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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

ネットニュース再論。商業ニュースサイトと個人ニュースサイトって、ライブドアとかへの配信の有無程度の違いでは?(副題・書評「ネットの炎上力」)

この前、こういうエントリーがはてなでは話題になりました。

■商業ニュースサイトでチラシの裏を配信しないでください
http://d.hatena.ne.jp/lastline/20100404/1270363528
■つまらない記事だからこそ、リンク先を貼れない商業ニュースサイトたち
http://d.hatena.ne.jp/lastline/20100405/1270477995

ありがたいことにこの最初のエントリでは、以前わたしが書いた
■「商業ニュースサイト」と「個人のニュースブログ」の差って、今や公式リリースが来るかどうか程度の違いでは?(仮説)
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20091118/p3

が引用されている。そんなこともあって、再度考える機会を得ました。
あらためて、リンク先を見ると自分も知らないような「商業ニュースサイト」が多数存在する。
そこから一覧化すると
J-CASTニュース
アメーバニュース
ロケットニュース
日刊サイゾー
ガジェット通信

NHBニュース http://blog.livedoor.jp/nhbnews/ をここにこっそり忍ばせたいところだが(笑)、あれは投稿式なので入れるわけにもいかない。

これらのニュースサイトの記事がひどい、という話が最初のリンク先の趣旨だが、なるほど引用されているのを見ると、いろいろと問題があったり、リンクを張ったほうが読者には便利だよな、というものが多い。

ただ、リンクの有無は別として、そのあれやこれやをひっくるめて「こうなっていくのが自然かなぁ」という気はしてます。

J-CASTニュース成功物語を社長が書いた「ネットの炎上力」(文春新書)

ネットの炎上力 (文春新書)

ネットの炎上力 (文春新書)

ちゅう本が最近出ました。
J-CASTニュースが本格スタートしたのは2006年7月26日。
実は、当道場本舗は、その本格スタートから4カ月ちょっとでこの新メディアに着目し
■「J-CAST」の特質をあらためて考える
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20061209#p4

というエントリを書いていたのだった。自画自賛すると、今でもけっこう面白い(笑)。というか上に紹介した「ネットの炎上力」は、私にとっては一種の”答え合わせ”だったのだが、私の見立てはそれなりに当たっていたなあと、これも自画自賛させてもらいたいです。


過去の文章の繰り返しだが、内容的、文章的なコピペがどうこうというより、ネットニュースの大きな特質は「・・・とXXXで報じられ・・・それに対し『Aだ』や『Bだ』という反響が起こっている」というふうに「メディア『を』話題にする」というところだと思います。いわゆる1.5次情報。

全国に記者を張り巡らせてネットワークを作るのは無理だし、優秀な取材者を高額の報酬で集めることもできない。そこで比較的安定した情報を確保しやすい、ビジネスとメディアのウォッチをテーマに始めることにした。
J-CASTニュースはスタート早々、「炎上メディア」というニックネームを頂戴した。
(「ネットの炎上力」)

誤用か本来の意味か、とにかく”確信犯”だ。というか、AERAの編集長も務めたメディア界の超エリートとその部下(大森千明)が、・・・ここまで元一流企業のプライドを捨てて(これ、褒め言葉)あざやかなスタイルの切り替えをした例は、佐々木健介ぐらいしか知らない(笑)。まるで武富士のダンスのように鮮やか。分かる人だけ(笑)。
ちなみに、こういう感じで記事を作ることを氏は新聞の「まちダネ記事」になぞらえている。
以下は要約

街ダネ取材はぶらぶら歩くのではなくまちの「情報リーダー」のような人を捜し当て、そこを経由したネットワークを活用して書くのが一般的だ。
ネット界にもそういう「情報リーダー」がいるのだから、そこに視点を当てようと考えた。
J−CASTをコピペと馬鹿にするひとがいるが、2ちゃんねるも立派な情報源。確認は必要だが、2chをバカにしてはいけない。何を拾うかが編集作業なのだ。

これ自体に異論は無い。
さらに言うと、昔と「現場」は違っている部分もある。もちろん地道な「足を使う」取材が完全に不要になる時代は絶対にこないだろうが、足で現場に行くより、だれも普段は見ない小さな団体のHPの「代表」名が代わっていたり、会員制のファンクラブサイトでタレントが「休養」を宣言したことをいち早く報じたり「XXXという名前で検索したら、あの市民団体の代表は以前XXXXという事件を起こしてるじゃないか!」と発見するのが、21世紀の『現場』なのかもしれないのだ。


ミニニュースメディアはいかにポータルへの記事配信で共存共栄、潤うかの証言。

さてやっとタイトルに関連してきた。「ネットの炎上力」は本来だったらもっと腰をすえて紹介したかったのだが、まあいいや書いちゃおう。
同書で蜷川氏は、いかにヤフーニュースに記事を配信できたことで知名度やアクセスに利益になったのかを率直に書いている。箇条書きにしよう。

