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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

ミルコ・クロコップの魔法は解けた?格闘技と「ブレイクスルー」

かつて、「紙のプロレス」は「技術論はあえて載せない。絶対載せない」と、かぶいた宣言をして、某編集部員がしがらみでエンセン井上の技術論を載せたときに山口日昇氏が「そんなの俺に言ってこい!! 俺がちゃんと、堂々と断るから」とタンカを切ったこともある。


しかし月日は流れ、そんなこだわりも逆に無意味になっていたのだろう。ヒョードルvsミルコ直後、91号の紙プロは、この試合をなんとボクシング・ストロー級元世界王者、大橋秀行氏に論評させている。
彼は高校時代の横浜ボクシング部で、何度もレスリング部と異種格闘技戦を行っていたとか(しかも圧倒的にレスリングが強く、「総合格闘技の展開を先取りしていた」という)。
さて、大橋選手が見たミルコvsヒョードルは・・・・

ことボクシングからの視点では、ミルコのストレートの技術などは圧倒的にヒョードルより上、というかヒョードルはフックしかないとのこと

素人のケンカでもそうですけど、ボクシングをやってない人間がストレートを打とうとしてもフックになっちゃうんですよ。ストレートってのは体の作りに反した打ち方だから、本当に技術のいるパンチなんです。(略)けど、ストレートっていうのは最短距離で相手に当たって一番効くパンチだから。

(これと前後して全く同じ解説が連載中の「ホーリーランド」で描かれていたね)



で、ヒョードル攻略法を大橋選手は独自に分析する。
要は「ヒョードル=タイソン」だというのだ。

みんな最初はタイソンを恐れていたけど、考えてみればタイソンはヘビー級では小柄じゃないですか。だからいくら強いパンチを持っていても踏み込めないと、何も出来ないんです。それなのにタイソンの圧力とパンチを恐れてみんな下がっていったからやられちゃったんです。でも、ホリフィールドは逆に自分が前に出た

勇気をもって踏み込んだイベンダー・ホリフィールドがタイソンを倒しましたよね。そしたらあとはホリフィールドに続けとばかりに、みんな踏み込んだストレートでタイソンに勝ってるんですよ

そこで今回のジョシュ・バーネットvsミルコ・クロコップに話は行く。

大橋の話は「ヒョードルを攻略するのは?」という時の論評で、個々に見ていくと対ミルコではその技術は違うにきまっているが、ジョシュがくしくもミルコ対策に、ほぼ同じ基本コンセプトの「自分からプレッシャーを掛けていく打撃戦」をあげたことがあるのは前述
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20051022#p1
の通り。そして、トータルではグラウンドの失敗が大きく響いて判定負けしたとはいえ、ほぼジョシュによる、ミルコの打撃封じは成功を収めました。

この理由は二人の体重差もあれば技術、コンディションなどの不確定要素もあるだろうが、同じように「前へ前へ」とラグビー部監督やお笑いウルトラクイズでの芸人のような戦法をすでにヒョードルがこの前のミルコ戦で取って(成功して)いたことも多いのではないか。



要は「一回、ある選手にある戦法が効果的だと分かったとき、その後のその選手の戦績や内容がガラリと変わる」ということもあるよね、ということ。ボブ・サップもそうだろうけど、「あれ?俺たちも勝てるよな」というイメージが敵陣営に出来ることで、相手の戦法も大胆になってそれが試合結果を左右する、ということも多そうだ。
逆に風貌、実績、伝説を利用して「やばい、相手は強い、XXXになったらおしまいだ」という”イメージ”を相手に持たせるのも、トータルな強さのうちなんですよね。


デビュー戦のジャイアント・シルバヒース・ヒーリングが、最後の最後まで攻めあぐねたのもこういう部分が多いでしょうから、小川直也や杉浦らと比べて比較するのもかわいそうだろう。


さて、ミルコに「打ち合いの中で、自分が前に出てプレッシャー」という意識を持てる人がどれぐらいいるのか?
それが一般的に可能ならば,ジョシュの作戦をほめたい(彼のインタビューのほうがヒョードルvsミルコ戦より先)。逆に全然不可能なら、逆にやはりヒョードル・ジョシュはスペシャルな存在だという話になる。体格差が今回の試合の一番の理由なら、エミリャーネンコ・アレキサンダーが再戦したらやばいよ、という話になったりして。