INVISIBLE Dojo. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

kamiproの桜庭和志vs秋山成勲記事を考える

今回のkamiproは、大晦日の報告だったり2006年を総括するような関係で、例えば海外に紹介して反響を呼ぶような新情報がたくさんあるというわけではない。
そこである意味珍しかったのが、桜庭vs秋山の「試合リポート」が写真も含めて計4Pで扱われていること。文は橋本宗洋氏。


これについては
http://d.hatena.ne.jp/s_tropical/20070114
で感想が書かれている。

で、結果としては、ご存知の方も多いかもしれないが、

両誌(註:kamipro格通)ともに見事なまでの醜態を晒したとゆー。
(略)
いつもの座談会形式で、具体論については曖昧にしつつ桜庭を上げるよーにするのかなぁ、
とか適当に予想しながら記事を探してみたんだが、
実際は、橋本“スマック出禁”宗洋さんによる署名記事で、なんと桜庭を切り捨てる論調。
これは驚いた。
kamiproにとって、致命的な汚点になるのではないか。
「世間とプロレスする雑誌」とゆー刺激的なキャッチで登場した紙プロが、
ついに世間とプロレスすることを放棄して、公式会見の目線でしか語れなくなってしまった、とゆーことか。


kamipro記事に関しては、個別の論点では小生が書いていたことと共通していることも多い。攻防が途切れていないときにタイム要請しても止めようがない(正確には自分は「止めてもいいが止めなくてもいい」と感じていた。昔エントリ参照)という点や、レフェリー以外がストップするのはルールに沿った措置であることなどだ。
まあ、これは他メディアでも取り上げるところは取り上げている。


しかし、全体的に違和感を感じるのは何か・・・・・・と考えると、思い当たる理由がある。
それは、この記事が言わんとしている「桜庭は衰えた(桜庭が桜庭でなくなった)。そのため、試合中の「タイム」要請などのミスを犯した。以前ならそうではなかったのに」というのは、大きな部分が想像、イマジネーションの産物で、おそらくそれは、先にあった枠組みなんだろう、ということだ。

これに先立つ号で、試合決定を報じた際、「この試合は桜庭目線ではない」というテーマで書かれている。そしてこういう「Numberもどき」(ちょっと褒め言葉)なレポを書くときって、あらかじめ持っているテーマについつい事実の解釈を合わせがちなんだよね。
たぶん、先の号からの流れを引きずった部分が多いような気がする。

秋山の身体に何か違和感を感じたとして、桜庭はそれで我を忘れるような選手ではないはずだ。いや、なかったはずだ。(P92)

秋山vs桜庭戦は”秋山目線”の試合(引用者註。このへんが前の流れを引きずったという部分だね)。桜庭が絶対的な主役である「PRIDE」のリングではなかった。いくら公正な運営が心がけられていようと、そこは桜庭にとって敵地といってもいい・・・・・・現在の桜庭はその(レフェリー以外にストップ権限があるなどの)”ひずみ”を支えきれなくなっている。かつての桜庭は”ひずみ”を乗り越える達人だった。ホイス戦を思い出してほしい。トーナメントの中で一試合だけ15分無制限ラウンドという・・・”ひずみ”・・・を見事にクリアし・・・ (P93)

いやあ、オイルを塗るという反則は以前から存在するとしても、それに気付いた桜庭が「我を忘れるような選手ではない」ってのはイマジネーションでしょう(笑)。全盛期だって、こういう態度をとった可能性は十分に存在するんちゃう?
そう考えると、この全体像も本当にこうなるのかなあ・・・という感はぬぐえない。


ただ、同じ号で追悼特集が組まれている井上義啓氏(喜ばしい事に、追悼本が出るそうだ)ばりに、これは”井上小説”ならぬ”橋本小説”なんだ、ドンッ!・・・ってことなら、それはそれで納得がいくのだが(笑)


あと気になったのが二点。
レポートを読む限り、和田良覚氏に直にインタビューしているようだが、サムライTVで正式発表が出る前に和田氏は「あんなキレたサクは初めて見た」と言明し、ネットで「お前、男だ!!」と絶賛された。

同じように「サクがあんな行動に出たのは初めて・・・」と橋本リポートp92では言っているのだが、これをこの記事では「それほど秋山の反則容疑は濃厚だ、悪質だ」という文脈ではなく、「攻防の真っ最中にタイムを要求し、相手と向き合うよりレフェリーへの抗議を優先させるほど冷静さを失った桜庭は初めてだ」という意味に解釈している。


そこから、「重要なのは、そのことだというのが、本誌の見解だ」となっているが、さすればサムライTV和田発言の受け取り方も変わってこよう。

あと、驚いたのは上に引用したように「本誌の見解」と明言していること。

格通やゴン格も、それぞれの筆者の主観の集合体で、kamiproも良くも悪くも座談会の談論風発から見て、統一見解など無いと思っていたのだが、今回、この微妙な問題でトップのジャン斉藤氏をはじめ堀江ガンツ真下義之松下ミワ・・・一癖ふた癖ある各氏の意見をうまくまとめて、統一した見方を提示したのが、今回の「橋本リポート」だったということで、ふむむそういうものかと思いました。

逆にこの問題は、「本誌統一見解を出さなきゃ」という勘がどこかで働いたのかな。

そういえば旧SRS・DXの記者について

橋本氏は同誌廃刊後も各メディアで見かけるのだが、その他にもキョーレツなライターがいたなあ。
特に女性記者で日置さんだったか日比さんだったか、「わたしの愛しい膠着大王」とか、とにかく今記憶の闇から取り出しただけでうわああああと叫びたくなるような記事を書いていた人とか、自分が元相撲部だったか柔道部だったかで、それに絡めて何でも書く人とか、なんか変化球投手が多かったような。


SRS・DXの編集長谷川貞治氏は格通時代、高島学にすら何度も書き直しさせ、最後に採用したときも「もう時間が無いんだから、これでしょうがない」ぐらいのことをいう”鬼の谷川”だったと聞くが、前田日明所英男にはありえないぐらい優しいように、世代で違ったのかな(笑)


いま、彼ら彼女らは何をしているのだろう。記憶が薄れた今となってはひさしぶりに読んでみたい気もほんのちょっと。で、その中から一番活動しているのが橋本宗洋氏であるのは、やはり順当であるのかなと思う。中村カタブツ氏は、一般実話系雑誌のほうの仕事が多いそうだが。

橋本宗洋氏(と押切伸一氏)のブログはhttp://ma64.blog77.fc2.com/


あら、昨日の「格闘王」は面白かったらしい

http://sadironman.seesaa.net/article/31546361.html
渡辺いっけいの過剰演技のせいで、ずいぶんとご無沙汰していた。残念だった。
リンク先によると、花道のところからずいぶん怒っていたのだね、桜庭は。

あと、同サイト引用の夕刊フジによると、桜庭は出場拒否も辞さず、また「無効試合ではなく秋山の反則負けにすべきだ」と主張していたとか。


[格闘技][PRIDE][IT][ブログ]PRIDEネット放送の「DMM」ってそういや何物?

は後日予定