INVISIBLE Dojo. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

DREAM再起動、悲喜こもごものGP。希望も涙も

ようやく、放送されたDREAMバンタム級日本GPを見ました。ワンマッチも含め、やはりそれなりの…2011年に日本でメジャーを名乗るだけの規模と質は保てていると感じた.
以下、感じたことなど

前田吉朗所英男。運も不運も結果が全て。

■DREAMに初めて?心から有難う!私的「夢の対決」1位だった前田吉朗vs所英男が実現
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20110421/p1

というのを決定直後に書いたぐらいで、圧倒的に一番楽しみにしていた試合だったが…金的攻撃やバッティングは、もちろん試合の興を削ぐけれども、まあ仕方ない(それを受けるのがどちらも吉朗だったというのがまた運だが)。

いや、問題はそれより前。自分は試合全体が「????」状態でした。
オープニングセレモニーで前田が登場しないところから「ん?不参加で集中力を高めているのか? だとしたら勝負に徹しているな。でもよく主催者が認めたな。可能なのかね」とか思ったのがケチのつき始め。
試合前に前田は「自分の欠点は試合を途中からゲームのように楽しみだしてしまうこと。だから途中で大きい攻撃をもらう。最初から最後まで試合の怖さを感じながら闘う」ということを話していて、確かにその欠点の自覚は正しい方向だと思っていた。
 
ところが実際の試合は(頭突き、金的の前も)大ぶりの単発パンチを仁王立ち状態から打つだけ。いつからカウンターパンチャーになったねん、と思ったね。んで、「ああ、金原正徳戦で味をしめてヨーイドンの打ち合いが自分の持ち味だと思っちゃったんか!!それじゃ我龍タイムとかわんねえ」とイライラ。
そこでいきなり「アーーーーー!」だのしゃがんで「こいやーー!」とか、ライコンドーだかサンチンだかのへんな構え。
ジャイアント馬場ジャンボ鶴田の「オーー!」を評して「あんなことしてる暇があったら攻めればいいんですよ」と解説席で言った言葉が本当に、あの声で俺の中でリフレインしましたから(爆笑)

しかし、試合の中でアナウンサーも解説陣もそのへんの異変をつかんで
「本当なら吉朗はパンチと蹴りが一体で出るんですけどね」
「ちょっと様子がへんでしたよね」
「かなり大ぶりです、コンビネーションも使える選手なんですが」
「ちょっとセコンド、レフェリーと会話しているようですが」
「ガードする気が無い?」「玉砕的ですね」
「いつもの試合づくりじゃないですね。それでも当ててしまうのが前田らしいですが」
 
などと今聞き返すと話しているが、自分も異変だと思った。「こりゃ興奮剤か?」みたいな(笑)

そして結果としてはセコンドのタオル投入によるTKO負け。
試合を終えたあと、情報サイトを見ると、試合前に「ぎっくり腰」を発症したと書いてあり、その「トリック」が明かされると入場セレモニー欠場や一発狙い、カウンター狙い、蹴りの封印などの「伏線」も確かにすべて回収できる。
だが、それがどうした。
それを含めての試合に、またも前田は破れた。これほどの注目を浴びる大舞台が再度来るか分からないような、そんな最高のお膳立ての中で。
本来だったら、それこそ全局面での圧倒をしなければいけなかったのではないか。
 
試合中継の中で、アナウンサーはさらりと「所選手の結婚が注目されていますが、前田選手も結婚したそうです。奥さんのおなかの中には赤ちゃんもいるとか」と紹介。
どちらも、負けたくなかったろう。

 

所英男の真価と進化は、2戦目で発揮された

金的の長い中断の直後、1攻防でタオルが投入されての勝利ということで所選手の胸中も複雑だったろうが、2試合目の接戦を制したのが面白かった。山本篤と数年前に闘った試合では、山本篤がジャブだけで圧倒していたが、地道なボクシング練習の成果や、また体格的な優位も今回は生かしきれたのか、また山本のブランクもあったのか。ともあれ打撃で退かなかった。
試合後山本は「所のプレッシャーに負けた」と言ってる。

http://www.dreamofficial.com/free/news/detail.php?id=1306683461
山本 所くんのプレッシャーが凄かったので、僕の負けですね。強かったです。
──所戦での作戦は?
山本 もっと出入りをして、削っていってという。もっと当たると思っていたんですけど、パンチのプレッシャーがあって入れなかったですね。

そして1回戦ではこれに頼って勝利した、山本のタックルと上のキープを「所流」というしかない動きで反撃したのが大きかった。いつも思うんだけど、所が組み合って、相手がテイクダウンした後で、結果的にどっちが上になっているか・・・を統計を取ってみたら面白いと思う。スイープともリバーサルともちょっと言いがたい、TK流にいえば結果的に「キワを制する」ことを所はごく自然に今までやってきてるよね。
今成正和はよく「スタイルを研究されて苦戦している」と言われるが、ある意味所のほうが手のうちは露出していると思うのに、よくあれだけ下からの三角絞めや腕十字にトライできる(その形に持って行ける)と思う。

決勝の相手は、その今成。
前回、前田有利を予測したのは「所に無い部分を大きく持っている」からだが、今成は「所の得意な分野で、所を上回っている」という、また別の意味で厄介なファイターだ。ただ、DREAM的にもファンが一番望んだ試合を別の大会で興行できるのだからウハウハだし(笑)、もはや所は奇蹟がデフォルトで付いてくる存在だ。ある意味言葉の正しい意味で「カリスマ」というか「神の子」というか。
彼は常に奇蹟を起こすという点で、奇蹟という言葉が似つかわしくない男である。だが7月、ファンはもう一度の”奇蹟”を信じる余地がある。