INVISIBLE Dojo. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「終戦のエンペラー」雑感。

どうも自分は映画感想は、まとまりなく箇条書きにするほうが得意っぽいな。
・プロデューサーのひとりが日本人(登場人物の身内でもあるとか)であることや、日本の市場規模を考えたのであろう、史観としてはかなり日本に「好意的」になっているのは間違いないだろう。たぶん、韓国の人が見たら気に入らない(笑)。しかし聞くならく、「ワールドウォーZ」に韓国が登場するとかで、よくも悪くもハリウッドやゲーム業界は「売れる国」に配慮するつくりなのだろう。
 
・はじめに提起された「天皇は戦争責任があるのか、ないのか?」「ないとしたらだれが責任者なんだ?」という謎解きミステリー的な問題設定はけっきょく最後ふっとんでる(笑)それは作中でも、マッカーサー自身が主人公に突っ込んでる。「天皇を罰さないという結論はともかく、証拠なにもねーじゃん。お前の”意見”じゃん」…ただ、史実的にもたぶん当時のGHQの追及はそういうものだったんだろう。
 
近衛文麿や、西田敏行演じる英語を使える元将軍などにいろいろ語らせているが、ほんとにそういう発言をしたのかどうか。 
 
マッカーサーが猛烈な自己顕示欲の塊で、この時期は大統領選挙をにらんだ野心も満々だった、という人物像を描くことがひとつの重要テーマだったのだろう。そこはそれなりに、写真好きな面や降りる瞬間のポーズきめなど描かれていた。ただ、この自己顕示欲は軍人としてプラスだった面もあった。そのへんはどうなのかな。
 
・そしてクライマックスは、昭和天皇マッカーサーの会見記の映像化。ある程度はこのへん、「現人神」だった存在をフィクションで演じさせることにハリウッドもポリティカル・コレクトを配慮したっぽい。ただ「写真撮影はNG」「握手はNG」といわれていたのに、マッカーサーはそれを無視してそれを強要した、というふうにえがかれている。
このへんが昭和天皇の心境いかん、だが・・・後述。
 
・ただマッカーサーの軽装(ノーネクタイ)などは、天皇だけじゃなくて直属ボスの大統領に対してもそうで、朝鮮戦争で解任されたのもその無礼が一因だったとか。これは猪瀬直樹説。
 
昭和天皇マッカーサーだが、解任されたときに昭和天皇は「見送り」要請にこたえず、さらに初訪米時、マッカーサー記念館に十分行ける距離まで行き、さらにその近くで休憩しながら、やはり訪問要請を無視。マッカーサー未亡人はカンカンになったとか。
これは保阪正康氏の文章で読んだのだが、小林よしのり「ゴー宣昭和天皇論」でも描写されていたな。
あ、もうひとつ、皇太子の疎開先ではそのご学友が「日本の勝ちだ!」「こちらは礼節に満ちているのに、あちらはネクタイもしない礼の無さ。成り上がりの田舎ものぶりを晒した!」と。どこまで本気かは確認するすべもないが、”読み方”の違いとしては面白い。
 
・最後に映画に戻ると、自分は知っている歴史をなぞるから面白かったけど、ストーリーは「起承転結」の起伏にとぼしい、うすぼんやりとした感じの作品だった、というのが全体的な評価。あと自分はNHK大河ドラマもそうなんだけど、むりやり史劇に個人ロマンスをからめるのはあまり好きじゃないんだ。そうしないと画面がもたないのかもしれんが・・・