東京新聞に「こちら特報部」というコーナーがあるということは何度か紹介しましたが、昨日、同コーナーは、カカンに医療問題に切り込みました。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2008030802093655.html
医療法改正で 嘱託病院確保を助産所に義務付け 廃業助産所も
2008年3月8日
奇妙な医療法改正に助産所が振り回されている。法改正で助産所は分娩(ぶんべん)中の急変などで緊急搬送先となる嘱託病院を四月までに自助努力で確保しなければならないが「多忙」を理由に断られるケースが続出。このままでは廃業する助産所も出てくるため、厚生労働省は「(嘱託病院は)新たな義務を負うものではない」と通知を出した。だったら嘱託病院確保は無意味では。何とも不可解な法改正なのだが…。 (鈴木伸幸)
以前は全文公開だったが、今はこれだけ。
その後を要約する。
要約
■地元でも評判の助産所が、存亡の危機に瀕した。医療法改正で、助産所は嘱託病院を確保せねばならなくなったが見つからなかったためだ。
■そういう例を避けるため、「嘱託病院となっても新たな義務は負わない」とされたが、ならば意味はない(茨城県立医療大・加納尚美教授談)
■法改正で助産所開業は病院の意向次第になった。そもそも嘱託なのに義務が無いのは「応召の義務」違反。法律は病院と助産所の序列化を肯定しており、助産師への偏見が背景にある。
■今は99%が病院、1%が助産所で出産する。戦後、アメリカの指導でそうなり、妊産婦死亡率が減ったので助産所出産は危険と思われがちだが死亡率低下は栄養や抗生物質、輸血の向上の為。助産所が危ないわけではない。
■海外ではオランダが3割が助産師出張で自宅出産、NLでは7割を助産師がケア。米国でも5,6%は助産施設出産。
■低リスク出産は医療が介入しないローテク出産が望ましい、とWTOも調査報告でいっている。データ的にも出産の7、8割が医療行為不要である。
■現在、日本の就業助産師は25000人だが15%は産科以外で働く。資格を持ちながら働いてない人も20000人。理論上、潜在助産師を活用すればお産難民問題は解決だ。■だが、ある産科医はこう話す。
「正常分娩は自由診療なので医療機関からすればもうかる”ドル箱”。病院側はそれを守りたいだろうし、何かあれば訴訟になりかねない高リスク出産ばかりを任されてはたまらないと思ってもおかしくない。助産師の活用で産科医不足が解消できるにしても、産科医はそれを自らは認めないだろう」それを受けた、デスクのまとめ感想。
妊婦たらい回しを報道すると、医者たちからの「産科医不足が悪いのであって医者は悪くない」と反論が来る。でも、医者から「もっと助産師の活用を」との声は上がらず、そういう運動も起きず、「産科医を増やせ」の掛け声ばかりなのは不思議だ。「ドル箱は手放さない」が理由なら、なんともお粗末だ。(隆)
ふーん、なるほど。
ただ、正直「こちら特報部」の取材と記事構成、あとデスクの識見に正直あまり信を置いていない(笑)。
といってもこっちに専門知識もあまり無いので、ホントはこういうTBの利用法は適当でないのだろうが、はてな内でいつも非常に勉強させてもらっている2ブログにTBを送ってみることにした。まあ独自にも調べたいと思ってますが。
とりあえず、今度の制度改正に無理ある部分も確かにあっただろうが、産婦人科病院が増えたことと死亡率低下に関係が無いってのもいい過ぎな気がするなあ。