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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

SF大会、蓋を開ければジョシュ完勝。そしてアリスターvsファブリシオは”神学論争”を生んだ

http://mmaplanet.jp/archives/1529061.html

ロジャーズの勢いを利用するようにトップを奪ったジョシュは、そのままマウントへ。1Rと違い、パウンドでなく肩固めを仕掛けると、ロジャーズは観念したようにタップ。ジョシュは全く危なげない試合展開で、ロジャーズから一本勝ちし、準決勝進出を決めた。

蓋を開けてみれば、ブランクなど関係ないような圧勝でした。
いったん寝技で、しかも上を取ったら徐々にいいポジションに持っていくのはやはりうまい。上を取ったら無理がある体制からでもパウンド・鉄槌の雨を降らせるか、時間をかけて、マウントなど完璧な体勢にするかには選手の好みがある(パウンドしてれば、結果的に難なくマウントできたりする)けど、ジョシュは後者のようだね。
 
これはどこかで読んで、つい笑ったんだけど
ブレット・ロジャースは髪をモヒカンにして、リアルに北斗の拳の『ヒャッハーな人』だった。だから自称ケンシロウ(ジョシュ)にやられるのも当然だ」とね(笑)。
 
とまれ、次戦はハリトーノフ
PRIDEがつづいていれば、いつかは当たっていた選手でしょう。
一時はジェフ・モンソンの寝技に完敗するなど絶不調だったが 当時は怪我をしていたという説もあり、決して油断できない。

ともあれジョシュはノーダメージで準決勝に挑む。
あんまりノーダメージすぎて、IGFに出る余裕が出きてしまいそうなのが一縷の心配だ(笑) 

そしてアリスターvsファブリシオ

http://mmaplanet.jp/archives/1529081.html

…タイムアップとなり、両者の攻防は全く噛み合わないまま終了した。立ち技に付き合わないファイターと、寝技に付き合わないファイター。当然、ジャッジは前者を敗者に、後者を勝者に選ぶ。30-27が二人、29-28が一人でアリスターが判定勝ちを収めた。

ファブリシオは一本を鮮やかに極めたときばともかく、こういう判定になると「MMA神学」に正面からの問いかけを行ってくる。
検索してみたらもう6年前、故PRIDEがまだ存命の・・・くしくも両方が今回のトーナメントに出ている
ハリトーノフvsファブリシオで、基本的な問いは出尽くしていた。
 
■永遠の謎か初歩問題か。猪木アリ状態は「逃げ」?どっちが?
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20051030#p1

ちょうどいいので、皆さんにも再確認したい。

それはファブリシオ・ヴェウドゥムvsセルゲイ・ハリトーノフ
それは今成正和vsファビオ・メロ(これだけで判る人はわかるよね)。

【質問】いわゆる猪木アリ状態(キーワード参照)で


 ○ ヘイカモン(キックボクサーAさん)
。|。
 人        ヘ−−L○ オマエコソ カモン(柔術家Bさん)

と、ふたりがずーっとやっていた場合
1、Aが逃げていて不利。
2、Bが逃げていて不利。
3、全くの五分。
の、どれが正しいのでしょうか?

多くの総合格闘技団体では、1(Aが消極的)と見なすことはほとんど無いよね。とすると2なのか3なのか、という話になるのだが、だいたい今は2を採用し、こっちに消極性を見い出すことが多いはず。しかし寝技師に言わせれば「俺は堂々と寝技で渡り合おうとしてるんだよ!不公平だ」ってことになるかもしれない。かといって、この状態を3であると見なすと客もきつい(両者ともに消極的だと見なして注意する手もあるだろうが)。特に「ブレイク」後は両者スタンドから始めるとも定めている。

要は今回の話は、その応用篇にすぎぬ。
さらにいうと、最先端MMAでは既に激減した「引き込み(PULL GUARD)」というものをこれだけ多用され、しかもプルガードされた側がほとんどそこから付き合わず「やべーやべー、そのテには乗らないぜ」と立ってきたら・・・この問題をあらためて考えることになる。
今は、こういう状態が自然と激減しているから、あまり考える必要が無くなってきていたんだ。
 
AがBに引き込まれたとき・・・ついでにいうと、その前段階としてBがAにへなちょこタックルを仕掛け、Aが余裕で切るものの、そのままBが引き込むという展開の時
それは「0−0」なのか「Aにポイント」なのか「Bにポイント」なのか。
 
まあ、結果からいうと・・・今の世の中は
その場合、Aのほうがポイントをもらえる、っぽいよね。
それはいい、とか悪い、じゃなくて「そう決めた」ということである
だから、タイトルにうたったようにこれは「MMA神学」なのだ。
「これからのMMAの正義の話をしよう」なのだ。
ハーバードでの白熱講義のように、どっちがいい、悪いもないんだよね。
学生がマイクを持って言う
「結果的に上を取っているほうがMMAでは有利と見なすべきなんだから、自分から引き込もうがテイクダウンされようが下は不利になっているのよ」
「それは柔術家に不利じゃない?どっちが自分の意思を反映させたかで切るべきで」
「何もしないけど、上はキープするよというタイプが引き込みにつきあったら?」
「タックルは切られようとなんだろうと、仕掛けたほうが積極的なんだからそっちの「仕掛けた」ポイントでしょ」
「でも、タックルを切ったというのは相手を無効化しているんだから」
「実際にタックル切られると不利な体勢になるよ」
「そこから攻撃して実際のポイントを取ればいい」
 
・・・などなどね。
ただ、2005年にも書いたけど、実際に見ているお客さんのことを考えると、引き込み(の繰り返し)は、結果的に上になっている引き込まれた人にポイント、と「定める」しかやっぱりない気がする。
引き込みにもポイントがついて、高瀬大樹絶対王者として大活躍するパラレルワールドMMA界もちょっと見てみたいけどね(笑)

寝技師・戸井田カツヤも同じような不満を述べていた

http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20071108
 

もし、引き込み後の展開がすべて0-0で、スタンド状態だけで採点するなら?

実はファブリシオが、スタンドの有効打では勝っていたんじゃないか(笑)?と思ったりしたのだが、一応、ストライクフォース中継の公式なカウントは・・・

アリスター       ファブリシオ
全体数と成功数 成功率 技の種類 全体数と成功数 成功率
48/72 67% strikes landed/thrown 69/145 48%
19/33 58% standing arm strikes 41/84 49%
15/17 88% standing leg strikes 14/33 42%
14/22 64% ground strikes 14/28 50%
3/3   takedown 3/12  
0   submission attempt 1  

あっ、苦労して写さなくても、画像を撮って張ればよかったんだ。

率はともかく、やっぱり手数ではファブリシオが圧倒(というか手数が増えりゃ、命中率はそりゃ減るわな)。やはり「タックルを切る」「相手が引き込みをして、下になった」というのも、プラスとして採点されないとああいうジャッジにはならない。
こっちはラウンドごとのスタンド・グラウンドの時間。