INVISIBLE Dojo. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

祝・UFCファイトパス大成功!!時代はCS、ケーブルTVの没落期へ…そして中小団体は?

(※全文を読むには要登録)

UFC Fight Pass、目標会員数突破!■MMA Unleashed
http://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar542312

……ここまでのFight Pass加入者数が30万人弱であることを示唆した。ゼラスニック氏によると、Fight Passの当初目標は年末までに10万人加入獲得であったが、その数字は2か月で達成してしまい、現在は目標の3倍に近づいている。
(略)
加入者の内訳は65%が米国、35%が海外で、英語が通じるカナダ・欧州・オーストラリア・ニュージーランドの加入者が多いという。さらに東欧やロシア、日本からも、言語の壁を乗り越えて、予想以上に強い需要があったのだという。なおFight Passはいまのところブラジルでは提供されていない。

Fight Pass加入者の8割程度が契約を継続している。

パチパチパチ。
ちなみにWWEの同様のネットサービスは66万件の契約だとか。
 
はっきり言って、この事業を始めるのはZUFFAにとってもそもそもの買収、TUF開始、ミルコ獲得…などに負けないほど大きなギャンブルだったと思う。どう考えても既存のPPVやUFNの開催局から見れば「このやろー」なところはあっただろう。
自分が経営陣だったら…やっぱり見送るなあ。躊躇するなあ。
リーディング・カンパニーとしてみごとに未踏の分野の開拓に乗り出し、いい実りを迎えた、と言える。


ジェフ・ベゾス率いるアマゾンがキンドルを開始し、電子出版権を次々獲得していった時のことを、アマゾン幹部は誇らかにこう回想…というか勝利宣言している。
「あの仕事は、手足をばたつかせていやがる出版社を21世紀に引きずっていくようなものだった」

なんともアマゾンらしい傲慢なるものいいだが、
そういう資格はたしかにあるのだろう。上の話は、以下で詳しく。

アマゾンはこうやって「繁殖」していった…「ジェフ・ベゾス 果てなき野望」より/キンドル創世記も - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140423/p4

ジェフ・ベゾス 果てなき野望

ジェフ・ベゾス 果てなき野望

ファイトパス、日本語や韓国語やロシア語で「手続き」もできればもっと需要は増えるのに。

そのへん、よろしくな。上の記事でも「言葉が違うのに需要があった」というのはそこを強調しているという部分があるだろう。つうかOMASUKI FIGHT氏に委託しろ、日本語版の入り口作るのはさ(笑)

いまやネットTVは、米国家庭の半数に浸透した

ネットTV、米国では約半数の家庭に浸透 : ギズモード・ジャパン http://www.gizmodo.jp/2014/06/tv_16.html


ケーブルTVとの逆転は近いのか。

新たな調査で、全米家庭の約47%では何らかのネットTVサーヴィスを使っていることがわかりました。使われているのはNetflixかHulu PlusかAmazon Prime(訳注:米国のAmazon Primeを契約すると豊富なTVや映画コンテンツを無料で視聴できます)のどれか、またはいくつかです。そして米国の約半数の家庭がネット接続されたTVを少なくとも1台所有しているそうです。

この調査はLeichtman Research Groupによるもので、これ以外にもネットTVサーヴィスの台頭を示すデータが掲載されています。米国ではTVを見るためにケーブルTVに加入するのが一般的ですが、たとえばNetflixに契約しつつケーブルTVにもお金を払う人の数は継続的に減少しています

過去の記事もこの機会に。

格闘技はスカパー、ケーブルからネット中継に移るか…現状を断片的にまとめる。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140207/p1

「スマートTV」の”チャンネル”に、主要配信サイトが組み込まれる日…UFCファイトパスも
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140207/p2

スカパーの今後の株価や、いかに。

日本の団体、中小団体は

これは後日、とっぴな空想もまとめて別に書きたい。

「仏像」をサウジの留学生が破壊する…/間もなく「アンネの日記」破損容疑者の鑑定留置期間が終了

多くの報道があるが、NHKニュース

11日未明、東京・浅草の浅草寺で境内の仏像4体を壊したとして、サウジアラビア人の留学生の男が器物損壊の疑いで警視庁に逮捕されました。

逮捕されたのは、川崎市に住む慶応大学の大学院生で、サウジアラビア人のモハマド・アブドゥラ・サード容疑者(31)です。
警視庁によりますと、サード容疑者は11日午前0時半前から1時ごろまでの間、東京・浅草の浅草寺で、境内に置かれた仏像4体を台座から落として壊し…(略)…「外国人が暴れている」という届けで警察官が駆けつけたところ、仏像4体が倒れていて、近くにいたサード容疑者が壊したことを認めたことから逮捕したということです。
(略)…うち観音菩薩像はおよそ300年前の江戸時代に作られ、台東区有形文化財になっています。
調べに対しサード容疑者は「ほかの寺でも仏像を壊したことがある」と供述…

