政治家や軍人が作る詩や歌を収集しているので、資料として残そう
先日お会いした山口県下関市在住の直木賞作家、古川薫から、岸信介元首相が詠んだ漢詩<巣鴨獄中作>を教えていただいた。
岸は敗戦まもない1945年9月、48歳の時、A級戦犯容疑者として逮捕、巣鴨拘置所に収容され、48年12月釈放される。3年3カ月獄中暮らしだった。
次の岸の漢詩には、<獄裏聴雨>の表題がついている。46年正月の作と思われる。
寒雨飲むが如く憂いを獄に入る
書を閉じて耳を傾ければ思い悠々たり
言うなかれ雨を聴くは風流事なりと
囚人を愁殺し涙自からあふる
国破れて山河戦塵絶え
憐れむべき状裡新春を迎う
豈悲しまんや五十年夢のごとし
壮士猶草莽の臣存す草莽(そうもう)の臣、は在野の人である。古川は紹介文のなかで、
<この漢詩を詠んだころは、無事釈放など予想もできなかったに違いない。独房のなかで、死と向かいあう極限状況下の作品だ
このあと、CIAエージェントとなることも想像できなかったろうけど(笑)
だいたい、平仄とか合わせているのかしら?
なんとなくこれも平仄などは気にしてないような、「反軍演説」の斎藤隆夫の詩もあらためて紹介する。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20090830#p6