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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

山口香のロング・インタビュー

むかし書いた
山口香は女三四郎というより女ゲバラhttp://d.hatena.ne.jp/gryphon/20090403/p2
… という記事にアクセスが急増していた。なにかと思ったら、2013年2月7日の朝日新聞にロングインタビューが載っていたのだね。
まさに今回の告発女子選手の側に立って「革命戦争」の狼煙をあげていたようだ。
その記事から、重要点を引用しようと思ったが・・・ここを見ていただいいたほうが早いね

山口香の証言
http://d.hatena.ne.jp/bluetears_osaka/20130207/1360194399

「私は選手に言いました。『ここからはあなたたち自身でやりなさい』と。さらに『あなたたちは何のために柔道をやってきたの。私は強い者に立ち向かう気持ちを持てるように、自立した女性になるために柔道をやってきた』という話もしました」


「彼女たちの行動には賛否両論あると思いますが、彼女たち自身が起こしたものであるとはっきり言いたい。声明文にもあるように、彼女たちは気づいたんです。何のために柔道をやり、何のために五輪を目指すのか。『気づき』です。監督に言われ、やらされて、ということでいいのか。それは違うと」


「ここからが私たちの仕事だと思っています。時間がたつにつれ、彼女達のことを『何様なんだ』と言う人達が必ず出てきます。今度は私達が矢面に立って守ってあげなきゃいけない。柔道界をあげてサポートする姿勢が大切です。訴えたことが悪いんじゃない。問題をすりかえてはいけません」

 「私は今回のことで一番重要だったのは、ここだと思います。体罰にも関わりますが、体罰を受けている選手はその中に入ってしまうと、まひしてしまう。自分のプラスになっているんじゃないか、先生は自分のことを思ってやってくれている。そんな考えに陥りがちなんです」
 「柔道はもともと相手を倒す戦闘目的のものでした。いわゆる柔術ですね。ところが柔道の創始者嘉納治五郎師範はそこに疑問を持ち、指導方法を体系化して安全に学べるものにしました。強くなるには『術』が大事だが、それが目的ではない。その術を覚える過程で、自分という人間を磨く大切さを説いた。だから『道』になったんです。園田前監督らは金メダルを取らせないといけないという重圧から、戦闘目的の『術』に戻ってしまった。人間教育がどこかにいってしまったんです」

 「嘉納師範亡き後、指導者たちはその理念を勝手に解釈するようになったのでしょう。柔道が国際化し、JUDOになって大事なものが失われたと語る日本の柔道家は多い。違うと思う。嘉納師範は柔道の修行として『形』『乱取り』『講義』『問答』の四つをあげています。後ろの二つを一部の日本人が省略し、柔道の姿を変えてしまったんです」

 ――柔道界の再生へ向けて必要なことは何でしょうか。

 「まず全柔連の理事に女性がいないと指摘されていますよね。ダイバーシティーという言葉がありますが、いまは多様化の時代です。いろんな視点が必要で女性もその一つ。外部から女性理事に入ってもらってもいい。柔道界の中で顔を浮かべるから、この人じゃダメだとなる。元バレー選手、元サッカー選手でもいい。コーチに外国人を採用してもいいでしょう」

 「柔道界は強い者が絶対という思想があります。柔道家同士だと『お前弱かったのに』というような部分がどうしてもある。先輩後輩という関係もつきまとう。でも、本当に柔道を愛しているのは、強くなくてもずっと続けた人だと思うんです。そういう人を尊敬し、適材適所で力を発揮してもらう。キーワードは『リスペクト』と『オープンマインド』。強い弱いを越えて相手を尊敬し、広く開かれた組織になって多種多様な意見を取り入れる。そこから始めることが大切です」

(聞き手・安藤嘉浩)