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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

競技の安全性には終わりなし−投げの危険について

上のkamiproハンドと、最新号のGONKAKUをつなげてみましょうか。
若林氏はこのインタビューで気になることを言っている。
「長年アマの試合を見てきて最近思うのは、打撃よりも投げのほうが怖いなということなんですよ。(略)投げ…というよりも頭から落ちることです。受け身を取れずに首、つまり頚椎をやってしまうのが一番怖いんです。これを防ぐためのルールが柔道にある。…技をかけるときに自分で頭から突っ込むと、かけた選手が反則負けになるんですよ。(略)修斗ではグラップリングの試合で、投げを失敗し頭から床に突っ込んで頚椎脱臼骨折の大怪我をした例がありました。」


うーむ。柔道とかグラップリングだとさ、学校の授業でもやっているぐらいなんで、安全性にはかなり過信というか過剰に安心してしまい、俺も含めてそれこそお遊びのようにやったりしている。町道場とか体育館でも、一人の経験者で10人20人の子どもを指導してたりするものな。
まあ基本的に安全性はMMAやキックボクシングよりは高いとは思うけど、「投げ」も一歩間違ったら大怪我に繋がる、という注意と危機意識は持ってないといかんね。

投げは角度によって、意識的にもデンジャラスなものにできる…というのははったりの意味も込めたんだろうか、「帯をギュッとね!」の第一話にも登場しているし、最近の木多康昭喧嘩商売」にも、卑怯を極めた元柔道メダリストというキャラクターが空手家に披露して、「これが一撃必殺だよ。空手が一撃だなんて聞いてるほうが恥ずかしいからやめてくれ」と言ったりしている。


※余談だが、私は今まで意識的に「喧嘩商売」を語ることを避けてきた。

喧嘩商売(9) (ヤンマガKCスペシャル)

喧嘩商売(9) (ヤンマガKCスペシャル)

個々のエピソード、特にそれぞれの強さを個性的に肉付けするキャラクター造形と、「これがこうしてこうなったから、ここで彼が勝ち、相手が負けた」という”理屈付け””戦略性”は梶原一騎荒木飛呂彦の系譜に実はちゃんと連なっている(パロディを描き続けたら、実際にもできるようになったんだろうな(笑))、質の高い「部分もある」とは思うが、アレは朝青龍的に「品格不足」ハナハダしいので、格闘技漫画の歴史ではとりあえず番外と位置づけたい。PRIDEやUFCではなく「THE OUTSIDER」ですね(笑)。


んで、GONKAKUにつながる。

まあ繋がるも何も、修斗の話だからつながって当然なんだけどね。71pのコラムでは、3月の修斗新宿大会で、バスター(スラム)によるKOが2試合もあったことから、この技の危険性に関して考察している。ここでも柔道の例を元に、今までこの問題では中心的な話題だった、三角締め脱出のパワーボム的な技(ランペイジVSアローナが典型)ではなく、前頭部から突っ込ませるようなやり方の危なさが指摘された。

そして、ひとつの案としてアマ修斗が今年6月から、こういうふうな投げ方を禁止するようになった、という例を紹介する。(「こういうふう」を文章でルールにするとまた難しいんだ。)その代わりに、持ち上げた時にポイントを入れる「リフトポイント」をつくるという。

うーんなるほど、ゲーム的になるようでいて「持ち上げました。これが路上だったらコンクリートに叩きつけます」てな、そういう考え方もできるわな。柔道は下からの仕掛けを持ち上げただけで技を「解けた」となって、見てると不満なこともあるけど、これはこれで合理的かも。