NHBニュース( http://blog.livedoor.jp/nhbnews/ )とダブルポストです
『神戸在住』『巨娘』『からん』の木村紺氏がアフタヌーンに帰ってきました!
http://afternoon.moae.jp/news/1006
今回は真っ向勝負のボクシング漫画『マイボーイ』!
本日発売の「アフタヌーン」5月号より新連載開始です!
有望な選手を多数かかえるボクシングジム「ペンギンジム」。さらなる飛躍をかけて挑んだ一大興行がまさかの大惨敗!! 飛躍どころか破産の危機に! ジムを立て直すには試合に勝ち続けるしかないが、ジムの会長は敗戦のショックで現実逃避中。この窮地を乗り越えるべく立ち上がったのは会長の孫娘・響!! ボクシングの知識と胸の大きさなら誰にも負けない響と気の弱いハードパンチャー・佐藤。二人三脚で目指すのはもちろん王者の座!
小山ゆう、30年ぶりにボクシング描く「雄飛」が連載開始
http://natalie.mu/comic/news/112998小山ゆうによるボクシングを題材とした新連載「雄飛」が…ビッグコミックスペリオール8号(小学館)にてスタートした。
「雄飛(ゆうひ)」は、戦後日本の混沌の中でプロボクサーへの道を歩む青年・大垣雄飛の物語。(略)「AZUMI-あずみ-」を2月に完結させたばかりの小山が、約30年ぶりにボクシングを描く…
小山ゆうのボクシング漫画はつまり、「がんばれ元気」以来ということになりますな。
レジェンド・オブ・レジェンズ。
ダン・ヘンダーソンどころじゃない。
この「雄飛」第1話はネットで試し読み可能なので、そちらに語ってもらえばいいでしょう。というか自分は実は、あまり小山ゆうの熱心な読者ではないのだ。
http://big-3.jp/bigsuperior/tameshiyomi/saisin/20140326/yuhi/index.html
さて、木村紺。
少し前に描かれた読みきりが連載されるとか、いや違う作品の連載だ、とかちょっと情報が混乱してたんだが、要は同一世界の作品で、この前の読みきりは「マイボーイ」より数年前(幼児が高校生になるぐらい)の世界を描くということになった。
「神戸在住」の作風は猫をかぶっていたとして(笑)、「巨娘」「からん」とは、非常につながっている「KKスタイル」(木村紺スタイル)を爆発させている。とくに「からん」とは台詞回しが非常に共通していて・・・ある状況をみて、登場人物が「XXXXXX?」とそれを断定的に形容する…これがうまい感じでございました。また、ボクサー側の主人公は『気の弱いハードパンチャー・佐藤』なんだが、これはしゃべり方や立ち方からして、「巨娘」の巨娘恋人役の、あの感じ(笑)。「ぼぼぼぼぼくっ」みたいなね。作者の趣味と推測する(笑)。
ま、それよりだ。
「マイボーイ」という、エディ・タウンゼントさんが日本に残したやさしい言葉が表題のこの作品、上の解説文にもあるように、ようはトレーナー、参謀役に、ジム会長の孫娘がついて、ボクサーを鍛えるという展開だ。すでに第一話で、会長はこの気弱で才能ある選手を突進型のボクサーに育てたが、娘は外野から「お前はアウトボクシングで闘えばいいんや!」とクチを出すというね。
セコンド、トレーナーに目をつけたのはさすがKKスタイルで…いろいろ荒唐無稽と言われるかもだが、実際にリングには上がれないが、ボクサーと一心同体になるトレーナー、参謀・軍師役ならそこに「女性」を配置しても、まあリクツは通る。
そこでの「軍師」ぶりによって、リアルな場での戦いと女性、を融合させるというのは、かなり面白い試みじゃないか。直接的に女子柔道を描く作品「からん」は、おそらくというか間違いなく当初構想を完遂できず「隠れた傑作」になってしまったのだが、その流れで、たとえば女子ボクシングを描くより、面白いものになる舞台仕掛けであろう・・・と第1話を読む限りではわくわくさせられるもんがある。
木村紺は、意識的にか無意識的にか「ジェンダー問題」を描く第一人者。
よくいうじゃない。
「XXXXの漫画は、女性がいつも看護とかサポート役ばかりで、女性差別」「主人公を誘惑する悪女という扱い」「いつも守られてばかり」…要はコーイッテン論、的な。
実はそれはそれで、ある時期はかなりもっともだったと思うんだけど、それは実際のところ解消されていく流れだと思うのである。それも「女性が守られる役ばかりなのは」【ポリティカルコレクトネスに反する/差別的だ】じゃなくて【パターンどおりで面白くないし、出番が増えないから】活躍させよう!!!という形で、消えていったと思うのだ(笑)。