この容疑者の精神状態は正常か。「アンネの日記」破損容疑者のことも思い出しつつ

もともと人間の行動は責任能力があることが大前提であって、そういう報道や情報があるまでは責任能力は「有る」として考えればいい、というのが大前提だから、まだ時期尚早ではある。
これは一種のサービスというか、過剰に忖度したものだ。
どうも、発見されることを恐れていないように見えるから。
 
以前、逮捕前にも「アンネの日記」を破いた人には、精神的な問題があるのでは、という推測の報道を昼間たかし氏らがしていたのに対し、「病気であっても(社会が)腐った状況だ」という意見に対し、こう書いたのだった。

ある事件が起きた時の、犯人の「推測」「テロ事件」認定に関して(「アンネの日記」問題) -
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140223/p3


北田先生の「病気っぽいんでやったにせよ…よりによって『アンネ』破る奴がでてくるのは腐った状況」には賛成できない。精神の病を得てしまえば、アンネ本を破いたのは私かもしれないし北田氏かもしれない。破いたのは百田尚樹氏の本かも、天皇陛下の写真かもしれない。病気ってそういうものでしょ。 

「宗教的思想に基づくテロ」「ヘイトクライム」の可能性

その可能性がある、という推測には、それなりに合理性は十分あると思う。
自分は詳しい報道を待った上で、判断したいと思うけど、
「いち早くテロ(の可能性がある事件)に対しては声明を出したり、抗議したりすべきだ。状況の確定を待ったり、言葉を濁したり、触れないこと自体が不適切だ」
とかつて主張した人たちもいる。

安倍晋三内閣総理大臣は事件を受けて直後のインタビューで「捜査当局において厳正に捜査が行われ、真相が究明されることを望む」と語ったが、言及が少なすぎるとして野党幹部らから批判を受けている。
長崎市長射殺事件

元厚生次官ら連続殺傷事件に対する麻生太郎首相の慎重姿勢が目立っている。同一犯による「テロ」の可能性があるにもかかわらず、首相の言動からは、卑劣な行為への非難や対テロへの断固たる姿勢がうかがえない。「政治的目的を持った暴力への感覚が鈍感過ぎる」との批判も出そうだ。

首相は事件を受け十九日午前、記者団のぶら下がり取材に応じたが、テロの可能性があるとの指摘に「単なる傷害、殺人事件なのか、そうではないのか。それ以上のことは分からない段階でコメントはできない」と述べるにとどまった。
(略)
二〇〇七年四月、長崎市長が射殺された際、当時の安倍晋三首相が「真相究明を望む」などとしかコメント
しなかったため、野党から「政治家が撃たれたことへの危機感が感じられない」と批判を浴びた例もある。
中国新聞

そういう人たちが今の段階で「宗教テロ(の可能性が高い)」と見なすなら…まあ微妙な案件だな。


ただ、いまワイドショーを見ている限りでは「個人的な動機かもしれない」「真相の解明が待たれる」というような論調があった。自分もこういう考え方のほうが正しいと思う。以前の論調を反省したのかもしれない。


イスラム学者・中田考氏のワッハーブ派教義解説が興味深かった。

主に質問したのはぼく。2014年6月11日深夜あたりのツイート。あとでまとめようかな?

https://twitter.com/HASSANKONAKATA


アンネの日記破損容疑者のことは別立てにしておこう。

見出しをつくるためにね。ただまあ、もうすぐ結論が出る(もう出てる?)決まりなので。


過去にさんざん書いたから、そっち読んでもらったほうが早い。

これの繰り返しみたいなもんでした。
この後、留学生の動機が分かれば、そこからまた考えることが多いが。

アンネの日記」破損事件〜「誰がやったのか」の推測議論などを中心に - Togetterまとめ
http://togetter.com/li/633324
■事件・犯罪に対し、どこまでが「推測」、どこから「偏見」か…に関する考察集 - Togetterまとめ
http://togetter.com/li/637408
 
 
事件・犯罪に対し、どこまでが「(合理的)推論」で、どこからが偏見か? …の再論 -
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140304/p3 
 
ある事件が起きた時の、犯人の「推測」「テロ事件」認定に関して(「アンネの日記」問題)
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140223/p3

