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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

羽海野チカという人は「漫画家が恐れる漫画家」らしい。ゴッチかボックか、ヒョードルかフリーザか…【ここで紹介した座談会は、のちに解説本に収録されました】

将棋と棋士を描く「3月のライオン」は数々の賞を受賞しており、連載途中ではあるが、もはや評価の定まった名作。この前9巻が出たばかり。

んで。
どうも、この作者の「羽海野チカ」というひとは……、同業者の中において「あいつはシュート(真剣勝負師)だ…」「リアル・ディール(本物)だぜ…」とビビりを入れられている、カール・ゴッチやローラン・ボックのような存在らしい、のです。

ローラン・ボック伝説に、こんなのがある。
アントニオ猪木がヨーロッパ遠征のとき、日本で無名だったローラン・ボックはどこも注目しなかったのだが、とあるレスラーだがレフェリーがつぶやく。
あいつはね、レスラー仲間の間で『墓掘人』と言われているんだよ…
「!!!」
記者たちは顔を見合わせる。客向け、パンフレットに印刷する”異名”なら、「猛牛」でも「雷鳴」でも「人間機関車」でも、いくらでも強そうな名前がつく。というかその異名を、記者は考える側だ。
しかし、レスラー仲間の間でつけられる綽名はそれとはまったく意味が違う。同業者間の本音、リアルな評価がダイレクトに反映される。そしてその結果、彼についた名前が「墓掘人」だということは…
そして、果たしてシュッツガルドで…と、この裏物語は続くわけですが。


まあ、そんなわけで、よくも悪くも世間へのイメージと、一番シビアな批評家でもある「同業者」の評価は異なる。そして、数号前に「3月のライオン」掲載誌であるヤングアニマルに載っていた、「羽海野チカをよく知る同業者の座談会」がね…(笑)。
【※ここで紹介した座談会は、のちに解説本に収録されました。初級編のほうです】


これもヤングアニマルの中核を担う、森恒二三浦建太郎吠士隆の鼎談だが、いろいろ伝説になりそうな話がある。司会が担当編集から仕入れたネタも面白い。
 
・「天才は自分が天才と気づかない。彼女もたぶんそうだろう」(森)
彼女は「友達がほしくて漫画を描いている」と語ってたそうです(司会)。※「白面の者」を思い出した。
・「絵がかわいく見える線、というものが存在しているので、その線を覚えれば絵はかわいく描ける」と語ってたそうです(司会)
・「漫画全体を俯瞰する能力」がすごいのだ(森)
・でも、彼女は「森恒二と自分は似ている。彼の感覚は『乙女』だ」と語ってた(司会)


ただ、そこから…実際に彼らが飲み会で、羽海野氏と話していたときの話が、正直異様だ…


・パーティの3次会で、皆で愉しくお酒を飲んで、漫画トークをしていた。
・その座談で、羽海野氏がいう「3月のライオンは…まだ車で言えば、3速の段階かな」
・一同「?」
・「(ハチクロではやったけど)まだライオンでやってないことがあるから」
森恒二…「!」
・森、吠士氏は→形容や比喩でなく、リアルな物理的現象として「 (((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル 」したと回想する…
・まだ変身段階を2つも残している、ということで森氏は以後、彼女に「フリーザ様」との異名をつけた。
・それを聞いた羽海野氏の返信森恒二先生とは今度ゆっくり話し合う必要性を感じます」

怖いわ!!

その次の号で…まず真面目な指摘。

吠士
羽海野先生って、取材したものから、どこを拾うかっていうチョイスがすごくうまいと思うんですよ。たとえばライオンの中で、勝った方が声が小さい、というシーンが出てくるんですよ。負けたほうはサクサク答えるんだけど、勝ったほうは疲れきっていて、対局中、勝ちがほぼ決まった段階からミスらないようにしないといけないから、勝者のほうが緊張感があるみたいなエピソードがあって、それを取材で拾ってくる能力がすごい。

でもこんな鋭い指摘と同時に、「先生の部数は、俺の初版の35倍だったよ!」とか語っていて、ぶちこわしなわけだが(笑)。
・三浦「将棋の勝負のところ、そのえぐさまでを描ける漫画家ならいるだろう。しかし、その勝敗が一人ひとりの人生にどう繋がっているのか。それを描けるのは…羽海野のみ!

