- 作者: 奥村倫弘
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2010/04/16
- メディア: 新書
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軍事関連でもうひとつ話題を。
発売当初から気になっていた「ヤフー・トピックスの作り方」をこの前読みました。
自分個人は、インフォシークからグーグルを愛用し「ヤフーというのはだめなところ」というイメージがずっとあったので一度もポータルサイトとして利用したことがないまま。それゆえ「ヤフートピックスが物凄い影響力を持つ」ということをいまだに実感できてない…というのは、以前述べた通り。(http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20100408#p4)
だから逆に、イチから学ぶつもりでこれを読んだというわけです。、
自分たちの取材や評論ではなく「紹介」のみを行う。
その選定や見出しの付け方、関連記事の検索やリンクに工夫を凝らす。
それでも、その影響力のあまりの大きさに「恍惚と不安」を感じる…といった話を、ヤフートピックスの責任者であり、元読売新聞記者でもある奥村倫弘氏が書いていて、なかなか興味深いものでした。
ヤフーより先に、或いは同時に「リンク集」の編集・選定によってひとつの作品を作ってきた、非商業系ネットニュース各位にも興味深く読めるのではないでしょうかね。
(最近、手塚治虫や藤子不二雄A、藤田和日郎などのトピックを当道場本舗から選んでいただいてありがとうございました)
さて、そういうふうに読んでいたら、なんか見慣れた「はてな」の名前が出てきました。「普通のブログ(※公的なものやニュースサイトではないもの)もニュースの参考として非常に役に立つ」という話の中で・・・
一時期、ブログは「個人の日記」とも説明されたため、他愛のない日常がつづられているかのような印象がありましたが、もはやそんなことはありません。多様な物の見方や考え方は、日々の報道よりも、個人が書いたブログの中に見つけられる場合が少なくないのです。
09年10月27日、関門海峡で海上自衛隊の護衛艦「くらま」と韓国籍のコンテナ船「カリナ・スター」が衝突するという事故がありました。テレビのニュースで伝えられる映像を見ると「くらま」の艦首部分がひどく炎上し、暗闇の中でオレンジ色の炎が映し出されていました。そしてよく見ると「くらま」の艦首はひどく損傷して原型をとどめていないのですが、コンテナの船は「くらま」と比べて大きな損傷はありませんでした。
(略)
最初に私の頭をかすめたのは「なぜ護衛艦のほうが貨物船より弱いのだろうか?」ということでした。
私の知る限り、この素朴な疑問に答えてくれる新聞やテレビ番組は見つけられませんでした。艦首部分にはペンキ類が積まれていたのでそれが激しく燃えたのだという記事はありましたが、私の疑問は「何が燃えたか」ではなくて「なぜあれだけぐしゃぐしゃになったのか」ということでした。インターネットを見渡してみると、私のような疑問を持った人はほかにもいたようで、この疑問に答えてくれたのは新聞やテレビではなく「リアリズムと防衛を学ぶ」(http://d.hatena.ne.jp/zyesuta/)というブログに掲載されていた「なぜ護衛艦”くらま”はコンテナ船よりも脆いのか?」という記事でした。
10月30日に投稿されたこの記事は、海戦の歴史的な変遷から説明に入ります。
(途中は略。 実際に読んでもらったほうが早いので )
物の見方として興味深い視点を与えてくれたことで、私は「なるほど」と膝を打ちました。このブログ記事は「護衛艦『くらま』衝突事故」というトピックスの関連情報エリアにリンクしてありますが、伝統的な報道機関にはなかなかかけない切り口であるようにも思いました。
(同書153-155P)
まだこのトピックスのページは残っているね。
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/ddh_kurama_collision/
ひと月45億のページビューがある(!)ヤフーのニュースサイトだから、アップされたときのブログへの来訪者はハンパなものではなかっただろう。
ただ、今回の本で紹介されたことをご本人( id:zyesuta )はご存知だろうか?献本とかされたのかな。