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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「だんドーン」流に吉田松陰と松下村塾を描く「番外 長州編」が無料公開中。この作品らしい解釈が…

川路利良薩摩藩視点で描くだんドーンの番外編として、長州藩視点で幕末を描く回があり、無料公開が始まった

comic-days.com

だんドーン

この作品の、この辺の紹介では必ず言わねばならんのが「みなもと太郎風雲児たち』と読み比べてください」。

風雲児たち 吉田松陰
風雲児たち 吉田松陰 僕は忠義をなすつもり

作者の教養的には、知っていて意識して当然…かもしれないし、この時代をこうやって描くなら、否応なく近接せざるを得ない、ということかもしれない。それはどうでもいいんだ。

問題は、そうやってかなり近づいてきたところで、
だんドーンはハコヅメから培った伏線力、裏をかき力を生かして、推理小説、ミステリー風の「仕掛け」を仕込む。そこで風雲児たちと「離れた」ところが読みどころなんだ。


上で引用した画像なんだが…
吉田松陰は、たしかに日本史上に輝く「名教育者」なんだが、その教育者というのは老練な教師とかではなく、生徒と一緒になって泣き、笑い、というか生徒以上に直情径行、一本気、或いは思い込みがはげしく、生徒以上に突っ走る…敢えて言えば、ROOKIESの川藤みたいな「教師」であり、であるがゆえにとても魅力的なカリスマだった。

そのカリスマのもとには熱烈な弟子があつまり…そして自らを「最愛の弟子」であると任じて競い合う。
よくある、よくある。




で、面白いのは、この弟子たちに遺した言葉として記録に残るこれ……

だんドーン 諸君狂いたまえ

これを作者の秦三子は、XXXXXXXXXXXXXXXというふうに位置づけるのだ。

台詞を隠して紹介します

だんドーン

いわば歴史の再解釈によってそこに「トリック」を仕込んで、ミステリー化してるんだね。桜田門外の変でも、これをやった、やってのけた。

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それによって、風雲児たちと距離ができる。その距離の間合いが「なるほど、こうやって歴史を再解釈して伝奇的に物語を作るのか」というお手本になり興味深い.




そして、吉田松陰という特異なカリスマは、日本史に何をもたらしたのか。それは遺産か、負債か……
魔法使いの魔法ってどの程度の範囲に効果があるか知らないが、「教育者」は、一国全体に150年の魔法をかけ得る__。


秦が、自分の作品の登場人物をして「彼の頭の中に生まれたかった」と言わしめた(笑)司馬遼太郎も、

司馬遼太郎の頭の中に生まれたかった


彼…吉田松陰を小説で描いた。

「思想」の師、「行動」の弟子。維新前夜の青春群像を活写した怒濤の歴史長編、全四巻合本版。
2015年のNHK大河ドラマ『花燃ゆ』の主人公は久坂玄瑞の妻、文(ふみ)。文の兄であり玄瑞の師である吉田松陰こそ、『世に棲む日日』前半の中心人物です。「人間が人間に影響をあたえるということは、人間のどういう部分によるものかを、松陰において考えてみたかった。そして後半は、影響の受け手のひとりである高杉晋作という若者について書いた」(「文庫版あとがき」より)
嘉永六(1853)年、ペリー率いる黒船が浦賀沖に姿を現して以来、攘夷か開国か、勤王か佐幕かをめぐり、国内には激しい政治闘争の嵐が吹き荒れていた。この時期、骨肉の抗争を経て倒幕への主動力となった長州藩には、その思想的原点に立つ松下村塾主宰・吉田松陰と、後継者たる高杉晋作がいた――。