んで、森氏、吠士氏の結論。
「あの人はヒョードルだよ」

森氏は「この結論には確信があるので、彼女が怒っても訂正しない。…たとえ正座させられても」と悲壮な覚悟を語っていたことを、付け加えておく(笑)。


しかしその羽海野氏はつい最近入院。「3月のライオン」はとうぶんお休み中。

羽海野チカが入院と手術の為、漫画『3月のライオン』休載へ。連載再開は年内を予定。 - なんでも速報〜アニメ・声優〜 http://nandemo-anime-seiyu-sokuho.doorblog.jp/archives/32660029.html

ただまあ、最近のこれを見る限り、それほど重大な症状ではなかろうと(笑)。
https://twitter.com/CHICAUMINO
SNSの発達は、とりあえずの近況をリアルタイムで伝えてくれるから、こういうときは安心の材料になるねえ。


補遺 羽海野チカ、過去のtwitterまとめ/ ニコ・ニコルソン /森氏らからの応援メッセージ

・検索で見っけた。

http://matome.naver.jp/odai/2134543922338654001

羽海野チカ8月25・26日アニマル祭開催@CHICAUMINO
ハチクロはお友達を持った事の無い人間が妄執のような憧れだけで描き続けた「お友達のいる世界」の物語だったのですが、描き上げた頃には沢山の共同作業や沢山の人との打ち合せを経て、本当に人と話せるようになっていて、なんとお友達までができていたのが人生の素晴らしい所だと、心からおもいます。

羽海野チカ8月25・26日アニマル祭開催@CHICAUMINO
墨汁ごくごくごく
 
羽海野チカ8月25・26日アニマル祭開催@CHICAUMINO
「墨をのんだような気持ちになった」というモノローグを書いた事があるので、書いた者として、実際にはどんなカンジなのか知らないといかんなと思って飲んでみた。でも、家には製図用のパイロットのインクしかなかった。ごくごくも無理だった。一口ではいた

・ニコ・ニコルソン「マンガ道場破り」。
この座談会で挿絵を担当しているニコ・ニコルソンさんはふだん、マンガ家にインタビューし、そのポリシーや来歴を漫画化する「マンガ道場破り」を同誌に連載。
以前、羽海野チカ氏を2回連続で描いたことがある。
それが単行本になっている。

3月のライオンに出てきた、学校でのいじめの話は、親戚の体験談を昇華させたものなんだって。

ヤングアニマルに載っていた「漫画家(無名)が漫画家(大物)にインタビューするショート漫画」が単行本に。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20130310/p6
マンガ大賞2011は「3月のライオン」に決定/現在の「いじめ」エピソードは親族の実体験
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20110321/p4

・さっきの座談会の〆について。
(司会)「では、羽海野さんに応援メッセージを」
「なんでだよ!」
「彼女は、応援の必要なんてないよ!」
「むしろ、俺たちを、彼女が、応援すべきだよ!!」
「…あ、三浦建太郎は除外ね。この人は羽海野と同ランクにいるから」


      涙。

ベルセルク 37 (ジェッツコミックス)

ベルセルク 37 (ジェッツコミックス)

自殺島 10 (ジェッツコミックス)

自殺島 10 (ジェッツコミックス)


後日談 上の座談会はファンブックに収録され、あとからでも読めるようになったらしい。

http://natalie.mu/comic/news/127234
羽海野チカ3月のライオン」初のファンブック「3月のライオン おさらい読本 初級編」が、本日9月29日に発売された。…(略)レアイラストも収録。松井玲奈とのコラボグラビア、三浦建太郎森恒二・吠士隆が羽海野を語る集い、「ニコ・ニコルソンのマンガ道場破り」羽海野道場編など、ヤングアニマル白泉社)で好評を博した企画も

