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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

遠藤浩輝「オールラウンダー廻」に関して提案する、いくつかの勝手な提言

オールラウンダー廻(1) (イブニングKC)

オールラウンダー廻(1) (イブニングKC)

が売られている。
その売り上げがどんなものなのか、前作「EDEN」(未読)と比べてどうなのか、あるいは毎回の連載で雑誌内の地位はどうなのか…こういうことはまったく部外者なんで分からないし、ゴング格闘技最新号のインタビューで、極めて真摯な取り組みと、格闘技界全体の底上げ、盛り上げを担おうという使命感も持っていることはわかる、のだが。
作品的にいえば「俺は」面白い。


しかし、それはこんなブログを、こうやって何年も書いている人間にとっては面白い、ということやねんで。関西弁になったねんで。
本当に、イブニングという通好みではあるが、相当間口が広い雑誌の中で、我々のような人間だけを集めて、市場的にOKになるような人気のものになるだろうか?それは疑問なしとしない。
それに、「俺にとっては面白い」けど、例えばストーリーを因数分解するのも好きな当方が、ストーリーを語るとしたら「波乱万丈で続きがどうなるか、ワクワクドキドキで楽しみな展開」では、少なくとも今のところ無い。
それはメグルくんが、今のところは勝ったり負けたり(負けたり負けたり、だっけ?)の選手で、こういう選手の淡々とした日常を描くのもありかな、と思わせるからかもしれない。

ただ、正直にいって同時期?にgoodモーニングで始まった、女子格闘技の「鉄風」だっけ?
あのほうが、ストーリーのケレンとしては、個人的には読ませる、と軍配を上げざるをえない。修斗と女子格闘技では、私にとっては前者のほうがなじみがあるにもかかわらず、だ。

いや、いいんだけどね。ケレンを廃し、たんたんと日常の中での格闘技、それを描いていくというのも新機軸だ。だが、それに編集部が耐えてくれるのか?と余計なおせっかいながら思ってしまうのだよね。


だが、最新のアフタヌーンではようやくその「ケレン」が出てきた。ひとつはWINDY智美をモデルにした(のか?)女性の打撃コーチ。打撃力ではジムの誰もかなわない技術をもち、今後メグルくんらを指導するらしい。
あとひとつは、ようやく主人公に特殊能力が見つかりました。
「試合で闘った相手の技は、そのまま自分の中に取り込むことができる能力。」

ひとことでいえばアプトムパワーです。(さあ、何人がついてこれるでしょうかこの比喩)。

この二つのケレンで、淡々とした日常格闘技漫画から、かっこいいヒーローが大活躍する、ケレン味あふれる物語になっていくか。そしてホーリーランドとは別の方向から、技術の薀蓄を披露する漫画になるのか。おそらくどれも含めるのだろう。
「ケレンを見せろというケレンはなく、日常を描くという日常はなく、薀蓄を語れという薀蓄は無い。それらすべてがなめらかに回転していく」・・・そんな作品になったら、いいなと思います。
そのときまで編集部は待っててほしいと思います。ついでに切るんだったら「極悪がんぼ」のほうを先に切ってほしいと思います。

で、もうひとつやってほしいこと。

寺田ヒロオも、梶原一騎もやった、あの方式。業界との共存共栄と発展を図る一番いい方法…すなわち、実在の人物、選手と主人公たちが絡んで、連動してほしいんですよね。
廻たちの生きている世界は、2009年現在のいまだっけかしら、そうだと思うんだけれども、アマチュアとはいえ修斗をやっている選手ならばだ、今度の5月10日JCBホールにやっぱり足を伸ばして、佐藤ルミナなどの修斗の真髄を、その目で見てほしい。
そして、外部からやってきた選手たちに「イベントの世界にカネのために行ってたやつが、競技をやっている俺たちを邪魔するんじゃねーよ!!」みたいな、いかにも修斗っぽい野次を飛ばしてほしい(←偏見)。


あるいは廻君も、あの才能を伸ばしていき、中井祐樹や木口会長にいろいろ教えてもらえば、将来的には世界チャンピオンの座を射止められるかもしれない。そういう過程をじっくり描いてほしいですね。

で、そのあと、廻君が某団体に移籍して、さらに数年後に公武堂TVに出演して「いつも礼儀にやかましい人が自分は遅刻してきた」とか、「あの人はプロモーターとしては優秀なんだろうけど、自分を人間ではなく商品としてしか見てくれなかった」とか、そんなことをいいだすところまで描ききってくれたらいいと思います(笑)