■元厚生次官連続殺人は「過激動物愛護主義者による政治テロ」と認定すべきか?
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20091128/p5
■厚生省元幹部・家族連続殺害事件。いつ犯罪を「テロ」と見なすのが正しい態度なのか
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20081121#p6
■「元厚生省事務次官連続殺人を、当初テロ扱いしたことを反省せよ」と青木理氏(週刊現代
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20090112#p6
アリゾナ下院議員銃撃事件、被告に「責任能力無し」…当時の「ティーパーティやペイリンが憎悪を煽ったからだ!」という論調の是非は。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20110622/p3

しかし容疑者の動機や犯罪の性質がどうであっても、仏像が相次いで破壊されたという結果にはかわらない。

被害を受けた寺社、その信者檀家にはお見舞いを申し上げたい。
そして、怒りを持つのは当然だが、法を超えた物理的な復讐などは絶対に避けるように自制をお願いしたい。

「アンネの日記」破損容疑者の責任能力について、17日までに結論が出る(はずだ)

過去の記事より。

無職男を鑑定留置 2カ月間、責任能力を判断 2014.4.16 20:29  
アンネの日記」や関連図書を相次いで破ったとして器物損壊容疑などで逮捕された東京都小平市の無職男(36)について、東京地検は16日、刑事責任能力が問えるか判断するための鑑定留置を東京地裁に請求し、認められたと発表した。期間は17日から2カ月。

ということ。
この話を書こうと思ってたら、偶然にも「仏像破壊」の話題が重なってしまった。
重なる部分は大きいので、パラレルに見て行きたい

「わし死にたくないんや…禁固でも懲役でも、命こそ宝や」と逃げる船長は、何で阻止できるのか

「沈みつつある船から乗客を見捨てて逃げると、船長は殺人罪になる」という法律論は正しいのだろうか? - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140611/p5

という記事をきのう書いて、ブクマでご教示いただいた。
「不真正不作為犯」という概念があるそうで。


ただ、昨日は時間なくて書けなかったんだが、
そも そも で……
「船長」にやはり根底のところで、なにがしかの同情をしてしまう自分がいる。
自分だったら絶対に逃げなかった、と自信を持って言えればいいのだが、果たしてその時どうなるか。
しかし船長という仕事は、その業務と報酬の中に「有事の際には命がけで危険に身をさらす」というところは厳然としてある。だから今回の船長のようなことはあるまじき、という話になる。

だが。
そもそも「命を失う」以上に最悪のことってあるか?

プロレス団体というブラック企業で生き残ったつわものも、アンドレを前にしてはこの通り。
 


「人は死ぬ(殺される)のが怖いからこそ、戦士という職業が成り立つ」
 

敗北して壮絶に自爆した松永久秀を引き合いに出されても「わしの方が業が上なんや」といって、逃げのびた荒木村重。その後、さまざまな浮き沈みを経て出家。仮にも一国の城主が「道糞(道端のクソ)」と名乗り、その不名誉を抱えつつ…52歳まで生きた。



関が原で敗れた宇喜田秀家は八丈島に流され「米の飯が食べたい」などのささやかな望みを持ちながら82歳まで生きた。主要な関が原武将ではもっとも長命を保ったことになる。ここでは「だから自分が最後の勝者なのだ」と。



ならば船長も「ああよかった。この後一生牢獄だろうとなんだろうと、俺はあの暗い冷たい海で溺死することなく、ここでこうやって三食を食べて朝起き、夜は眠り春夏秋冬をまっとうできる。あの時逃げてよかった!!」と(内心で)思ったとき…何でそれを止めるのか。

これはすべての軍隊、まさに死と直面する組織も同様に持っている課題だ。
だからこの歌がある。

ただ、何度も似たジョークは話してるが、セウォル号の船長だって、この歌を歌って自分を正当化できるんだよね(苦笑)。


さて
とめるとしたら……

来世、天国と地獄

世界の人類がすべて宗教を持つ理由が分かるよ。「死後の世界、天国と地獄」をぽんと設定するだけで「死ぬよりいやなこと、ひどいこと。生き延びるよりうれしいこと、気持ちいいこと」ができる。
その効用たるや、世界の殉教史、自爆テロの発生数がその何よりの説明書だ。
あの船は実質的な宗教団体の所有だったそうだが、船長はその信者だったのか、信仰篤かったのかは知らない。

名誉

「ナポレオン 獅子の時代」に描かれた一挿話。
ナポレオン「この砲をなぜ誰も撃たない」
部下「要塞側からも攻撃される危険な場所なので、皆逃げ出しまして…」
ナポレオン「ん…『革命砲台?』こんなんじゃダメだ、看板を書き換えろ!!」

