家工場」「魁!藤田道場」の実態は? - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20130725/p2
藤田和日郎うしおととら」アニメ化に関して感想いくつか。そして現在の作品は… - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20150207/p3

藤田先生に関して
たくさん書きすぎだよ、おれ(笑)!!
その「魁!藤田塾」での指導メソッドなどが惜しみなく紹介された本。



本題にもどります。
この「ゲッサン」編集長、「少年サンデー」の編集長に →その時、このルポ・PR漫画担当者(横山裕二氏)を「お前も来い」と引っ張ってくる

という状況と、その後の活躍を見て
「ああ、こういうルポ漫画の作者というのは編集長の”懐刀””親衛隊”なんだな」と…決めつけた(笑)。


言わんとすることはわかりる?
大名にとっては、一般的に一番重要なのは家老、重臣、勇猛な武将ではありましょう。
しかし、それとは別に、常に影のように付き添い、いざという時は殿を身を挺して守り、時には密命を受けて敵の暗殺に赴く…そういう”懐刀”がいるじゃありませんか。
ダリューンナルサスは間違いなくアルスラーンにとって代えがたい頼れる部下(あだち充青山剛昌だろう)だが、それとは別の意味で直接の護衛たるジャスワントの意味は大きい。
つまり、漫画雑誌のルポ・PR・エッセイ漫画担当は、そういうジャスワント的な重要性があるのです!!(※牽強付会かつ、ジャスワントでは喩えがわかりにくいが)
あ、もっと一般的な喩えがある。
つまりこういうルポ漫画の漫画家は、表に出る助さん格さんではなく、「風車の弥七」なんだよ!!!この喩えならわかりやすいだろう。



ただ、その本家本元?的に面白かった「もう、しませんから。」は連載を終了し、その後マガジンで引き継がれた後継漫画が…うーん、自分はちょっと、今もあまり興味を惹かれないですね。


むしろ面白いのは、ヤングアニマルでニコ・ニコルソン氏が紹介していた「マンガ道場破り」でした。
こういうショートコミックは「単行本が出るのか?」が心配のタネだが、ぶじ単行本になっている

三浦建太郎羽海野チカら人気漫画家達にデビューの経緯、ヒット作の秘話、とっておきの漫画制作方法まで、ニコルソンが密着取材! 漫画家になりたい人はもちろん漫画家を知りたい人も必読の一冊! 2013年3月刊。
 

ニコ・ニコルソンのマンガ道場破り 破 (ジェッツコミックス)

ニコ・ニコルソンのマンガ道場破り 破 (ジェッツコミックス)

羽海野チカ羅川真里茂ももせたまみ押切蓮介etc...第一線で活躍中のマンガ家達に、ヒットの秘話をニコ・ニコルソンが密着取材!!大人気「マンガ制作」エッセイ漫画、第2弾!
2016年2月刊。

そして、最近も同誌にちょくちょく現れてルポ漫画を描いているのだが…こっちのほうは単行本になるのかなあ。


というようなゲームショウのルポ漫画とかね。


コミックナタリーでも漫画紹介マンガを描いていて、そちらも単行本になっているね
http://natalie.mu/comic/pp/otonamanga
http://natalie.mu/comic/pp/otonamanga/page/4

ニコ・ニコルソンのオトナ☆漫画

ニコ・ニコルソンのオトナ☆漫画




そして、雑誌「モーニング」ではなぜか「漫画賞の選評をルポ漫画化している」のだよね。
あれはたしかに目をひくけど、なんかすごい、贅沢な漫画家さんの使い方だよなあ(笑)
投稿者の励みになるってことかな?

でも、なかなか分かりやすい、才能を感じる作家さんがこれを描いているよね。
ああ、「社長はパキスターニ」かいたなつみ理奈先生か。

http://www.moae.jp/comic/morningzero/22
 

ネット上で、過去回もけっこう読めるわ。
http://www.moae.jp/comic/morningzero



まとめると

・漫画雑誌で「おまけ漫画」的な感じでルポ、エッセイ、そして自社作品や作家のPR的な役目を果たすショートコミックが、少年マガジン西本英雄「もう、しませんから」を筆頭に急速に読ませる、面白いものになった。
・そういう作家さんは、おそらく編集部から、いわゆる”懐刀”的な…特殊な能力を見込まれ、特殊任務を与えられた、特別なポジションにいる気がする。
・個人的にはゲッサンから少年サンデーに移った横山裕二氏、そのあとをうけて、ネット漫画での活躍を見込まれゲッサンに登場したカメントツ氏、ヤングアニマルなどで活動するニコ・ニコルソン氏、編集部の選評マンガという変わった作品を描くなつみ理奈氏らがおもしろいです、


…という話でした。
ここから派生してまとめを作りました

「サンデー非科学研究所」(横山裕二、少年サンデー連載)が面白いので、関連ツイまとめ〜なんか「魁!藤田和日郎塾」にもなってる件 - Togetterまとめ http://togetter.com/li/1058962