(※註:元ネタを探そうとしても、この回はログを残していないはずなので無駄です)

もうひとつ「漫画の動き」

私は絵の工夫や技術については相変わらず門外漢なのだけど、個人的な感覚としては、丁寧かつリアルに人物の動き、モーションを書いているはずのこの漫画が、なんとなく止まって見えるんですよね。
これは意図的に、効果線ってんだっけ、動きをあの流線の記号であらわすことを、おそらく意図的に?してないためなんだろうね。
こっちのほうが技術的に難しいとも聞くけど、見巧者ならざる私には、なんか静かに動きが無いように見えてしまいました…というのも、正直な話です。

THE OUTSIDER 佐野哲也の異名が変更。

http://ameblo.jp/swimmingeye/entry-10253657597.html

ということで「僕、最強からかなり遠い所にいるのでキャッチコピーの「アマ最強戦士」やめてください。JAROに訴えますよ」とことあるごとにリングス事務局に言っていたら、ついにキャッチコピーを変えてくれました。

ちょっと待て
俺に相談しろよ。(なんでだ)
ぴったりのがあるんだよ。再変更も視野に入れるよろし

見た感じも、なんとなく似てね?


でもまあ、ちょっと素材的にマイナーで話もひろがらんな。
今、手元にある資料からテキトーに選んだだけで、思いつきに過ぎないところがまずかった。

「豊臣秀吉の部下役とは何事か!」…チェ・ホンマンへの批判を吾らはどう受け止めるべきか

kamipro憲法記念日の5月3日にこの記事を持ってきたのは偶然か必然か。
http://www.kamipro.com/column/korea.php?id=1241348641

公開された日本映画『GOEMON』に、チェ・ホンマン豊臣秀吉を護衛する武士・我王役を演じていることに対し、韓国で激しい批判の声が挙がっているという。韓国のあるメディアは「チェ・ホンマンが『GOEMON』に出演することに対して、韓国のネチズン(NETとCITIZENの造語)は『壬辰倭乱豊臣秀吉朝鮮出兵)を引き起こした豊臣秀吉を守るなんてもってのほか!』『いくら映画だからといって、豊臣秀吉の武士を演じるとはどういうことだ』『韓国の歴史を少しでも理解しているなら、絶対この役割だけは受けてはならない』といった批判が相次いでいる。
(略)
韓国では、すでにこの件は大きく報道されており「ホンマンは“親日派”」などという記事も多く見られる。ちなみに、韓国で“親日派”という言葉は、誹謗中傷の言葉として使用されるもので、ほぼ“売国奴”と同義である。このレッテルを貼られて社会的に抹殺されたタレントも少なくない。

うひゃひゃのひゃ、と乾いた笑いをするしかない部分もあるが、正面切って論じるとなるとやっかいだ。
つまり、韓国のこういう反応が大きな意味での「ナショナリズム」とするなら、そのナショナリズムを「過剰である」と批判するのか、それとも「もっともである。こちらがそれを受け止めねば」とするのか、あるいは「本当は過剰なんだけど、まあ特殊事情にかんがみて、多少、こちらが、特別な、妥協を、してもまあ、やむを得ないのではないか」と、こう受け止めるべきかだ。

いわゆる4、5年前から?の「嫌韓(嫌朝鮮半島)」ブームと言うのはいろんな層が重なっていると思うけど、「普通の基準でナショナリズムを判定したとき、こういう行動は(たとえば日本で起きたなら)非難されているのに、韓国のナショナリズムだけ皆おまけして目をつぶってるんじゃねーか?二重基準だよ」という主張もあるだろうという気はする。

想像だけど、日本の俳優が「元寇」を舞台にしたモンゴル映画(それも娯楽作品)で、フビライの部下をやったといってバッシングされたら「右傾化」とか、それこそそれへの反批判がメインになるんじゃないだろうか。

まあ、もし「韓国での批判はもっともであり、そういう役を韓国のホンマンに割り振ったこちらが悪い」となれば、監督やプロデューサーが反省の弁を述べるべきかと。

こうの史代「この世界の片隅で」が単行本に。そういえば彼女が「わしズム」で &アクション復刊5年

http://mandanatsusin.cocolog-nifty.com/blog/2009/05/post-6b07.html

いやすごいものを読みました。

 『夕凪の街 桜の国』(2004年双葉社)でヒロシマを描いたこうの史代。彼女が再度戦争にいどんだ作品が、ついに完結しました。

この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)

