INVISIBLE Dojo. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 報道、記録、文化のために

「こち亀」平成までアニメ化されなかったのは「社長案件」で握り潰してたから。「警官をああいう風に描くのは…」と(後藤広喜氏回想)

653万部という未曾有の記録を達成した週刊「少年ジャンプ」。空前絶後の部数はどのようにして生まれたのか。600万部達成時の同誌編集長が、掲載された漫画作品のエピソードを交えて、その秘密に迫る。

という本…「少年ジャンプ 黄金のキセキ」を読んだ。
今から時代のカンニングペーパーをひもとくと、どうも敏腕・天才編集者にしてジャンプ黄金期建設者の後藤広喜氏にしても、その漫画への感覚、価値判断は相当に古いし、個々の漫画作品の分析も「ふーん、ご意見は拝聴させていただきました」程度に、わたくしには感じられました。

しかしそれは外野の話というか、そもそも彼らが「A」を作ったから、その先の「B、C…」が生まれたんで、その成果をたっぷり浴びた側から、「あなたの『A』は古いですよ」と言われるのは、ある種の飛び切りの勲章なのではないか、と思うのです。っ週刊少年ゾルトラーク。


というのが、全体の感想で、
ここからは後藤氏だからこそ書ける、彼にしか書けない生の体験談、秘話だから、居住まいを正して拝聴し、皆さんにシェアする。
こち亀、「こちら葛飾区亀有公園前派出所」についてだ…

…どうしても触れておきたいエピソードがある。わたしが副編集長の頃に、某TV局 からアニメ化のオファーが何度かあった。西村編集長によれば、当時の社長が絶対了解せず、 断ったということだった。

わたしが編集長になった時、部長になった西村と一緒に、アニメ化の件で社長の元におもむき、反対の理由を直接うかがった。理由は簡単だった。警察官をああいう風に描いた漫画は、ギャ グ漫画といえどTV放映すべきではない。国家権力を甘くみてはいけないと、自分の額に指で○印を作るのだった。

○印の意味は、もちろん桜の徽章。

それ以上質問したら、馬鹿である。黙ってひき下がるしかなかったが、その後、その社長が退任し、次期社長に代わったら、アッサリと了解されたのだった。その時わたしは、「少年ジャンプ」編集部を離れていたので、どんな理由で了解されたかは知る由もないが、狐につままれた気分であった。まあ、今となっては過去形で語るエピソードと言えばエピソードだ が、それほど両津のキャラクターは強烈だったし、読む人が読めば、反権力的、反社会的だった と言える。

こち亀アニメ化されなかった理由


ナニソレ、である。
後藤氏が副編集長、かの「西村編集長」の時代、そして後藤氏が編集長に就任した時代に集英社の社長だった人…なんて調べればすぐわかるだろうが、それは略す。誰かに任せよう。(※このへん、後から調査して追記。後半参照)



これは「忖度」といえば忖度だし、つまりは「権力に阿る」ようにも見受けられるのだけど、逆方向から
「国家権力を甘くみてはいけないと、自分の額に指で○印を作るのだった。 ○印の意味は、もちろん桜の徽章。」
を見ると、逆に警察、国家に対して、今の一般人以上の「敵対心・警戒心」があったからこそ、こういう措置を取った、ともいえる。社長のパーソナリティ的なものを見れば、それが判断できるのだろうか。そこは不明。


そして「両津のキャラクターは強烈だったし、読む人が読めば、反権力的、反社会的だった」
という評価の真偽も、これもまた歴史の審判に任せよう。

参考に読んでほしい記事と本。
m-dojo.hatenadiary.com


ついでにいえばその1、
後藤氏はこのあとこち亀の作品論も書いているが、すべて傑作として挙げているのがこち亀の「ノスタルジー・人情、下町情緒と地縁血縁篇」なんだよね。
これだけでこち亀論そのものとしては、うーーーーーーん、と思って本来ならページを閉じます、俺個人としては。


ついでその2
秋本治氏の人柄、謙虚で物腰柔らかで礼儀正しくて・・・・と絶賛するけど「締切りを守れない漫画家や不平不満をもらす、態度が大きくなった漫画家に『秋本治先生を見習え!秋本先生は〇〇(特に締切り厳守に対して)なんだぞ』を、殺し文句として温めていた」というから、これが現場の黒いリアリズムなんだなあ、と戦慄した。(実際に使う機会はなかったらしい)。


締切、といえば、その後、萩原一至のこともでてくるが(爆笑)、それは若き後輩編集者が育てたそうだから(笑)。高橋俊昌という人で「きまぐれオレンジロード」「BASTARD!」「幽遊白書」を担当。


ちなみに後藤氏は、ぶっちゃけ書いた文章のラインナップを見ると、おそらく、いわゆる「アニメ絵」に違和感のある世代っぽい。
ろくでなしブルースが出た時は「こんな漫画をジャンプに待っていた!」と手放しで歓迎、桂正和は「自分の好みからは一番遠い作家」だそうで。

ジャンプのど真ん中にこういう人がいたのも興味深いが、逆にいうとそういう人を向こうに回して、アニメ絵は漫画界のメインストリームを奪取する革命、クーデターを成し遂げたんだな、という感慨も浮かぶ。
(アニメ絵以外だけ語っても、ジャンプ史は全然支障なくつづれるんだなあ、ということも気づかされた。こち亀もそうだし、本宮ひろ志、宮下あきら、キン肉マン、北斗の拳、ジョジョ、ろくでなしブルース、スラムダンク……)


その後の新情報(マシリト証言)も加えた一仮説。


検証 こち亀アニメ化決定まで