翌日からその砲台は
「命知らずの男の砲台」に。
その看板を見た兵士 「じゃあ、俺がいくしかねえか」「俺だろ」と続々とその砲台へ。

ナポレオン獅子の時代 命知らずの男たちの砲台
ナポレオン獅子の時代 命知らずの男たちの砲台
ナポレオン獅子の時代 命知らずの男たちの砲台

義務と律儀さ。

要は「任務だから、やる」。これ以上でも以下でもなく、淡々とそれをこなすこと。これで案外、死の危険も気にしなくなったりしないでもない。 民族論にするのも変かもしれないが、ステロタイプなイメージではドイツ人、イギリス人、そして日本人がそういうふうに振る舞いやすい、というふうに言われるが…よくも悪くも、さ。
ルールは神であり、我らはそれに仕える忠実な司祭である。

イメージキャラクターに、綾瀬えなを採用。
彼女が客船の船長なら、海難事故では絶対に最後のひとりまで乗客を救うために船内に留まり、海で命を落としたであろうし、捕虜の列車輸送担当者なら、その捕虜が収容所でどんな運命をたどろうとも、自分に与えられたスムーズな輸送計画の実施に全力を挙げたと思う(どんな妄想だよ)。

世間の「後ろ指」

さて、ここなんだよ…なんどか紹介したが、司馬遼太郎ソ連軍や日本軍を評した言葉で「強い軍隊というのは、大抵は前面の敵より後ろ(の監視)が怖い軍隊、ということだ」というのがある。司馬の地元大阪の軍隊が「またも負けたか八連隊、これじゃ勲章くれんたい(九連隊)」と言われたのも、「武士が少ない町人の町で”権力”というものの重さを感じることが少なかった伝統」と説明した。

上の「名誉」と表裏一体だが、セウォル号の船長は日本に入ってくる報道を見る限りでは、この上ない罵声と嘲笑を浴びているようだ。いわゆるリンチ。
そして…なんともいやーな話だが、「死の危険に人を向かわせるためには、生きて逃げ帰った人を徹底的に罵倒罵声を浴びせることが”効果的”」なのかもしれないということだ。
別に沈没船を引き合いにだすこともない、死の危険がそれより高い、というかほぼ100%な特攻隊というものを成り立たせた要素の大きな部分はこれだったのではないか?


そしてさらに、
いやな考えにいたる。
以前

日本では犯罪加害者の家に抗議や脅迫が殺到。一方アメリカの大量殺人犯の母「私に届いた手紙の大半が励ましでした」 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20101222/p3

という記事を書いたことがあります。もちろん例外などもいろいろあるが、アメリカでは、銃乱射事件の犯人の、母親のもとに・・・

母親のもとにはアメリカ全土から手紙や電話が殺到した。手紙は段ボール2箱に及ぶ数だった。
 だが、その中身は、本書でこれまで見てきたような日本社会の反応とはまったく異なっていた。加害少年の家族を激励するものばかりだったのだ。
(略)
受け取った手紙の内容は何かと聞くと、母親は「全部励ましです」と答えたのだ。
 下村は自身のブログでその手紙の内容をいくつか紹介している。
「いまあなたの息子さんは一番大切なときなのだから、頻繁に面会に行ってあげてね」「その子のケアに気を取られすぎて、つらい思いをしている兄弟への目配りが手薄にならないように」「日曜の教会に集まって、村中であなたたち家族の為に祈っています」等々。


いい話である。
だが、当方がセウォル号事件の報道を見て、また今も頻発しているアメリカの銃乱射事件に際して…思ったこと。

「あー、生きてても俺にゃいいことないや。銃乱射して最後は自殺してやっかな」
「でも俺には年老いたママがいるんだよな。もしそんな大それたことを俺が起こしたら…」

(A)社会、世間は俺の母親を犯罪者の息子として理不尽な後ろ指、リンチを行い、不幸せな人生を送らせるだろう。
 
(B)社会、世間は、俺の犯罪は犯罪、母親は母親として理不尽なリンチなんかしない。むしろ温かくケアしてくれるだろう 

この時…(A)の社会のほうが犯罪抑止力が強く、(B)な社会のほうが、犯罪の発生を後押しするのではないか???
と、考えたのだ。
今でも日本の凶悪犯罪のすくなさについて、「犯罪をすると、家族親族に迷惑が及ぶから」という理由が挙がることは多い。


こういうプレッシャーがあれば、それは持ち場を守るだろう。
「死」を振り切る何かは、だれがどう保証し、育てるのか。