川路利良=薩摩藩視点で描くだんドーンの番外編として、長州藩視点で幕末を描く回があり、無料公開が始まった
この作品の、この辺の紹介では必ず言わねばならんのが「みなもと太郎『風雲児たち』と読み比べてください」。
作者の教養的には、知っていて意識して当然…かもしれないし、この時代をこうやって描くなら、否応なく近接せざるを得ない、ということかもしれない。それはどうでもいいんだ。
問題は、そうやってかなり近づいてきたところで、
だんドーンはハコヅメから培った伏線力、裏をかき力を生かして、推理小説、ミステリー風の「仕掛け」を仕込む。そこで風雲児たちと「離れた」ところが読みどころなんだ。
上で引用した画像なんだが…
吉田松陰は、たしかに日本史上に輝く「名教育者」なんだが、その教育者というのは老練な教師とかではなく、生徒と一緒になって泣き、笑い、というか生徒以上に直情径行、一本気、或いは思い込みがはげしく、生徒以上に突っ走る…敢えて言えば、ROOKIESの川藤みたいな「教師」であり、であるがゆえにとても魅力的なカリスマだった。
そのカリスマのもとには熱烈な弟子があつまり…そして自らを「最愛の弟子」であると任じて競い合う。
よくある、よくある。
藤波「50年近く猪木さんを近くで見てきて思うんだけど、猪木さんと関わった大抵の人がアントニオ猪木を独り占めしようと考えてしまう。猪木さんにそれだけの魅力があるからなんだけど、結果的に取り合いっこみたいになって、人間関係が悪くなってしまうことが頻繁にあったよね。」 pic.twitter.com/BqAtBhzyOj
— 昭和プロレスpasin (@pasin_shouwa) August 7, 2024
大塚直樹「山本さんのアントニオ猪木LOVEは新間さんと甲乙つけがたいものがありましたね。ある種、恋愛感情みたいな…山本さんの口から『新日本は猪木さんと俺が創った会社だから』という発言は何十回も聞きました。その意識は物凄く強かったです。それは坂ロさんが入ってから、特に強くなりましたね」 pic.twitter.com/2Ls4eJuWk9
— 昭和プロレスpasin (@pasin_shouwa) August 8, 2024
で、面白いのは、この弟子たちに遺した言葉として記録に残るこれ……
これを作者の秦三子は、XXXXXXXXXXXXXXXというふうに位置づけるのだ。
台詞を隠して紹介します
いわば歴史の再解釈によってそこに「トリック」を仕込んで、ミステリー化してるんだね。桜田門外の変でも、これをやった、やってのけた。
それによって、風雲児たちと距離ができる。その距離の間合いが「なるほど、こうやって歴史を再解釈して伝奇的に物語を作るのか」というお手本になり興味深い.
そして、吉田松陰という特異なカリスマは、日本史に何をもたらしたのか。それは遺産か、負債か……
魔法使いの魔法ってどの程度の範囲に効果があるか知らないが、「教育者」は、一国全体に150年の魔法をかけ得る__。
秦が、自分の作品の登場人物をして「彼の頭の中に生まれたかった」と言わしめた(笑)司馬遼太郎も、
彼…吉田松陰を小説で描いた。
「思想」の師、「行動」の弟子。維新前夜の青春群像を活写した怒濤の歴史長編、全四巻合本版。
2015年のNHK大河ドラマ『花燃ゆ』の主人公は久坂玄瑞の妻、文(ふみ)。文の兄であり玄瑞の師である吉田松陰こそ、『世に棲む日日』前半の中心人物です。「人間が人間に影響をあたえるということは、人間のどういう部分によるものかを、松陰において考えてみたかった。そして後半は、影響の受け手のひとりである高杉晋作という若者について書いた」(「文庫版あとがき」より)
嘉永六(1853)年、ペリー率いる黒船が浦賀沖に姿を現して以来、攘夷か開国か、勤王か佐幕かをめぐり、国内には激しい政治闘争の嵐が吹き荒れていた。この時期、骨肉の抗争を経て倒幕への主動力となった長州藩には、その思想的原点に立つ松下村塾主宰・吉田松陰と、後継者たる高杉晋作がいた――。