http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/europe/news/20041014k0000m030094000c.html
同性愛批判:
EU次期副委員長候補が発言、大もめに
【ブリュッセル福原直樹】欧州連合(EU)の「内閣」である欧州委員会の次期副委員長候補が、宗教上の理由から「同性愛は罪だ」などと発言したため、欧州議会が「不適任だ」と異例の判断を行い、大もめになっている・・・・
この候補はイタリアのEU政策相・ブティリョネ氏。同議会は現在、各委員候補(25人)の聴聞中だが、その席でローマ法王と親しく、熱心なカトリック教徒でもある同氏は、同性愛を否定。さらに「女性は夫に守られ、家族のために子どもを産む」とも発言した。このため同議会の市民権委員会は11日、小差で同氏を不適任と判断。だが、伊のベルルスコーニ首相は「宗教的信条への挑戦だ」、本人も「良心は売らない」と反発するなど、一歩も譲らない構えだ・・・
毎日新聞 2004年10月13日 20時56分
なんともかんとも。
というか、これは非常に重要なお話である。裏返して寓話を作ってみよう。
ある国で、某宗教の排除をもくろむ保守政治家が密談を行った。 「あいつらを、なんとかして政府中枢から追い出せないものか・・・」 「名案があります!『同性愛を認めるか』『中絶を認めるか』『進化論を 信じるか』と公の場で尋問し、その意見を表明させましょう」 「とはいえ、それは個人の信条の範疇に過ぎまい。それを問題にしたら 宗教の自由に反すると言われんかね?」 「いえいえ公職ですから、個人的信条としても、同性愛などを『罪』と 思うような人間はそれだけで不適当なのです。で、自分の宗教に反して 「認める」といえば教団との関係も悪化しますし、今後もコントロール しやすくなります。そして信者どもは、・・・・やつらの教義が変わら ない限り、未来永劫わが国の公職からは遠ざけることができるのです」 「うむ!それを実行しよう!!」
実際は宗派によって違いが大きいことは承知の上で、敢えて単純化した。
要は、差別はだめとか同性愛は個人の問題というのは、仮にそう定めるとしても「地上の法」の問題。同性愛を罪とみなすかどうかは「天上の法」の問題。
地上の世俗権力は、天上の法をひねりつぶしていいのか。
いいんです、状況によっては。「同性愛は罪」なる宗教的見解は、自由にして平等なる近代社会に公然たる敵対を表明した、危険思想なのである。よろしくそれに固執する人間は殉教すべし。
・・・・と割り切っちゃあまずいよな、というお話。
フランスの「スカーフ禁止令」もそのデンで、10/3の朝日新聞「風-パリから」(富永格支局長)のコラムは「公共の場では『教徒』でなく国民として振舞おう、付き合おうという共和国の約束だ」とこの法律の寛容性を説明しているが、問題は、その「(寛容な)約束」自体が「神の法」への不可避的対決とみなされたときにどうするかだよ。
要は「コーヒーは絶対ブラック党」と「コーヒーには砂糖とミルクを入れなきゃ党」が抗争の末、与党の「砂糖とミルク党」が、「じゃあ寛容なる社会のため、砂糖は大匙1杯のところを小さじ半杯に制限。ミルクもおかわりは禁止まで妥協するから、それでいいよな?」といって、ブラック党は感激するか。仮に納得する人がいても、原理的に考えるラジカルな人は
「砂糖とミルク入れてる段階で、量に関係なく俺たちを弾圧してるんだよ!!」
というだろう。そして、それは論理的に正しい。
どうすればいいのかといえば、
解決不可能だあきらめろと言うしか。
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