原田久仁信先生の訃報を、発表当日に語った記事でも紹介したが
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逝去の前年に、氏は自伝を文芸春秋から出している。今回の逝去を受けて緊急重版もされたとか。
今回再読したが、あまりにも、(かつての読者には)面白過ぎる。
そのよませどころを、途中まで抜粋紹介したい。
そしてこれらの逸話は、あとでアカツキ☀味のプロレス 氏@buchosen が漫画にしてくださることを熱望する(文春からオフィシャルに依頼すればいいのに…)
https://x.com/buchosen
・「タイガーマスクがおしゃべりな ソラールに激怒した」 と書いた時、アシは「タイガー、怒ると怖いんですね」と納得の表情。いやソラールは受け身に失敗しただけ、と後で知り、そうなら悪いことをした…
・資料が無かったので想像でかいたもの…ミスター・カンフー、マーク・ロッカの姿など。後者はチャールズ・ブロンソンのイメージ。
前者はこちらが書いた「隈取」を、梶原先生が気に入って深掘りしてくれてああいう展開に。
・梶原先生に編集部も僕も問い合わせや打ち合わせするのははばかられたので、すべて阿吽の呼吸
・ただ、風貌の指定と言えば、のちの「男の星座」のジャニーさんには「財津一郎風」との指定があった。
・勝手にブロンソン風に書いたブラック・タイガーに関連して。彼が新幹線でブッチャーに「黒豚」といって喧嘩になりかける場面を書いたが…外国人選手の世話係だったミスター高橋によれば、そもそも坂口ら日本人選手と外国人が一緒に電車移動はしないし、ブラックタイガーの中の人は温厚な性格で差別用語を口にする人間ではなかったという。ここは僕の責任で訂正したい。
・1980年春!蔵前国技館!アントニオ猪木とスタン・ハンセンのNWFタイトルマッチ!!ここに来賓としてやってきた梶原一騎に、初対面のアイサツをした!
「原田です。よろしくおねがいします。梶原さんは…」
一緒にいた小学館幹部らの顔色が即座に変わり、袖を引っ張る!! 梶原本人は「オウそうか」という感じで去っていったが「梶原”サン”じゃないでしょ!」とこっぴどく叱られた。
・第一回の原作原稿(ザ・ファンクス)が届く。
冒頭 「わたしがプロレスをとおして追求するのは、たんなる強さや勝敗よりも…」(画像参照)プロレススーパースター列伝 第一話冒頭 ・長い、長すぎる…少年漫画でこんな長い台詞すっとばされるだけだ…そもそも週刊連載なんて初めて、ネームの打ち合わせは編集部とも梶原先生ともいっさいゼロ、ストックもなしに、しめきり2週間まえに1本原作来ただけ・・・
・アントニオ猪木(談)は、実は僕のデザインではない(※誰だ???)
あの談話が、実際に猪木は喋ってないことは有名になったが「伝説は、信頼から生まれる。」
・スタン・ハンセン編。
ドラム缶を人間が潰すのは無理じゃない?と思ったが、原作にそうある以上書かねば・・そもそもドラム缶って、どういうふうに潰れるの?…でも書いた。『あり得ないシーンでもなんとか描けるものだ』と自信がついた。
・また、ファンクスがステーキを残し、ハンセンがそのおこぼれにあずかるかと期待したが犬が食べてがっかり…の名シーンを描いていたら
アシ 「なんだかステーキ食いたくなってきますね…」
「僕もだ!ハンセンは食わせてもらえなかったけど、俺たちは今日ステーキ食うか!」
と、近所の安いステーキ屋に行ったとか。
なんか恒例になって、作品にステーキが出た時はかならずスタッフもステーキを食べた。
・ブッチャーはプロレススーパースター列伝に登場することをしって、なんと梶原一騎にギャラを要求、100マンエン…でなく10万円で手打ちにしたんだという。列伝でモデル料を得た人間はブッチャーを空前とし、また絶後とす___
・鶴田、藤波、坂口らは筋肉が浮き出ておらず、顔の凸凹も少ないので顔が似ない…
・小学館の、ベテランプロレスカメラマン・木村盛綱さんがいろいろアシストしてくれた。この人を、漫画に登場させたら「リングサイドにいつもいる人が漫画に!」と評判に。実在若手レスラーをセコンドに描いても反響があり、みんなよく見てるなァ。
・バトルロイヤルで、ブッチャーが集中攻撃を受ける回。原作に「背中に全員が乗っかる」とあり、それは技術的に描くのがつらかった。バトルロイヤルは死の罠、というのは描く側にとってもだ!
