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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

ジョシュ・バーネットが考える「総合格闘技」と今の”北米スタイル”の違い。

最新ゴン格より。

☆8月31日のUFCフランク・ミアを破り、
11年半振りにオクタゴンで勝ち名乗りを受けた
ジョシュ・バーネット
UFC復帰理由と、現代MMAファイターと総合格闘家の違い、
UFCヘビー級戦線、そして藤井惠の引退について語る。

今回は聞き手が高島学氏。堀内勇氏や松山郷氏でないので「ジョシュ、今の日本アニメと漫画、ヘヴィメタルを斬る」コーナーはお休み(笑)。

その代わり(代わりじゃねえだろ)、UFC復帰戦について語っている。またUFCダナ・ホワイトと自分がなにゆえに相容れないかを語っているところも重要なのだが、最近ゴン格をはじめとして格闘技メディアで当然の前提になっている、
<日本で積み重ねられてきた『総合格闘技』と、北米でUFCを中心に作られた『MMA』の闘い方は別物になっていた>
を別の方向から語っている点をちょっとピックアップしたい。

Q要約:ケイン・ヴェラスケスやJDSは若くて強く、MMAで勝つ手段を身に着けてます
 
ジョシュ「(彼らの戦いは)MMAじゃない。UFCで勝つために特化されているスタイルだ。強いよ。肉体も強くキックボクシングも強く、レスリングコントロールに長けている。テイクダウンディフェンスもね。でも同じようなスキルを持った者同士が戦い、最初にピンチに陥った者は盛り返すことができない。彼らのファイトは重いパンチをもらってダウン、あるいはテイクダウンを許せばそのまま終わりだ」
 

以下はぜんぶ要約する

ジョシュ「本当のオールラウンダーが今のUFCにはいない。ストレングス(力)だよりだから、大振りのパンチやけりが当たったら秒殺、みたいな試合になる。テクニックを身に着けたオールラウンダーなら、例えば負傷してもゲームプランを変えられる。KO価値も戦略を組みたて、その結果奪ってこそ価値がある」
 
Q:でも、まさに今風のダニエル・コーミエがあなたに勝ってる
 
ジョシュ「彼は五輪レスラーだからケタが違うよ。JDSやヴェラスケスより上だと思うね」
 
Q:いわゆる総合格闘家UFCだと貴方以外には
 
ジョシュ「フランク・ミアやミノタウロも、今の状況は別としてそうかな。」

そしてここが重要なので再度正確に引用します

UFCではその多くがコントロールレスリングとテイクダウン・ディフェンスができるキックボクサーなんだ。そうオフェンシブ・ディフェンダー。」

Q:なるほど、言い得て妙ですね
 
スプリント、そしてすべてをディフェンス、その繰り返しだ。さらに言えば、ジャッジに動きを見せるために動く。まあ、ワーキングだよ。そういうファイターを育てるのは簡単なんだ。長い目でみていない。成功を急いて、そして成功を収めても長い間享受できない。(後略)」

加えて
UFC王者が長期君臨できず、3、4年でトップが代わるのは「総合格闘技」的なスキルではなく、上のコントロールレスリング、テイクダウンディフェンス、キックボクシングだに特化したスタイルだからで、もっと”総合格闘技”的な技術を学べば選手寿命は長い、と。

ど〜〜うですか。
たしかに「オールラウンダー廻」はさまになっても「オフェンシブ・ディフェンダー廻」はさまにならない(笑)。そして初期のUWFやリングスの洗礼を受けた日本の旧世代ファンは、いわゆる”回転体”こそ楽しめる、というのは正直まちがいない。


だが。
自由に闘えることを眼目とするフリーファイトで、コントロールとテイクダウン防御とキックボクシングのみに特化し、動いて動いてポイントを稼ぐ「オフェンシブ・ディフェンダー」が王者になるなら、それは”自由市場”の結果でやむをえない、と見ることもできる。100m水泳自由形を見た選手が「いまの選手は想像力もテクニックの幅もなく、みなクロールで泳いでばっかりだ!!」と嘆いても意味がないよね(笑)

日本が総合格闘技と北米的MMAの違いを、最初に意識したのは、実は北米とは縁もゆかりもない佐山聡の「掣圏道」、そして船木誠勝の”野獣の時代”宣言だったと思う。要は複雑な足関節技より、上を取ってのパウンドや、タックルを防いでの打撃の嵐のほうが重要になるという……。

それはノールールの今の仕組みを肯定するなら、基本的に正しい方向の予言だった。「正しい」と「面白い、つまらない」は別であっても…


ただし「そのスタイルだとトップに立てる期間が短いぞ。総合格闘技スタイルなら、トップに長期間立てる」という説得は、ある意味「武道における”ずらし”」の一種。
これ、実際の試合結果をかなり長期に見ないと、命題の真偽がわからないもんな(笑)。
ただ、相撲は選手寿命が比較的短かったり、速球派と軟投派の選手寿命などを見ると、スタイルの幅が広いほうが選手寿命が長いというのはあり得そうだ。


ジョシュはいま、弟子を取っているそうで、

バンタム級でいま、目を掛けている面白い教え子がいるんだ。ビクター・ヘンリーっていうんだけど、6勝0敗でONE FCに出してアジアンルールを体験させたい…どんな局面でも戦える術を与えたい。

テコンドー、カリ、アクスリマ、キャッチアズキャッチキャン、極真、柔道(指導者は石井慧)を学んでいるそうだ。なんだカリって。エスクリマって。
MMA総合格闘技を見せることができるようになる」選手にさせることを目指しているそうで、写真説明によるとジョシュは
がぶりからの腕十字―ーと見せかけてアンクルロックのとり方」を指導していたという(笑)。「青い目のミノワマン」が生まれたりしないだろうな(笑)