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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

人間とは

http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/europe/news/20040715k0000e030011000c.html

暴行事件:
パリの電車内で襲われたのは狂言 女性が供述 
 【パリ福島良典】パリ近郊の電車内でユダヤ人と間違えられ、中東・アフリカ系の男性6人組に襲われたと警察に届け出た女性(23)が13日、調べに対し、事件はすべて作り話だったと認めた。ぬれぎぬを着せられた形のイスラム教徒の団体は「今日のフランスに広まるイスラム教徒攻撃の風潮」に反発を強めている。

 女性から事情を聴いた検察当局は同日夕、「女性は事件はうそで、作り話だったと供述した。自らナイフの切り傷をつけ、髪の毛の房を切り取り、自分の体に(ナチス・ドイツの)カギ十字を書きつけたと述べた」との声明を発表した。

 女性は被害届を出した際、6人組が9日朝、車内で最初にカバンから金銭を奪おうとしたが、彼女の身分証明書に記載された住所からユダヤ人と誤認し、暴行に及んだと話していた。

 しかし、(1)6人組が降りたとされる駅の監視カメラにそれらしき人影が映っていなかった(2)傍観していたとされる乗客から目撃証言が寄せられなかった(3)事件前、ナイフで切り裂いた衣服を女性が着用しているところを目撃されていた−−など届け出内容と矛盾する情報が相次いで表面化。女性が過去に6件の窃盗・暴行の被害届を出していたが、いずれも事実関係が確認されていないことも明るみに出た。

 事件はフランスにおける反ユダヤ主義の高まりを象徴する犯行として内外のメディアの関心を集め、シラク仏大統領も「憎むべき行為」と非難声明を出していた。

実はこんな事件、前代未聞、というわけではない。
ドイツでも、車椅子の少女が「ネオナチに暴行され、顔にカギ十字をナイフで刻まれた」と狂言を語り、同じように社会は憤激と怒りに包まれたが、やっぱり狂言だったという話が数年前にあった。



偏見とか差別とかという議論とは別に、わざわざ自分の髪や顔を切り、
それをアピールするという話は奇妙なものではあるが、とにかく人間という
ものはそういう心の闇を抱えているのだろう。「被害者」として注目を浴びる
こと、同情されること、それに何がしかの喜びや意図が加わるというのは
ありえないことではない。

冤罪に振り回された社会は気の毒だが、これは根絶できないだろうな。
それが人間なんだ。


と同時に、今回の事件は「アラブ系への差別」という面と「世の中には差別をする悪いやつらがいるぞー」という、あえて乱暴にいえば「反差別」の暴走による事件、とも言える。

呉智英は、ドイツの話を著書「危険な思想家」で紹介したが、そのときの一文をこのように締めくくった(大意)。

「言われなき冤罪をこうむったネオナチに謝罪したという話は聞かない」
おいおい(笑)