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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

三谷幸喜「ステキな金縛り」評

この前、三谷幸喜の映画「ステキな金縛り」を見てきました。
成績、観客動員は絶好調みたいですね。

http://www.oricon.co.jp/news/movie/2003966/full/
三谷幸喜の一人勝ち!? 『ステキな金縛り』がV4達成、動員220万人突破

興行通信社による11月19日、20日の全国映画動員ランキングは、三谷幸喜監督作『ステキな金縛り』が10月29日公開から4週連続となる首位を獲得した。この週末2日間で19万306人を動員(前週比91%)、興行収入2億4549万3300円(前週比87.9%)をあげ、依然として初見の観客とリピーターをひきつけているようだ。累計成績は動員223万9144人、興収27億6479万3200円となった。

一応、法廷物・ミステリーものなので、詳しい内容説明は控えますが、もともと三谷は映画を撮るときはワイルダーだキャプラだの「古き良きアメリカ映画」の後継者ですよ、というのを必要以上に意識してるようです。(それを映画内でちょっと露骨にアピールするシーンや設定もありました)

で、自分もつられて意識しながら見ると、法廷ものではありますが「12人の怒れる男」や「評決」ではなく、一番似ているなーと感じたのは「34丁目の奇跡」ですね。

つまり、超自然的なものが一番リアリズムに基づかなければいけない法廷の場に出てくるというドタバタ性、無理を承知でそのふたつをつなげるところに生まれるギャグ。
それを意識したのかなと思いました。

映画の出来としては「三谷、ますますストーリーの本筋と関係ない枝葉のギャグがうまくなっているな」と(笑)。
映画館でも、阿部寛の法廷引き延ばし戦術は、中井貴一の「法廷とは」論などでかなり笑いをとってましたが、ちょっと枝葉でした。
べつに枝葉で笑いをとってもいいのですが、三谷が手本と仰ぐ大傑作の旧時代アメリカコメディはそういうギャグが、ストーリー上も必要不可欠になっていて、そのへんを練り込むと脚本の難度も上がっていきます。そのへんはちょっと手を抜いたのかな、と。

あと、法廷物というか、三谷の大好きな「絶体絶命の状況を、アイデアひとつで一発逆転する」というストーリーは、その「アイデア」がきちんと筋道を立てているのも重要ですが「ほかの方法があるよな」「最初っからそうしておけばいいんだよな」という突っ込みの余地を
なくすのも重要だと思います。
それが無くても最低限はクリアしているけど、そういう「他のルートを塞ぐ」作業をしていれば、より良くなると思う。そういう視点からこれを見ると、数カ所首をかしげたくなるところも。

またあとひとつ。三谷作品といえば奇人同士が絡むのですが、奇人の奇行というのは結局はわがままの一種です。そこで「愛すべき奇行、わがまま」と受け取られるのか「利己的でやな感じ」となるのかの演出も重要。
それでみると、終盤で主人公女性が阿部寛の弁護士にとった行動は、やや後者に自分は受け取りました。

まあそんな欠陥も感じつつも、たしかにおもしろい映画で、ヒットはうなづけると思いました。