この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)

この世界の片隅に 中 (アクションコミックス)

この世界の片隅に 中 (アクションコミックス)

この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)

この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)

ふうむ、漫画アクションはなかなか読めず、飛び飛びだったんだけど、やっとまとめて読めるようになったか。
ところで、書こうと思って忘れていたけど、こうの史代は、この前刊行が終了した小林よしのりの責任編集雑誌「わしズム」にたびたび寄稿し、最終号にも漫画を載せていた。その漫画は、架空のフリーライターこうの史代にインタビューし「夕凪の街 櫻の国」について語らせるというメタなお話だった。
だけどこの雑誌って、小林が個人的に認めた人々に直接原稿を依頼する、と言うのが売りだったな。
小林がこうのを、そしてこうのが小林を、その作品を、それぞれどう評価しているのか。これはちょっと気になるな。

アクションは「復刊五周年」。

雑誌が一度休刊したあと、復刊できるという例、ここ10年でいくつぐらいあるのだろう。私の興味の範囲では、ゴング格闘技漫画アクションぐらいとちゃうか。
その後アクションは「レモンハート」がコツコツ連載されていたのも高評価だし「鈴木先生」や「罪と罰」「駅弁ひとり旅」なんかも載っている。かなり漫画界への貢献度高し。復刊五周年、おめでとうございます。

ゆうきまさみは「SF的状況の中での国家(軍隊・官僚組織)」を描くのがうまいなぁ(鉄腕バーディー)

鉄腕バーディー、連載誌が変わったりとかなんかに対応し、ストーリーを無理やり区切ってそこからの独立性を持たせたこともあって、はっきり言って最初からのストーリー展開忘れている(笑)
だから傑作・失敗作の評価すらできないのだが、最近宇宙人と、宇宙人の残した、人間をモンスター化させる特殊薬品(それを地上の企業・宗教団体が再生産している)に対応するために自衛体内の特殊部隊が立ち上がった。
これはゼロ年代のSFヒーローものではどうしても避けて通れないところで、「怪人が大暴れでビルを、ダムを破壊!そこにやってきた正義のヒーロー!」を、それなりにリアリティ込みで描こうとすると「・・・その事件に警察はどうしたの?軍隊はどうしたの?報道はされないの?」というツッコミは当然入る。かつての東映TVならそのへんは描かないのがお約束だが、やっぱりまじめにやるとそこを逃げるわけにはいかなんだ。
それが、ヒーローが公務員なんて悲しい、とかいう別種のツッコミを産むのはさておいて。


ゆうきまさみは、なにげにそういう扱いがうまいなあと、機動警察パトレイバー「廃棄物13号」篇から思っていたけど、今回の「鉄腕バーディ」に登場した組織を見てますますその思いを深くした。
「司令」に当たる人は、防衛の実務とは別の官僚だが、独自の使命感と憂国思想をもち、その部隊に日本の未来が掛かっていると悲壮な決意をしている。
組織はそれぞれ「二階級特進」をしているが、部内だけで通用するような特殊な階級だったりする。
「君たちの存在を公に出来ないのは残念だが、それでも誇りをもってほしい!」とかアジる司令。
だが内部の隊員は、それぞれけっこう能天気と言うか、自分のプロフェッショナルさへの誇りが、かすかに独立性を生んでいる・・・といった微妙な関係性が、ありそうでもありSF的でもあり、とにかく凝っているんだよね。(上の描写は記憶によるのでちょっとずれているかもしれない)

最新号も面白くて、モンスター化した人間たちを追うため、その特殊部隊が初の実戦に赴こうとすると、釣り人に扮した情報収集担当?が声をかける。「包囲網、ゆるゆるだったぞ。俺たちの情報があれば。ここまでやつらが来ることは無いはずだがな…」と、「特殊部隊のデビューを飾るために、わざとモンスターを市街地で暴れさせた」という可能性を示唆します。


SF的なシチュエーションの中で、それに対峙した国家(軍隊や警察)の組織やリアクションを描き、リアリティーとかっこよさを併せ持った描写をできるのはだれか?という視点で見ると、漫画家のランキングは面白そうですね。
最高傑作は岩明均の「寄生獣」の後半部分でしょうけど。

寄生獣(完全版)(7) (KCデラックス)

寄生獣(完全版)(7) (KCデラックス)