http://www.asahi.com/news/intro/TKY201206090597.html
「天声人語」
自省めくが、新聞やテレビの記者はついついニュースに追われがちだ。ジャーナリズム本来の「追う仕事」に忠実なのは、フリーを主とする報道カメラマンだろうか。名声と正義、生活のために、彼らは体を張る▼去年、世界の報道写真家は「春」を追い続けた。早春の大震災に、中東で広がる民主化運動「アラブの春」である。東京都写真美術館で恒例の世界報道写真展を見た(8月5日まで)▼イエメンのモスク。反政府デモで催涙ガスを浴びた18歳の青年を、黒ずくめの母親が介抱している。ミケランジェロのピエタ像、イエスの亡骸(なきがら)を抱く聖母マリアを思う。母子の愛に、キリスト教もイスラム教もない。偏見を突く作品と評価され、大賞に輝いた▼チュニジア、エジプト、リビアと春は巡り、長期独裁は崩れた。昨秋、市場の冷蔵室に横たわるカダフィ大佐の遺体をとらえたのはフランスのレミ・オシュリク氏だ。氏は4カ月後、転戦先のシリアで政府軍の砲撃に散った。28歳だった▼シリアでは、遅い春を待ちわびる民衆への弾圧、虐殺がやまない。銃弾をかいくぐるレンズは、写真展の審査委員長エイダン・サリバン氏(英国)の言葉を借りるなら、「暗闇の中の私たちの目」である▼闇の実相を命がけで伝える目があって、惨めに転がる子どもや女性は「物言う遺体」となる。国際世論を恐れて、独裁者は薄汚れた手でその目を塞ぎたがるが、勝負は見えている。人々の勇気に携帯カメラなども加勢し、目は無数なのだ。
公式サイト
http://www.asahi.com/event/wpph/
「館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技」
http://www.mot-art-museum.jp/exhibition/137/
館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技 展覧会概要
エヴァの原点は、ウルトラマンと巨神兵。
東京都現代美術館/日本テレビは、2003年夏から、毎年、スタジオジブリの企画協力のもと、アニメーションに関連する様々な企画展を開催してきました。記念すべき10回目を迎える今年は、「特撮」をテーマにした展覧会を7月10日より開催します。題して「館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技」。「エヴァンゲリオン」シリーズをはじめ、数々の作品でファンを魅了してきた監督・庵野秀明。その創作活動の原点であり、多大な影響を与えてきたのが、幼少期からこよなく愛してきた「特撮」でした。円谷英二が始めた日本の特撮は、精巧なミニチュアで作られた町や山や海を舞台に、怪獣やヒーローやスーパーマシンたちが活躍し、見る者をワクワクさせてきました。しかし現在、特撮は、デジタル技術の発展と共に形を変え、その価値を見直す岐路に立たされていると言えます。それとともに、特撮の語り部であり、貴重な財産であるミニチュアや小道具などは、破棄され、あるいは散逸し、失われつつあります。
本展覧会は、特撮のこうした状況を何とかしたいとかねてから考えてきた庵野秀明が、「館長」となって「博物館」を立ち上げた、というコンセプトのもとで開催します。会場では、数々の映画・TVで活躍したミニチュアやデザイン画などさまざまな資料約500点を一堂に集めて展示し、それらを担ってきた作り手たちの技と魂を伝えます。そして、日本が世界に誇る映像の「粋」、特撮の魅力に迫ります。