■「約束を ひっくり返す お約束」
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20110903/p3
で書いたような感じですな。
「巨娘」のジョーさんは、暴力的、肉体的にも巨大で強いだけじゃなく、飲食店一軒の経営をまかされた店長であり、その強引なまでの決断力や、不当な客への毅然とした態度も、まあ俗な表現を使えば「男らしい」。異性へのアプローチの仕方も、それこそ男性を主人公にしてアレ描いたらポリティカルコレクトネスに反するような(笑)、まあゴーインなものです。
しかし、それをやるのが女性の主人公である。
そのこと自体に異化作用、ギャグ化作用がある…その状況が問題だ、というリクツも成り立つが、まあそこは目をつぶってもらって(だって本当なら、どっちも不快感をもたれるのがスジともいえるでしょ)。「からん」の主人公も、主将も、いわゆる女性的ではないキャラクターだった。
木村紺のこのすらりと、女性的でない女性を中心にして物語を回していく才能……このへんって計算しつくされたものかもしれないし、ごく自然にやっているのかもしれない。
というか、木村紺は何者か。格闘技に詳しすぎるし。
「からん」の主人公vs主将の寝技対決で、いきなりオモプラッタを描いた、木村紺。
■柔道漫画「からん」続報 主人公vs主人公の先輩(師匠格)の寝技対決は?
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20090810#p3
柔道漫画の次はボクシング漫画を手がける木村紺。
だがウィキペディアでもこの程度の記述しかない木村紺。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%A8%E6%9D%91%E7%B4%BA
1997年、アフタヌーン四季賞冬のコンテストで四季賞を受賞し、デビュー。翌1998年から2006年『月刊アフタヌーン』(講談社)にて、受賞作『神戸在住』を連載。実在する神戸市の町並みや阪神・淡路大震災からの復興を描き、2002年に同作で第31回日本漫画家協会賞新人賞を受賞した。同作内における震災のエピソードは知人の体験を基に物語を描いているが[2]、自身も阪神・淡路大震災の被災者である[3]。
2007年に『月刊アフタヌーン』で短期連載され、後に『good!アフタヌーン』に移籍し連載中の漫画作品『巨娘』では、焼き鳥チェーン店を舞台に破天荒なコメディを描いた。2008年から2011年まで、『月刊アフタヌーン』にて女子高の柔道部を題材にしたコメディタッチの作品『からん』を連載した。
年齢や性別、本名などのプロフィールはほとんど公開されていない(ただし、一部で男性との表記が見られる。「四季賞」受賞時の名義は男性名)が、京都の洛東地域で多感な時期を過ごした[4]、1970年代生まれ[1]、などの記述は存在する
以前も書いたが
ゴン格「私と格闘技。」でインタビューしてみてよ。(まあ、講談社の編集部が断るのだろうな・・・)
以前の「木村紺」関係記事集。
■木村紺の学園女子柔道漫画「からん」が,格闘技漫画として凄い件(アフタヌーン)
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20090725#p2
■柔道漫画「からん」続報 主人公vs主人公の先輩(師匠格)の寝技対決は?
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20090810#p3
■「オールラウンダー廻」メグル優勝ならず。一方「からん」は次回最終回(涙)。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20110409/p1
■木村紺「からん」”最終巻”発売。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20110907/p2■「神戸在住」の連載終了(最終単行本発売)を惜しむエントリが人気
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20080503/p3
※これは深町秋生ブログのhttp://d.hatena.ne.jp/FUKAMACHI/20080502
■2008-05-02 誰よりも硬派でした「神戸在住」の紹介も兼ねているもの。