この前、新聞に「携帯電話に、骨伝導技術を応用したものがよく聞こえると人気」というのが載っていた。
みんな知ってるだろうけど念のため解説すると、音は要は空気振動なので、仮に
空気がなくとも鼓膜がなくとも、骨を伝わって振動が内耳に到着すれば音として聞こえるというわけだ。
子供のころ、ベートーベンが棒などを介してピアノの音を聞いた、というのを本で読んで実際に試したことがあったが、たしかに聞こえるんだよな。
しかし、その記事でうむと思ったのは「大騒音のなかでも会話が出来るイヤホン型の『イヤーマイク』は軍事用や業務用として15年以上も売れ続けて・・・」
そりゃそうだ。砲煙弾雨の中で会話して、戦争の状況を知らせるにはうってつけだもんなあ。
日常の中に技術が応用される前に、軍事が目をちゃんとつけている、というのが恐ろしいというかなんというか。
それで思い出したのが、フィリピン戦線で砲兵隊に所属していた山本七平の回想。
彼は部隊の中で2番目に優秀な通信要員だったという・・・といっても技術とかじゃなく、東京生まれで標準語のネイティブだったせいか、当時の雑音まじりの電話でもよく声が聞こえたんだそうだ(笑)。
いや笑っちゃいかん、場所や時代が変われば求められる技術も違う。その電話が通じたことで命が助かったり失われたりするのだから。金も物も、善意も悪意も、宗教心もイデオロギーもある場所、ある場面では武器になり弱点になる。