・ヤフートピックスに取り上げられると通常の数倍から数十倍のアクセスがある。
・このトピックス編集者は約20人、3交代制で24時間カバー。大阪にもいて、いざというときは東京をフォロー。
・グーグルニュースとヤフーニュースでは、少なくともJ-CASTへの来訪者数では比較にならないほどヤフーの圧勝。
・責任者は元読売新聞記者(奥村倫弘氏)
・奥村氏はかつて講演し「読まれるニュースと価値あるニュースに差があることに悩む」と話した。
・圧倒的にエンタ系ニュースが読まれ、海外ニュースは1割以下。笑い話として「ヤフーニュースでは、コソボは独立しなかった」といわれたりするという。

このほか同書では
「月間1000万PVを達成(わずか1年)したら広告代理店の態度ががらりと変わった」
とか
「『ニュース』という単語で検索してJ-CASTに来るわけがない。検索ワードで来訪者が多かったのは・・・」
など興味深い話もあるがこれは後日に譲りたい。
で、結論的には

J-CASTはポータルへの記事配信を積極的に進めた。当初は「ポータルだけで満足されて来訪者が減るんじゃないか?」という懸念もあったがまったくの杞憂で、配信先が増えれば増えるほど直接の来訪者も増えた

だ、そうだ。
へー。ぼくは検索はインフォシークからグーグルに移って以来、一筋のグーグルっ子で、ヤフー検索は当初のシステムを見て「なにこれひどい」と思ったっきりほとんど見てないです。ヤフーがニュースポータルをやっているというのは遠い世界の感覚なんだけど、日本の中でもそれだけトップなのはやっぱりすごいんだろうね。

ポータルサイトへの配信ってどれぐらい難しいの?

さて、やっと本題の中の本題だ。ひどい構成ミスだな。
最初に挙げた、J-CASTの成功に続いて?たくさん増えた商業ニュースサイトですが、(設置年を調べたいんですけど、省略)、それが粗製乱造?も交じり、またちょっと俗情というか下品というか、そっち方面に流れるのもやむをえないところだ。
地方新聞の中には、公式サイトへのアクセスランキングを公開していところもあるが、文章自体はお仕着せの枠の中にあるはずのそういう記事でも、かならず性犯罪がらみの記事がアクセスランキング入りしている。ずべての読者がまじめ?な興味で読むとも思えない。


もともと設備投資、運転資金はさらに低くなったであろうネットニュース業界、参入者が増えればそういう傾向も増えるのは自然では有る。
むしろ問題(※けしからんという意味の「問題」ではない)は、それが「ポータルサイトへの配信」というワンランク上に”昇格”する仕組みであります。

ぶっちゃけ、外形整えて「ニュースサイト旗揚げしました。ニュース買って」と言えば、質を問わずにポータルって契約はしてくれるんじゃないの?(推測)

最初に引用したリンク先の「今のニュースサイトは内容的にひどい」というのをまず仮に肯定すると、逆に「ひどくてもポータルサイトは一応OKしてるんだ」と考えることができる。
おそらく丸々のコピペとかそーいうものでない限り、ほぼ大丈夫なのではないか。
それはまず、チラシの裏チラシの裏だといっても、そのチラシの裏(に書いている文章)を読もうという人は一定の割合でいる、という厳然たる事実があるということ。
いま、ロングテールというのも何か恥ずかしいけど、分量に紙面のような制限のないポータルは「ヤフートピックス」は人の目で厳選するにしても、とりあえずの入り口、配信権のようなものは広く薄く確保して「いざ、いいのがあったら配信させてもらうよ」という形にしたほうが絶対にいい。

くしくも本日、週刊文春の報道に端を発した田勢康弘氏のセクハラ疑惑で、同氏が早稲田大教授を”解職”されたというのが、どうもJ-CASTニュースの独自スクープっぽい書き方で報道された(他メディアと読み比べていないが、少なくとも今日の朝刊には載ってなかった感じ)。
こういうことだって今後はあり得るのだ。

http://www.j-cast.com/2010/04/08064068.html

そしてそれを後押しするのが、クリック数やリンク経由のアクセス数、そこからの買い物数などを端数まで正確にカウントできる技術の進歩。出来高払いでそのつど仕事や成果に応じてきっちり払えるなら、逆に雇用者はいくらでも増やせることができる。
これ、へんなパラドックスだけどそうだよね。

実は一流の新聞社や通信社でもそういうのをやってるそうで、宮嶋茂樹のユーゴ取材の本にあったと思うが、たとえばフリーカメラマンが内乱の国に取材に行くとき、フィガロとか、そういう巨大新聞社をまず訪ねる。そうすると、「フィガロ何とか特別契約カメラマン」とかそういう名刺をたくさんもらえる。何も保障してくれないし、その人の面倒を見てくれるでもないが、いい写真が撮れたら買ってくれる(逆に言えば「売ってもらえる」)という関係を結べるし、その名刺もそれなりに効力を発揮する場面もあるというわけだ。


こんな仕組みが発展したものとして、チラシの裏だろうと何だろうと、それなりにポータルを経由しての配信をミニニュースメディアができる、んではないだろうか。(推測です)

