一度放送されて、9日の午後に再放送予定があります
http://www4.nhk.or.jp/P3864/
1月9日土NHK総合1午後1時05分〜午後1時50分
VFX監督のロジャーが、修正したショットをチェック。「時間の限り、改善し続けるのがILM」
ハリウッド 映像王国の挑戦〜“スター・ウォーズ”とILMの40年〜いま話題の「スター・ウォーズ」最新作。この超大作を手がけた映像スタジオ「ILM」に世界で唯一NHKのカメラが入り、製作の舞台裏を独占取材!40年前G・ルーカスがスター・ウォーズを制作するために設立し「E.T.」や「ジュラシックパーク」など数々の名作を手がけてきたILM。映画史を塗り替えてきた技術革新の秘話や、最新作で重要な役割を担う日本人アーティストの活躍など、夢の映像を生み出す驚きの現場に迫る。
これを、環境音楽的に見るともなく流してみていたんだけど…ふたつのシーンが印象に残ったです。
メモのような形でツイートしました。
gryphonjapan@gryphonjapan
#NHK IMLは「バック・トゥ・ザ・フィーチャー3」で、西部劇時代の汽車が爆発炎上するシーンを特撮で撮ったところ、鉄道ファンから猛烈な抗議の手紙が来たという。「よくも当時の、貴重な列車を壊してくれたな!」と。
スタッフ
「最高のほめ言葉だったね。あれは愉快だった」
もうひとつ、これがちょっと泣ける…3つのツイートをまとめて再構成
#NHK
ジュラシック・パークはもともと、ゴーモーション(パペット)のミニチュアで撮影する予定で、若手が「フルCGでやりましょう」と提案したら一笑に付されたという。
若手スタッフは一計を案じ、歩くティラノサウルスのCGを勝手に作り、幹部に機材をチラッと見せた。
幹部も鋭いもので、「それはなんだ?」と尋ねる。若手は得たりと「いやあ、ちょっとお遊びで作ったんですが…見てみます?」
「それで、すべてが変わったよ」
幹部は大慌てでスピルバーグやルーカスにも見せたところ、これであっさり「決まりだ!」と、恐竜のフルCG化を決定。
だが「ジュラシック」には、若い頃からの恐竜マニアで、超張り切りで準備を進めていたパペット師が参加していた。
彼の準備も意気込みも、すべては無駄になり…
スピルバーグは彼に、その恐竜知識のみを生かした仕事をするように配置換えを命じた。
パペット師は、スピルバーグにこう言う。
「自分も、絶滅種だよ」
それに対する、スピルバーグの返答は、こうだ。
「それいいね、映画で使わせてもらうよ」
…物凄く残酷な言葉にも聞こえ、また逆に…最高のはなむけにも聞こえたのでありました。
(了)
…あらかじめ断っておくと、メモも録画もしていない、1回の生視聴でのシーンを再現したものなので、脳内脚色はかなりされている(笑)。ただ、その脚色はせりふの細部で、おおまかな流れはこれで間違いない。
自分はこういう、旧世代の技術者や専門家(そのレベルでは相当な名人)が、個人では抗いきれない時代の波、技術革新の波に飲まれていったり、あるいは最後の一花を咲かせる…という話がなぜか印象に残る。
それは決して、ひとごとではない。
しかし、日本には、これの光と影をすべてえがいた「おじいさんのランプ」という作品があるというのは、本当に幸運なことである。
この作品は今後も繰り返されるであろう、この話、この問題に関して、ひとつの解を与えていると思う。
おじいさんのランプ
新美南吉
http://www.aozora.gr.jp/cards/000121/files/635_14853.html
かくれんぼで、倉の隅すみにもぐりこんだ東一とういち君がランプを持って出て来た。
それは珍らしい形のランプであった。八十糎センチぐらいの太い竹の筒つつが台になっていて、その上にちょっぴり火のともる部分がくっついている、そしてほやは、細いガラスの筒であった。はじめて見るものにはランプとは思えないほどだった。
そこでみんなは、昔の鉄砲とまちがえてしまった。
「何だア、鉄砲かア」と鬼の宗八そうはち君はいった。
東一君のおじいさんも、しばらくそれが何だかわからなかった…(後略)
自分が「銃器・砲弾発達史」を、あまり軍事マニアでもないのに継続的に追っているのもそういう面かもしれないね。
とはいえ、スピルバーグとパペット師のやりとりも、うつし世を夢とし、夜の夢を魔法にする……虚飾と魔法の世界であるハリウッド、特撮の世界を生きるサムライたちが、刀を振りかざしてライフル隊に騎馬突撃するような潔さを感じる、「おじいさんのランプ」に勝るとも劣らない一挿話ではある。
上記ふたつのシーンは、番組の放送30分内には出てくると思う。