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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

鳥獣戯画展より。当時(12- 13世紀)も、石を投げる闘技?戦術?ゲーム(印字打)はあったんだね/博物館グッズ

本日ついに最終日〜。
ただでさえ混んでいるのに、最終日をお勧めしていいかどうかは迷うところ。

http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1707
特別展「鳥獣戯画─京都 高山寺の至宝─」
平成館 特別展示室 2015年4月28日(火) 〜 2015年6月7日(日)


国宝 鳥獣人物戯画 甲巻(部分) 平安時代・12世紀 京都・高山寺
※この場面の展示期間は2015年4月28日(火)〜5月17日(日)です
誰もが一度は目にしたことのある、日本で最も有名な絵巻、国宝・鳥獣戯画。墨線のみで動物や人物たちを躍動的に描いた、日本絵画史上屈指の作品です。全巻の修理を終え、その魅力を一新した鳥獣戯画の全貌を紹介します。国宝の甲・乙・丙・丁4巻とともに、この4巻から分かれ、国内外に所蔵される断簡5幅も集結。現存する全ての鳥獣戯画をご覧頂けます。

ただ、前半期のテレビ放送のとき、客一人が「あんまり行列がすごいのであきらめました。(会場隣の)ミュージアムショップで土産だけ買って帰ります」と。なるほど、それもひとつの手である。

しかしだ、以前も書いたが、この鳥獣戯画のキャラクターやイラストを使ったグッズが「鳥獣戯画展」や、現物のある高山寺のみやげ物でしか売られない、というのがおかしいのであると思う。
これだけすぐれたグッズ、キャラクターなのだから、常にこういう商品が街の雑貨店やキャラクターグッズとしてあふれているべきではないか。
まあ、それを阻んできたのが

鳥獣戯画」を使用した商品は不正利用になるのか? - Togetterまとめ http://togetter.com/li/816116 @togetter_jpさんから

であるとは知っているが……もうそこから自由になるべきとは思う。

関連

上野の「鳥獣戯画」展が大人気。混雑、行列が話題に/グッズは? - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20150526/p2

「神や聖人が敢えて地獄に降り、亡者を救う」という発想は、東洋にも西洋にもあったみたいね(鳥獣戯画展) - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20150519/p1

「印字打」(石投げ合戦)の話

動物たちの意味するものを、人間社会の実体的な諷刺や寓意、見立てに安直に還元せずにどうとらえるか、その関係性が問われる。たとえば、兎や蛙は相撲や賭弓(※のりゆみ、年中行事のひとつで正月に天皇が弓の勝者に賭物を与えた。)、田楽などの演技者、芸能者として多く登場するのに対して、猿は印地打ち(※いんじうち、正月や端午の日に川原で行われた年中行事の石投げ合戦)で蛙を殺害して逃亡したり、法会で僧として読経したり、競馬で兎の耳をつかんで妨害し逆に落馬したり、何かの事件を引き起こす攪乱者(トリックスター)として描かれる場合が多い。動物たちの位相の差異をどう読むかが今後の課題であるであるが、ここでは擬人化されない二種の動物、蛇と梟に注目したい。

ちょっと画像がないのだけど、人間がそのまま描かれている鳥獣戯画の一種の続編(丙だったか丁だったか…)にもこの石合戦、印字打が描かれていた。



どうも川を挟んで石を投げ合う「石合戦」は、ひとつのゲームとして行われていたようで……もちろんめちゃくちゃ危険な遊戯です。けが人続出です。


家康の少年時代の伝説にも出てくる。

徳川家康は10歳の頃に石合戦を見物したことがあった。
一方は三百人余り、もう一方は百五十人余りであり、多くの人々は大勢の方が勝つだろうと考えて、見物する場所を大勢の方に見に行ったが、徳川家康は近侍の者に「小勢の方へ向かう」と述べた。
近侍の者は疑問に思って「皆な大勢の方へ向かいますのに、どうして小勢を選ぶのでしょうか」と尋ねると、徳川家康は「多き者は自ずからその多きをたのむ。少なき者は自ずからその少なきを知る故に、少なき者が必ず勝つだろう」と言った。
実際に石合戦が始まると大勢の方は見る間に崩れ去って逃げ出し、その方で見物していた人々は大勢の逃げ回る中に巻き込まれて苦労したが、徳川家康は小勢の方に居たので面白く見物して帰ることができた。
これを伝え聞いて今川義元は「将門将を出す者か」と嘆じたという。
http://www.kokin.rr-livelife.net/goi/goi_to/goi_to_9.html


その一方で以前、
「少なくとも野球のフォームのような感じで石を投げるというのは近代的な身体操法であり、いまでも野球文化圏以外では、あまりああいう感じで投げるのがサマにならない」
 
「戦国時代に、『石を投げる』という戦法は武田軍の軍法として有名だが、逆に言うと他では殆ど見ないので武田軍の特徴のように言われるのでは?」


みたいな議論がありました。

過去に

投げ槍、投石……「遠方からものを投げる」武術史、軍事史 - Togetterまとめ http://togetter.com/li/598117 @togetter_jpさんから

というのを書いたのですが、この続編をまとめてみたいところ。そのプロローグ的に。

追記

徳弘正也「黄門さま」3巻にも、石合戦の話が出ていて、
もともとは穢れをはらう神事として行われていた、との説明がありました。
やっていくうちに、死者やけが人が続出し、やっぱり勢力争いや遺恨が生まれていくのですけど。



おまけ カエルvsウサギの相撲シーンについて

鳥獣戯画」新説。カエルVSウサギは、猪木アリ状態の予言?〜「手塚治虫鳥獣戯画を語る」再放送 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20150406/p1


という話をかきましたが、たまたまグッズのひとつをひっくり返してみた。



こうすると、ウサギがえらく派手な投げ技でカエルをぶん投げているようにみえる。


ウサギが何かわからない必殺技で投げてポーズをとってる、
カエルが投げられていると仮定すると
車田正美っぽくなります。

それで工夫してみた。

わたしの迷走のあとがうかがえますね。