・サンデー編集者曰く
「原田君はめぐまれているよ。こんなに早く梶原先生の原作がもらえる作品は無いよ」
僕は「これで一番早いのかよ…」と他の漫画家に同情した。
・アンドレは元木こり、タコは欧米では悪魔の使い、ウラウナ火山、メキシコの「虎の穴」、新日プロオフィスにある、世界の試合結果のデータベース、マスカラスの本名はアラン・ロドリゲス…
読者から「さすがに小学生だった当時も嘘だと思いました」「えっ、そうなの?」なことも
「世界地図でくまなく調べても見つからなかった」ことも、
さらにいえば実は正しかった!(マスカラスの本名はホント)こともあるので油断できない。
・T・J・シン編、インドでの猛練習の描写…アシさんから「さすがにコールタールの中では牛も動けないのでは…」
世の中には、考えてはいけないこともある。
そもそもコールタールと重油を混ぜるとどんな感じになるかもわからないので、ぜんぶ想像。
列伝史上、最高のインク使用量だった。
・馬場・猪木編。
ジャイアント馬場が米国で宣伝のため、女性用のキモノを着せられて恥ずかしがる場面があるが、そもそも馬場が着られるようなサイズの女性用のキモノがあるか!!
※あっ、いままで俺、気づかなかった!!
・だけど、この馬場猪木編は緊張した。「猪木さんも読んでいるんだから」と、この時は思ってたんです…。
だから、力道山が死ぬ時の寿司とサイダーの話も「現場にいた猪木さんは見ていたのだろうから、そこから話を聞いている筈だから間違いない」と思って確信して描いていた(危ないなぁ…)
・ただ、力道山を刺したヤクザの幹部は健在だと知ってたので、顔を具体的には描かないようにして…
・梶原先生に細部まで確認できない、といえば「デューク・ケムオカ」は正式には「ケオムカ」。というか同じ梶原作品のジャイアント台風では、正しく表記されているが…
・「ダラ幹」も「だらけた幹部」でなく「堕落した幹部」の略称、が正しい。
・いずれにせよ馬場・猪木編で、トラブル的な反響が無かったのは幸いだった
・あと、猪木vsア―チ・ムーアは実際には行われていないらしい。これもさんざんに読者から聞かれた…。
・当時は新日・全日の引き抜き合戦の真っ最中!その当時の連載だから、日ごろ漫画を読まない人も注目してくれた。
いかん、おもしろすぎて無限に引用できてしまう…
ここで強引に終了します(まだホーガンやブロディ編の話や、梶原逮捕と緊急打ち切り、男の星座の話などあるのに…機会あれば)
あと、最後に「『列伝』よ、永遠なれ!」という描きおろし漫画が33Pも載っている。逝去が翌年だと知ると、この”ラスト・メッセージ”の貴重さに泣く。
これはすべて実話である!!
初代タイガーマスクが登場しプロレスブームに沸く1980年代前半、
『週刊少年サンデー』に連載され、少年たちの心を鷲掴みにした
漫画『プロレススーパースター列伝』(原作・梶原一騎)。
ファンタジーと実話の融合が魅力の一つだったこの伝説的作品の制作秘話を、
作画を担当した原田久仁信氏が初めて余すところなく明かす!
渾身の描き下ろし漫画『「列伝」よ、永遠なれ』(33ページ)も収録!(目次)
第1章 ペルソナ
初代タイガーマスク第2章 漫画家への道
第3章 悪玉と善玉
ザ・ファンクス スタン・ハンセン アブドーラ・ザ・ブッチャー第4章 「ウラウナ火山」を探して
アンドレ・ザ・ジャイアント ミル・マスカラス第5章 伝説と真実
タイガー・ジェット・シン BI砲 カールゴッチ リック・フレアー第6章 「ワン・モア!」
ハルク・ホーガン ブルーザー・ブロディ ザ・グレート・カブキ第7章 『男の星座』
描き下ろし漫画33P 『列伝』よ、永遠なれ
【注意喚起】「プロレススーパースター列伝」「男の星座」などを電書で買う時の注意(版の違いや、セールの有無について)
このリンクをたどって、予備知識を身に着けてください
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※ぶっちゃけてヒトコトでいうと、今すぐ読みたい!というなら止めないが、そうでなく資料としてそろえときたいとかなら、セールが来るのを待った方がいいですよ、と。


