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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

文芸春秋掲載の沢木耕太郎「キャパの十字架」、Nスペ番組にも〜キャパの出世作は”ヤラセ写真”?

散々宣伝したから再放送までは触れなかったが、ダイオウイカNHKスペシャル再放送が昨日深夜にあった。呆れたことに、録画済みなのに再度見てしまった(笑)。「ラピュタ」を毎回見る一般市民もそうだが、録画していたりDVDを持っているものを再放送で見るほど無駄なことはない


それはどーでもいい。
そこで時間を確認するために、NHKスペシャルの公式サイトを見たのだが…現在発売中の「文芸春秋」に一挙掲載された、沢木耕太郎のノンフィクションが連動する形でTVドキュメンタリーになるのだ。

http://www.nhk.or.jp/special/detail/2013/0203/index.html

沢木耕太郎思索ドキュメント
キャパの十字架〜戦場カメラマンが誕生した日〜(仮)
2013年2月3日(日) 午後9時00分〜9時49分
 
 
これは、作家沢木耕太郎さんの取材と思索を軸に、テレビ60年にふさわしい映像表現・分析手法を駆使して、現代史の謎に迫るドキュメンタリーである。
戦争報道の歴史の中で、最大の謎と言われる一枚の写真がある。「最も偉大な戦場カメラマン」と称されるロバート・キャパ(1913−54)が、スペイン内戦のさなかに撮った「崩れ落ちる兵士」である。銃弾によって身体を撃ち抜かれた兵士の「死の瞬間」を捉えたとされるこの写真は、フォトジャーナリズムの歴史を変えた傑作とされ、それまで無名だったキャパを時代の寵児に押し上げた。だが、この「奇跡の一枚」は、真贋論争が絶えない「謎の一枚」でもあった。ネガは勿論、オリジナルプリントもキャプションも失われており、キャパ自身も詳細について確かなことは何も語らず、いったい誰が、いつ、どこで撃たれたのか全く不明なのだ。
キャパに魅せられた沢木耕太郎氏は、20年近くこの謎を追い続け、今意外な「真実」にたどり着こうとしている。それは、自殺願望があると噂されるほど危険な最前線に赴き、ついに戦場で命を落とすことになったキャパの「人生の秘密」を解き明かすものでもあった。
番組は、沢木さんの新事実発掘と思索の旅に同行、さらに最先端のCG技術を駆使し、「崩れ落ちる兵士」がどのような状況で、そして誰の手によってカメラに収められたのか、世紀の謎に迫っていく。

内容は、この紹介で大体分かるだろう。そして文中の”真贋”は「ヤラセ」ということばに置き換えたほうがより分かりやすい。
もう一回、自分の言葉でこれを箇条書きにする。

・有名な戦場写真家でノルマンディ上陸作戦にも参加、最後も戦場で命を落としたロバート・キャパ
・彼が無名の男から、世界的に有名になったのは、スペイン内戦で人が射殺される瞬間を撮った「崩れ落ちる兵士」だった。

・しかし「こんな写真が当時のカメラで、本当に偶然に撮れるのか?」「不自然なポーズに見える」「状況が分からん」…ぶっちゃけ「ヤラセとちゃうん?」という声があった。
・(仮説)キャパは、自身を大物にした決定的な一枚が「ヤラセ」なことに罪や恥の意識があり、だからこそその後は誰よりも勇敢に、危険な場所を撮った…結果的にヤラセがキャパを作った?・・・・・・


自分はこの話を知っていた。
なんで知っていたかというと、沢木氏の過去の文章のどこかに、断片的に書かれていたからだ、と思う。文芸春秋の記事でも「過去の作品の一部と重複しています」とあってね。

まあ、重い話だよ…文章が膨大なこともあって、まだ文芸春秋掲載の作品もぜんぶ読んでない。というかキツくて、途中でやめちゃうんだよね。その一方で「なんかMASTERキートンみたいな話だ」とかの感想を持つんだけどな(笑)。
過去の決定的な過ち、それを現在の仕事で帳消しにできるか……そこは日本人ならではで(?)「まああいまいにしとこうよ、なあなあにしとこうよ、もうアレはあれでいいやん」と感じちゃったりするわけよ。
だけど、もう当事者も故人。
糾弾する、わけじゃなく「真実を知る」ことはやっぱり肯定せざるを得ない。

今回、沢木氏は警視庁などにも連絡をとり、「撃たれた人は本当にあんなポーズをとるか」を問い合わせたりもする。ある人は「位置エネルギーの問題ですよ。それを計算すると分かる」とか、物理的な問題まで言い出す。
また「ある地方での散発的な戦闘」ということで謎のままだった地方や、撃たれた人物の名前も、服装や地形の詳しい調査で徐々に判明していく。果たして該当者はこの時期、この場所で本当に撃たれたのか。その記録は、地元に残っているのか――。

歴史ミステリーでもあり、ある偉人の人物伝でもあり、人の”罪”を問う作品でもあり・・・・

1947年生まれの沢木耕太郎氏、現地を駆け回ったり資料を膨大に調べるノンフィクションからは少しずつ身を引き、コラムや小説、映画評などにシフトしていくのかと思っていたし、正直最新作が出たときに真っ先に買いに行くことはないほどには、興味をちょっと失っていた。

しかし、まだノンフィクション作家として「現役バリバリ」だったんだな。それだけは、まだ全部読んでいないこの作品で分かるし、ドキュメンタリー番組も期待大だ。

沢木耕太郎NHKスペシャルのコラボと言えば、NHK特集がNHKスペシャルになったばかりの時期、ボクサーであるジョージ・フォアマンの世界王座奪回激を、やはり沢木氏が文芸春秋の1995年に「拳と祈り」として発表、主人公のような形で沢木氏が出演した「奪還」がNHKで放送されたことがある。
単行本になってないのかな…?ないかもしれないな。
http://blogs.yahoo.co.jp/odori_1990/38642173.html
http://ci.nii.ac.jp/naid/40003423902

ん?
http://ameblo.jp/actionman/entry-11271609432.html

Number PLUS Sports Graphic「拳の記憶」

NHKスペシャル「奪還〜ジョージ・フォアマン45歳の挑戦〜」である。
1995年に放送された沢木耕太郎構成・脚本、小林薫ナレーションの
スポーツドキュメンタリーの傑作である。
残念ながら現在このドキュメンタリーを見ることは出来ない。
半年ほど前Youtubeに上がっていたのだが、今は削除されている。
昨年、ボクシングを特集したナンバーの別冊「拳の記憶」発売され、
巻末に放送台本をベースに加筆載録されている。
コレだけのためにこの本を買ったようなものである。

Sports Graphic Number PLUS MAY 2011 拳の記憶

Sports Graphic Number PLUS MAY 2011 拳の記憶