違ってたらすいません

さて上の推測が違っていて「何を言う、わたしどもは日本を代表するポータルサイトとして、取材力やニュース価値、記事のオリジナリティ、品性などをあらかじめ厳しく判断し、わがポータルサイトに配信してもらうかどうかを決めておりマス」ということでしたらすいませんでした、と謝るのと同時に「んじゃあんたんとこの基準ではXXXXXXやXXXXXもOKっちゅーことですか、あん?」と逆襲したい。私はリンク先のように実名を挙げる度胸は無い(笑)。
ただ、それなりにポータルサイト横綱から十両まで番付が出来てくると、その中での格差は当然出来てくるし、差があるのは当然ということにもなるでしょう。それは配信契約に関する、条件や金銭面の差でもあるだろうし、そもそも契約にいたるまでの門の狭さが今後は変わってくるかもしれない。今だって、日本第一らしいヤフーに記事を配信できるのは一流ネットメディアの証で、別のXXXXXのポータルにニュースを配信するのとは格が違う・・・となっているのかもしれない。

ただ、そうであるにしてもまだ過渡期、まだまだそれは固まりきっていないはずだ。

結論。やる気のある人、どんどん「自称・商業ニュースサイト(ブログ)」に化けてしまえ!何、実際に差は無い!!

長く書いた末に、最初に私が書いた http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20091118/p3 と同じ結論。うまい構成だかなんなんだか。
でもまぁ、そういうことです。今のニュースサイトが「チラシの裏」なら逆に幸い、「じゃあ俺たちがちゃんとしたニュースを・・・」でもいいし「じゃあ俺たちも同レベルのものを・・・」でもいい(笑)。そういう目でみれば、あのサイトのこのニュースも、このサイトのそのニュースも「こんなの俺たちだって書けるワイ」な代物には見えませんか?

(念を押しておくけど、これはid:lastlineのような現行ニュースサイト批判に対し「文句あるなら自分でやれ」という類の批判をする意味ではない。純粋な批判者が「別になんで私がやる必要があるんだ。やらないよ」というのも一向に構わないし、たぶん私自身もやらない)


ただ、こういう「自分もやれるかも?」つう視点で今のネットニュース事情を見ると、なかなか現在の混沌も面白いのではないか。そういうことでした。

余談1

岩上安身氏は講談社ノンフィクション賞も受賞したれっきとしたプロのジャーナリストなのだが、最近特に熱心に行っているtwitterや動画を利用しての大臣記者会見やインタビュー報道が、直接的には報酬に繋がらない(笑)。
そしたらフォロワーを中心に「これらの活動で生計を立てる方法はないですかね?」「何か、これをサポートする組織を作ってみてはどうでしょう」といった議論が出てきた。このゆくえがどうなるか。ちょっと今回のエントリーと関係も出てきそうです。
( http://twitter.com/iwakamiyasumi/status/10990522202 をはじめとする、2010年3月下旬の氏のつぶやきなどをご覧ください。

余談2

「自称ネットニュースメディア」は、そういう意味での会社だか法人だかが必要になるかもしれない。そういう可能性をふくめてこれどうぞ。

週末起業 (ちくま新書)

週末起業 (ちくま新書)

週末起業サバイバル (ちくま新書)

週末起業サバイバル (ちくま新書)

週末起業チュートリアル (ちくま新書)

週末起業チュートリアル (ちくま新書)


同内容かな?
http://www.e-jimusyo.net/npo/

関連の過去エントリ
■「趣味を『仕事』にして経費にできるか?」再論。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20100315#p3

■嘘かまことか、格闘技やプロレスを「経費」で見られる?−趣味を仕事にする方法(※私も本当に出来るかは分からん)
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20080815#p2

余談3

自分が「自称ニュースメディア・ジャーナリスト」であるとするなら、名刺が必要になるかもしれませんね。
http://money.derica.jp/md/node/10042185
http://okwave.jp/qa/q1175442.html?rel=innerHtml&p=bottom&l=2
http://download.goo.ne.jp/software/category/win/writing/label/

余談4

こんな言葉もある。(上杉隆ブログから)
http://www.uesugitakashi.com/archives/51627568.html

世界中のジャーナリストは、すべて「自称」である。

余談5

XXXXXニュースを名乗れば・・・というか名乗らなくても暴力団じゃなければ(笑)、亀井静香大臣の会見(懇談)には出席可能!!(本当の話です。本人談)

http://d.hatena.ne.jp/gatonews/20091001

私は酒が弱いので飲めませんが、ビールでもなめなめ、皆さん方といろいろな話を聞かせていただくというざっくばらんな機会ができた方が、皆さん方との間の意思の疎通がうまくいくのではないかなと思ったものだから、秘書官にお願いしました。ということですので、もう気の向いた方はおいでいただくということでお願いしたいと思います。その場所には、ぜひどなたでも結構ですから。もちろん、暴力団やいろいろな方が寄ってこられても困るけれども、もう一般の方でも構いませんから、どなたでも来てもらえれば。

おしまい。(午後8時半、記す)