(※これは2013年当時の情報です)代表作「ハチミツとクローバー」の1、2がアニマックス放送

以上のネタと資料は、「いつか書こうフォルダ」にしまってあったのだが、なぜこうやっていま紹介したか。

偶然みっけたのだが、明日から「2」、そのあと並行して「1」を放送するらしい…この編成がよくわからんけど、再放送がらみだとこういうこともあるのかね
(…あ、つい最近まで同局は「1」を放送してて、これはその直後のリピート的な放送らしいです)
http://www.animax.co.jp/

本日を基点にすると、先に放送が始まることになる「2」。11日から連日放送

http://www.animax.co.jp/program/NN10000606
ハチミツとクローバーII 制作年度:2006 

ボロアパートで貧乏ながらも楽しい生活を送る美大生、竹本、真山、森田。
ある日3人は、花本先生の紹介で、編入してきた花本はぐみと出会う。
竹本と森田は、はぐみを見て一瞬で恋に落ちるが、それぞれの不器用さから、自分の気持ちを上手く表現できない。一方、真山は自分に好意を寄せる山田の気持ちを知りながらも、バイト先の建築デザイナー・理花への想いが強まるばかり。
お互いの、そして自分の気持ちにゆっくりと気づきはじめていく一方で、容赦なく日々は流れていく。それぞれの華奢な未来と向き合い、憂い、もがき、まわり続ける5人の片思いのゆくえは・・・?話題騒然の大人気アニメ、いよいよクライマックス!!
2013/11/11(月)
午後3:00〜 第1話 chapter.1
2013/11/12(火)
午前10:00〜 第1話 chapter.1 午後3:00〜 第2話 chapter.2
2013/11/13(水)
午前10:00〜 第2話 chapter.2 午後3:00〜 第3話 chapter.3 
 

16日から、土曜に2話連続で放送される「1」。週1回

ハチミツとクローバー 制作年度:2005
http://www.animax.co.jp/program/NN10000213
おんぼろアパートで貧乏ながらも楽しい生活を送る美大生、竹本、真山、森田。
ある日、3人は花本先生から、彼の従兄弟の娘で少女のように小さく可憐な編入生・はぐみを紹介される。
あどけないはぐみを見て、竹本と森田は一瞬にして、恋に落ちてしまった。
周囲がもどかしくなるほど分かりやすく不器用な竹本と難解すぎるアプローチで周囲を戸惑わせる森田。
正反対の二人の愛情表現が交錯するなか、森田はもちろん竹本もはぐみさえもお互いの気持ちに気づかないまま時は流れていく。
一方、真山は、交通事故で亡くした夫の影を今も追い求める建築デザイナー・理花への思いを強めていた。
自分のことを一途に思い続ける同級生・山田の気持ちに気づきながら・・・。
理花の心を埋めたいと願う真山、真山の愛が重い理花、好きな真山だけ振り向かせる事ができない山田。
それぞれが恋を感じ思い悩む2つの三角関係を中心に切なくてちょっと可笑しい、「片思いのお話」がゆっくりと動き出した。
放送スケジュール
2013/11/16(土)
午前11:00〜 第1話 chapter.1 午前11:30〜 第2話 chapter.2

さて、紹介しといてなんだけど、自分は「3月のライオン」派でして…それはまったく受信する当方の感性の問題で、レンアイがメインテーマだと、面白くても一歩、どうもね。そしてそもそも、CSアニメも毎回のことですが、ブログの読者層を考慮し(笑)面白そうなものは紹介するが、実際は見ないことが多い。

だが…「3月のライオン」にも通じる「天賦の才能ある者の選ぶ、どうしようもない孤独な道=”恍惚と不安”」を、ハチクロでも描かかれていたと考えると、がぜん興味は増すので…一度本格的にそういう視点から再読したい気もしています。アニメって、全ストーリーが完結まで描かれているのかしら。