やや遅れて、書店に並んだ今月の文藝春秋を読んだ。日垣隆の書くもの、どうも最近ピリッとしないですねえ(野球解説か)。
それはともかく、同誌では松原隆一郎、福田和也、鹿島茂が鼎談書評をしている。
鼎談書評は昔から同誌のお家芸で、他の雑誌でもけっこう真似されている。
昔の朝日が出していた雑誌「RONZA」(現在の論座)では、鹿島の代わりに佐藤亜紀が加わっていた
実はこの三人、格闘技という観点で見ると、大道塾黒帯でUFC第二回も実際に見た松原氏は言うに及ばず、福田と鹿島も相当に詳しい範疇に入る。
今回は彼らが格闘本を書評したわけではないが、そのご近所ともいえる「興行」師---”呼び屋”の生涯を描いた本「虚業成れり」を論じている。
ボリショイサーカスなどを日本に呼んで大きなインパクトをのこした人の評伝。
何度も浮き沈みを繰り返しながら、最終的にはチェーン居酒屋「北の家族」を成功させたのに、自分をあくまで呼び屋、虚業家だというのはやはり「ショウほど素敵な商売はない」ということだろうか。
鼎談の中で、当然のように康芳夫の話が出てきたが、彼の言葉が面白い。
「興行師は、逃げ時、戻り時を見極めねばいけない」のだそうだ。
要は、興行が失敗したら、何の迷いもなく行方をくらまさねばいけない。絶対に躊躇してはいけない。
しかし、そのまま消え続けていては忘れさられる。だから、相手が許してくれそうな時期をうまく計って戻ってくる、その見極めが重要・・・・なんだそうだ(笑)。
そんなで許されるのか!!とカタギの考えではなるが、逆にそういうのが許されて初めて、ショウビジネスというのは回っていくのかもしれんね。
つまり川又誠矢氏は(以下略)