http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20070623#p5のエントリの続きとして。
bass & co.さんの投稿です。
『そもそも、横浜・東京、神戸・大阪といった至近距離間に主要港があることがおかしい。互いにパイを喰いあって、良いことは何も無い。更に地方発展の名の下に、港のある県に殆ど総て国際港があるような状態。当然そんな小さい港には中型以上の船は寄らないので、韓国船社の小型船寄港を誘致する。で、何が起きるかと言うと、大手船社は韓国船社をフィーダー下請けとして使い、今まで東京・横浜・大阪に集まっていた貨物が地方港積みになり、釜山港をハブとして世界中へデリバリーされる。』
『地方自治体はそれを武器にし、「土地・労働力は安いし、近くの港で輸出入出来るし、助成金も出しますよ〜」と、工場を誘致する。これに乗っかった企業側は、それありきで工場を建てる。そうすると、今更中央政府が旗を振って新たな港湾政策を打ち出そうとも、企業は付いてこない。いま新潟で作った製品を新潟港で積んでいるのに、なぜ余分なコストを払ってまで東京港へ持って行かなければならないのか? そして今ある貨物が地方港から無くなった時、地方の港湾業界に労働問題が当たり前に発生する。』
『ということで、インフラの問題、アンタッチャブルな港湾労組の問題に加え、中央政府のグダグダな港湾政策は既に違う問題も引き起こしている。この地方港の活性化=主要港の弱体化は、阪神淡路大震災が大きな影響を与えている。震災で港の機能がストップおよび限定された際、諸々の信用面からわざわざ神戸港で輸出していた工場が、地方港積みのスキームを使ってみたら結構大丈夫だったり、何だかんだで神戸港を重視し大阪港への寄港に消極的だった船社が、定常的に大阪港を使い始め重用するように。結果、便利になった大阪・地方の企業はそのまま最寄の国際港を使い続けるようになり、神戸へ震災以前の貨物量が戻ることは無くなってしまった。』
『今度はそれが荷主企業だけでなく、船社をはじめとする物流企業にもモデルケースとなり、他でも同じことが起きる。今度はこれがどういうことを引き起こすかというと、船社としては、日本の主要港を「なんだか良く分からないけど、母船を車で 1時間も掛からない距離間で止めなければならない」「だいたい、更に取り扱い減ってるしさ」「母船寄せなくて、支船だけ寄せて釜山・上海・香港・シンガポールの母船積み替えで良くね? 高雄もあるしさ」となってくる。そうすると、スケジュールの確実性が低下し(頻度だけでなく、ハブ港でハブ港直接積みの貨物を優先し、積み残しをされたりする)、いま重視されている物流のイニシアチヴが握れなくなる。』
『例えば北欧州大陸では、アジア線の母船はロッテルダムとハンブルグしかまともに寄港しておらず、それ以外の港へは欧州域内の運行船や艀を使って支船とし積み替えてて寄港している。それを考えると、日本の港の地位低下ネガティヴ・シナリオは他に例のある現実的なものであり、既に釜山・上海・香港・シンガポールに高雄や深センを加えたアジア域内のハブ港は過剰状態にあって、ハブの中でも上海に近い釜山・そもそも中国の貨物が多く深センに近い香港・中途半端な高雄あたりは重要度が落ちてきている。そんな状況での「アジアゲートウェイ構想」、非常に困難という表現で収まるようなレベルではない。ていうか、20年じゃきかないくらい遅い。』
『すいません、長年憤りを感じている問題なんで、超長文を投稿してしまいました。何卒御容赦を。大局を見ず、私利から選挙区への利益誘導型政策を続けている間に、結果として自主的に世界的な競争から下りておいて、いまさら既に沙汰が始まっているその場に参入なんて、ありえないですよ。』