しつこく何度も紹介してアレだが、この催しに先日行って来た。
http://www.asahi.com/event/wpph/
いちどここで「セネガル相撲」の紹介をしたことがあったが、今回も戦争や地震などの事件写真とは別のスポーツというか、世界各国の変わった日常を取り上げる枠で格闘技とプロレスが取り上げられているのである。
ひとつは
「メキシコでは、仮面をかぶった人間同士が戦う『ルチャリブレ』がサッカーに次ぐ人気を誇っている」
という紹介写真。まあ、世界的に紹介したら「へえ、そうなの??」「なんて奇妙なんだ」と驚く国もあるんだろうね。
そしてあとひとつが、表題にしたロシアの地下格闘技。
「ロシアでは、自由に殴ったり蹴ったりできる殺伐としたアマチュアの喧嘩大会がある。路上の喧嘩という意味で『ストルレイ』と呼ばれる」
と。
たぶん英語の「street」と同語源なんでしょうな。たしかにこういうところで強い、という選手なら、おそらくは日本にも呼べそうなギャラだろう。いつかどこかのリングで登場するかもしれない。
ただ逆に印象に残ったのは、そんな辺境のチカカクでも、選手はオープンフィンガーグローブをつけて戦っていること。こういうところはグローバリゼーションだなあ、と。
その他、世界報道写真展で印象に残った作品
・かなり多くの部分を、「アラブの春」と「東日本大震災」で占めていた。これは当然だろう。上の写真にあるとおり、大賞もアラブの春に関係した写真。審査員は「ピエタを思わせる」と評していた。
ただ、印象に残るのは、「メキシコの麻薬犯罪」を撮った写真。
これは・・・内容を紹介するわけにはちょっといかないなあ。あまりにもショッキングすぎる、とだけ申しておきます。会場で突然ショックを受けるのもよしあしだが・・・
もうひとつは、米国の経済問題を描いた写真で、リーマンショックか何かで住宅ローンが払えなくなり、家を強制的に差し押さえられて退去させられる中産階級の家庭を撮った写真。1歳の女の子が乳母車できょとんとしている上で、執行官が人形とかを片付けていると。
個別の家庭がかわいそうだという話と、破産案件の処分を進めていかないと経済が廻らない、という話は別物ではあるが、それでもやはり心情的には胸が痛む。
そしてもっとも印象に残ったのは・・・特別賞
この写真展では「たまたま重大な現場に居合わせたトーシロ」が撮った写真は基本的に対象外だが、あまりにすごい、重大な写真には特別賞を与えている。
今回は、「リビアで捕らえられ、殺される直前のカダフィ」が特別賞を撮った。無名の反乱軍兵士のビデオから写真に起こされた。
その「砂漠の狂犬」最後の写真の表情にも深い印象を持ったが、同時に、「え?ビデオから写真にしたら画質最悪だと思ったら、負けないほどきれいな画質だよ!!」にも驚きましたね。
もし「ビデオ回す」→、「その中でいい場面をコマ送りから1枚の写真にする」
というのに、画質の問題がなくなったら・・・「シャッターチャンス」って死語になるんじゃないか?格闘技の写真だって、決定的なKOパンチのシーンを狙う・・・という作業自体は当分滅びないが、いいアングルを決めてある程度ピントを合わせたら、その後数十秒はビデオを回していけば撮り逃がし無し!!となっていくのかもしれない。
でもあと4、5年はかかるかな。どうだろう。カメラ・ビデオ技術の最先端はよく分からない。
【追記】コメント欄より
Poet 2012/07/19 14:54
ビデオから写真への変換は、単に動画の中の1フレームを切りだすのではなく、東芝のテレビがうたい文句としている「超解像技術」を使えばきれいにできますよね。
ノイズ除去や輪郭線を判断した上での輪郭の強調などの補正を前後のフレームの情報も使って行うという。アメリカのドラマで、諜報機関なんかがよく使っていますね。テレビなどと違ってリアルタイム計算である必要がないので、普通のPCで十分できるからそういうソフトを探せば既にありそう。
プロの場合は、当然手間暇をかけて手作業でレタッチしているだろうけど。