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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

新年度、高校部活も始まる…「柔道以上に危険なラグビー」、対策は万全か?そして水泳

中学校では武道必修化が始まり、こういう取り組みも出ていた
■「大外刈り」禁止 中学柔道指針 試合は座った状態で 静岡 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/region/news/120330/szk12033002020000-n1.htm
自分のこれへのブクマ

ゴン格4月号で柳澤健氏が提言した方向だな。座った状態の柔道というから「?」なんで「寝技の試合」ってことっしょ。そして受け身は他の体育授業と比べても意味は大きい(知識として知るだけでもまし

そう、この新聞記事はあらためて読むと「試合は座った状態で」という見出しがチョンボで、「試合は寝技限定で」とすれば腑に落ちたんだろうな、と思う。ちがっていて、すわった状態で投げていい、という渋川剛毅つうかお留め流みたいなことしてたらすげーけど(笑)。
柳澤氏の提言とは、これ。

■”活字の巌流島”柳澤健vs増田俊也より(その2)〜柔道界の問題指摘・提言編
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20120305/p1

「寝技だけの授業をすれば安全ではないか?」(柳澤)
今日増田(※増田俊也)さんにお聞きしたかったんですけど、要するに僕は「寝技だけ教えればいいじゃない」と思うわけですよ、中学校の武道は1年間でたった13時間、ずっと受け身だけじゃつまらないし、怪我も困る。だったらたとえば押さえ込みだけの柔道にすればいい。抑え込みなら人は死なない
じゃあ「絞め」も「関節」もなし。「抑え込み」だけならば、レスリングに似てくる。ちびっこレスリングはものすごく盛んですけど、ほとんど怪我しない。非常に安全なんですね。…スポーツ保険料は卓球よりも安い・・・

(その前編 http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20120304/p1 )


あとブクマ後半については「中途半端に受け身とか学ぶと逆にあぶない」との説あるかもしれない。
実のとこ、自分もこれは体験的な主張に留まる。「ちょっとだけ受け身をかじり、知識もある」人と「受け身の知識も体験もまったくない」人の統計的なリスクの差を科学的に論じて比較考察するデータでもあればと思うが、おそらく無いでしょうな。また「体育の授業で教えることはすべてが『生兵法』でしかない」ということもある。生兵法か、無兵法か。生兵法でまいた種から「本物の兵法者」がどの程度育つか・・・

さて、そういう点も興味深いが、表題に戻る。
戻ったあとは、このリンクを提示し、一番下の棒グラフを見てもらえば足りる…
 
柔道の安全問題に火をつけた内田良氏の研究の、オリジナルの報告より。
http://www.geocities.jp/rischool_blind/sports.html
あ、図形も引用させていただくか。

(「学校リスク研究所」サイトより)

高校の各部活動に関して,その死亡確率(生徒10万人あたりの死亡生徒数)は,柔道が3.417人,ラグビーが4.030人で,この2種目が圧倒的に高い。次に続く剣道の1.230人と比べても柔道が2.8倍,ラグビーが3.3倍となる

これまでの柔道問題の議論は、部活以外の授業の「必修」についての話であり、また政策変更によっては中止や延期もあったから、そっちに議論が集中するのは自然であった。
そもそも「部活」については「スポーツは種目によって、危険度に差があるのは当然。その中で、自分で選択した結果である」ということで、上のような数字も「許容範囲」であるとしてもいいかもしれない。中学ではなく、高校ならば、なおさらだ。
 
しかしこれはこれで放置できない、という見方もあるだろう。
曲がりなりにも柔道・講道館は柔道の安全対策を強化している。ラグビーの組織は新年度を迎えるにあたり、特に高校部活動の安全性について、何かのあたらしい対策があるのでしょうか?

水泳授業リスクについて

もうひとつ一緒に。
以前、授業とそれに伴うリスクに関して、このエントリの後半追記部分で記した。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20120208/p3
そこでは、自分以上に詳しく考察したこのエントリも紹介している。

■「柔道は28年で114人も死亡する危険なスポーツだから必修化反対」という人は、水泳の必修授業にも反対するのだろうか
http://d.hatena.ne.jp/Ri-fie/20120126/1327585771

自分のブログエントリでは、そこから「元の事故を調べた、内田良氏はブログがあるので、そこに質問をした」という話も書いているが、その返答を頂いたことについて告知してなかった(下と思っていたが勘違いだったか、twitterのほうで書いたのか…?)
内田氏の、2012年2月分のブログエントリは1つにまとまっているので、下から上に呼んでください。
http://geocities.yahoo.co.jp/gl/soc_darkside/view/201202

水泳部@中学校の事故については,下記のとおりです。

<水泳部の死亡事故事例:2000-2009年度@中学校>
死亡事故・・・1件
2006年度,中1,男,頸椎損傷
・・・(略)・・・10年間の死亡率(10万人あたり)は,0.24です。おおよそ,サッカーや野球と同じです。柔道の10分の1くらいです。

水泳部の死亡事故は少ないのですが,水泳の授業中の事故(@小中高)となると,多いです。1983年度以降の実数では柔道事故(部活動+授業@中高)よりももっと多いです。しかも水泳の授業で注目しなければならないのは,年中水泳をやっているわけではないという点です。年間で小中だとだいたい10時間程度。その限られた時間のなかで起きているので,1時間あたりの死亡率で出すと,驚異的に高いです。この数字については,一般誌ではなく,専門誌や講演会等で既発表です

内田氏は「専門誌でデータを発表し、その専門誌はDLが自由なのだがなかなか人目に触れない」、とも話しています。
該当記事はこちら

内田良,2010,「学校事故の『リスク』分析―実在と認知の乖離に注目して」『教育社会学研究』第86集,201-221頁,日本教社会学会。
 
「教育社会学研究」DLはこちら
http://www.gakkai.ne.jp/jses/2010/09/09162742.php

だが、該当の86集はまだDL可能ではない(2012年4月現在、可能なのは79集まで)。少し待つしかないか。