始まる前は正直、まったくどっちが勝つかの予想なんてつきかねて、利口にも予想を放棄していた菊野克紀vs弘中邦佳の試合だったが、終わってみれば結果はご覧のとおり。秘技・三日月蹴りも冴え渡り、1RKO勝利と相成った。
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腰間の秋水 鉄も断つべし
人触れなば人を斬り
馬触れなば馬を斬る
十八 交わりを結ぶ健児の社
北客 能(よ)く来たれば何を以て酬いん
弾丸 硝薬 是れ膳羞(ぜんしゅう)
客 猶お属丈iあきたら)ずんば
好し 宝刀を以て渠(かれ)が頭に加えん
んで、PPV解説ではこの日、前半のゲスト解説に川尻達也も出ていた。そして勝利後戻っていく菊野のことをアナウンサーに振られ、
「まあ、100年早いですよ」
と言ってのけたんだな。
これはちょうど同階級だから、それを踏まえてのプロらしい煽り、盛り上げに一役買ってそういう役目を演じた……と考えることもできよう。
だが・・・
実はわたくし、以前トーク&映像イベント「格闘秘宝館」を見に行ったとき、ゲストとして川尻が出ていたことがあった。実はその際、彼は菊野のことに触れて「さも同じランクのように扱われるのは、本当に嫌ですね」「何様のつもりだ」(大意)と、ほんっとーに嫌そうに語っていたんだわ。好漢・川尻が。
ちょうど菊野がDREAMで初勝利し、インタビューが殺到していたころで、そこで菊野自身が「川尻選手はタイプ的に絶対の自信がある」というような挑発的な言葉を言ってたので、これも言って返して、というプロの仕事の範疇なのかもしれないが、かなりマジ入ってた(笑)。後日、青木真也もこの話に乗ってきて「僕や川尻選手と、菊野を並べるのはどうかと思う」と、このときばかりはライバルの肩を持ったのでした。
まあ、タイトルにうたった川尻・菊野同格論というのも、確かにゲンミツにカウントするとちょっと無理がある。K-1ルールで勝ちましたとか王者にKOされましたなんてのは「お正月のかくし芸大会でテーブルクロス引き抜きに見事成功しました」と本質的にはあんまり変わらないし、バラクーダなにがしとかエバネスなにがしとかは、「本人の認識の問題やらがありますので公認は見送りました」だ(小沢一郎調)。
でも半面、たしかにそのテーブルクロス引き抜きならぬK-1の練習をしながら、JZカルバンに勝利したのはすごいことだし、大晦日は労多くして益少ない横田一則の挑戦を受けてたんだっけ。
なんか印象にほとんど残ってなかった(笑)。
菊野の弘中KOやジダKO、さらにDEEPでの記録は確かに大したものではあるんだが、ゲンミツにこれらを「ポイント」化すると、確かにもうちょっとばかり、今は及ばない。KOと判定の違いはあれど。
でも、なぜ敢えて「同格」扱いするかというと、上述のトークイベントで「菊野と僕が横一線のように言われるのは嫌だ」と語ったときの川尻の、ほんとうにイヤそうな口調が強烈に印象に残っているからです。そんなに選手がイヤなら、ぜひそういうふうに話を持ってきたいなと(笑)。
実際、青木は4月に試合して、勝つか負けるかも含めて、ノーダメージじゃすまないでしょう。
で、青木も川尻も大晦日に試合してたんだから、調整も考えると一試合ここで川尻も戦う、というのがいい流れじゃないのかなぁと。
そこに菊野克紀……。
まあ「第三の男」がトップ2と絡むのはまだ早い、というほうが多数派の主張でしょうけど、菊野びいきと、選手が嫌そうなことを敢えて言う、というふたつの絡みで少し「青木vs川尻もし戦わば?」から「菊野vs川尻もし戦わば?」に世論の焦点が合うよう誘導しようと思って(これを「アジェンダ・セッティング」=議題設定という)この文章を書きました。
あ、DREAM対ストライクフォース、というくくりでいえばKJヌーンとどっちかが戦う、という流れもあるっちゃあるんだっけ。というか誰だよヌーンなんて厄介なやつ呼んだの。