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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

超ド級の削り合い〜ジョシュ・バーネット、ロイ・ネルソンを下す。 UFC JAPAN(1)

試合展開○ミ\(・_・ )トゥ ←丸投げ

★UFN75:メインイベント・ジョシュ・バーネット vs. ロイ・ネルソン - 格闘技徒然草 (id:lutalivre / @lutalivre_jp) http://d.hatena.ne.jp/lutalivre/20150927/1443328200

感想を率直にいうなら、いや勝ったけどビッグカントリーは本当に巨大な山林の迷宮だった。
危なかった危なかった。


なんといってもジョシュの強みは、いったん上を取ったあとに、柔術の世界的強豪すら極めるキャッチレスリングである。キャッチレスリングはそもそも柔術以上に上を取ることを優先し、いったんそのポジションを取ったら「嫌がらせ」「ダメージ」を相手に与え続け、状況を変化させていく。柔術も同じだが、より「待ち」の要素が強い……と。
このやり方はストライクフォースを勝ち進んだ時、もっとも色濃く出ていたと思う。


だがその半面で、その前段階となるピュアレスリングでは、高校では活躍したものの五輪や全米大会級なほどやりこんでいたわけではない。またUWFを愛好し、足関節などのヘビー級屈指の使い手となったジョシュは、そのへんでもレスリングの「その次」をプロで強化したとおぼしい。

その点で、ロイがテイクダウンそのものを武器の一つとして全力で仕掛けた時は、数度してやられたわけで…
意外や、現在のUFCヘビーランキングで
http://mma.blog.jp/archives/1818812.html
レスリングを主要な武器にしているのはケイン・ヴェラスケスぐらいで(STRIKEFORCE王者のコーミエがライトヘビーに転向してるしね)、ほかはレスリング以外が武器になっている選手が多い。
今後、アリスターアントニオ・シウバとやった時(その可能性が高いと思う)は、っレスリングの部分で相手の先手を取るのだろうか、それとも彼らにも上のポジションを奪われるリスクがあるのだろうか。
とりあえず「戦いの最初の部分、テイクダウンの攻防でピンチに陥るかもしれない」ということはメモしておく。


「ケージに押し込んで短距離のパンチ、ヒジ、ヒザ」は無敵戦法か?

ジョシュの闘い方という点では、ストライクフォースは寝技からがんがん(上を取って)攻めていくという方法だったが、UFC復帰戦のフランク・ミア戦争では、まさにこの小見出しのように、金網に詰める⇒短距離からのパンチやヒジ、でKOしての勝利だった。
実は今回、ロイ・ネルソンにテイクダウンの攻防をあまりせず「倒して上を取る」というムーブが無かったのは、実はフランク・ミア戦の戦いは、流れで生じたものではなくひとつの戦法、技術体系であり、今回それを繰り返すつもりだったからではないか?と感じている。
実際、判定の決め手になったのはこれだ。UFCヘビー級の中でも打たれ強さはトップ級だったロイだから耐えられたけど、普通の打たれ強さだったら3Rか4RでKOされていたんじゃないかと思う。ジョシュの組みヒザは、実は隠れた守護神で、日本ではジミー・アンブリッツをKOしたことが有名だ。


そして組んでのパンチこそは、もちろんダンヘンランディ・クートゥアらチームクエスト勢が得意とした「ダーティ・ボクシング」の一形態である。ほとんどの格闘技で、まず、「組み合った状態で打撃を加える」こと自体がほとんどルールで許されることが無かった。(ムエタイ首相撲から膝蹴り、は実に例外的で、だからこそ脅威だった)そして「壁(金網)に押し付ける」も、もちろん世界中の格闘技で、裏技ならわからないが、少なくとも競技の中でそれを認める、というか可能となる状況がありえなかった。

UFC21年の歴史が「ウォールウォーク」という言葉と概念を生んだ…新技術や概念はこう生まれる。 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20141030/p1

という話を書いたことがあるが、それと同じ現象。

「金網にずっと押し付けていられれば、それはテイクダウンとおんなじ」とは高阪剛の言葉だ。


で、実のところ、かなりこの状況は総合格闘技の「最終的結論」になるような気がしないでもない。まあ金網に押し込み続けるのももちろんかなりの体力、技術がいるし、そこからショートパンチでKOするのも基本、超人技であります。
しかし、これが最終的に効果的だと「みんなやり始める」「基本のムーブになる」かもしれない。そうすると、例えばPRIDEと比較するとあまりブレイクをしないことで「実戦的」だとされたUFCも、この場面でのブレイクは増えるかもしれないな。


ただまあ、例えばシロートの喧嘩レベルでも「壁に押し付けて固定」「そこから短距離のパンチ、ヒジ」はかなり効果的だろう。もし自分が攻撃を一方的に受けた「護身」側なら、これで助けや先生、警察などが駆けつけるのを待てばいいのだから、護身術としても有効かもしれない。